「待ってくれ」と呼び止める彼は私の彼氏ではありません

恋より食べること

「ルイーゼ、そろそろお前も婚約者を捜してはどうだ？」
「えっ、私まだ婚約者なんていらない」
朝から笑顔で朝食を食べる男爵家のルイーゼは他の令嬢より少しぽっちゃりとしていた。
「…お前も十六になった。お前と変わらない歳の令嬢達は婚約者を捜しているんだ…お前も恋を覚えてはどうだ？」
「私、恋より食べている方がいいの！それに婚約者が出来たら浮気とかで泣く人を見た事があるから恋人なんてまだ欲しくないわ」
パクパクと食べる娘に父親はため息を吐いていた。
「お父さん、今は何を言っても無理ですよ」
クスッと笑う母親を見て「はあ～」と父親はため息を吐いていた。
コンコン
「失礼致します。旦那様招待状が届いています」
「招待状！？」
父親は、執事から招待状を受け取り手紙を見た。
「クロード・ブラン子息侯爵とマリーベル・ロペス伯爵令嬢の婚約披露宴が明日の夕方にあるそうだ」
「へ～っ」
「…二人はお前が行っている学園の生徒じゃないのか？」
「そうよ、生徒会長と書記をしている二人よ」
「…生徒会長とは…凄いな彼は…」
「女子に人気なの、余り話しをしない彼が素敵だとかスポーツ万能、成績トップに顔もスタイルも良いから皆彼を狙っていたの…でも、彼の側にはいつもマリーベル嬢がいたから…」
「そうか…爵位も勉強も女子にモテ、婚約者がいるとは…ルイーゼは彼の事をどう思っていたんだ？」
「私？別に美男子美女を見ても今日も一緒で仲が良いねって思うくらい？」
「そうか…」
娘が顔が良い男子を見ても興味がないのは分かっていたが、この先娘は結婚出来るのかが心配だった。
「招待状は私宛てなんでしょう？行っても良い？」
「ああ、勿論だ。披露宴で楽しんだらいい…良い出会いが待っているかもしれないな」
「豪華な料理が待っているから楽しみ」
「……」
「ふふふ」
父親はやはり料理が目当てなのかと肩を落とし母親は父と娘の会話を見て笑い、今日の我が家は相変わらずだと…ルイーゼは学園に行き学園内はクロードとマリーベルの話しで女子達が泣いて騒いでいた。