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第三騎士団ライト・グロース⑩

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コンコン!
「フレック起きてるか?」
「…ああ、開けて良いぞジョエル」
部屋の扉を開け騎士服に身仕度をするフレック騎士がいた。
「気分はどうだ?昨日部屋に来たんだが…ボムがお前が体調を崩して寝ていると言っていたからな大丈夫なのか?」
「…ああっ、昨日は悪かった。もう大丈夫だ」
いつもの笑顔を見せないフレック騎士に悩み事があるように見えジョエル騎士は声を掛けた。
「……アイツ…ライト騎士と何かあったのか?」
ピクッと騎士服を着ていたフレック騎士の手が止まり、それを見たジョエル騎士は歩き出し手を差し伸べようとした。
「……何も無いよ、俺早朝の見回りだから…」
「フレック!」
ガシッとフレック騎士の腕を掴んだジョエル騎士は、苦痛の表情を見せるフレック騎士に何も言えず掴んでいた手を放した。
「……ごめん、ジョエル…先に出る」
「……」
パタンと部屋の扉を締めジョエル騎士は一人部屋の中で黙り込んでいた。
「お前も大丈夫か?ジョエル」
「うあ~っ!?……ボ、ボム?お、脅かすなよ心臓が止まるかと思った~」
「悪い、脅かすつもりはなかったけどな」
ゴソッと二段ベッドの下から起き上がり、ジョエル騎士の前に立っと扉の方へ顔を向けた。
「フレックも夜は寝ていないようだからな」
「寝ていないのか?フレックは…」
「ああっ、寝静まった頃ベッドの上から降りるのが見えたんだ。
その後椅子に座りぼーと外を眺めていたようだったな」
「……」
トンと壁に背中を向け腕を組むボム騎士はジョエル騎士に尋ねた
「さっきのお前達の話しを聞いて悪かったが、騎士の名前を出していたな」
「あ…ああ、ライト騎士の事か?」
「……そのライト騎士だが、グロース家の人間じゃないよな?」
「は?グロース家だと?…グロースって…サミエル隊長とジャック副隊長の…あの兄弟の事を言っているのか?」
ジョエル騎士は驚いた顔をボム騎士に見せ顔色が真っ青になり会話が続いた。
「騎士の仲間の奴が、最近グロース家の兄弟の弟が城に入団したと聞いた事がある。何処の騎士団に入ったのか聞いていないが名前が『ライト』と言っていたのを覚えていたからな…さっきのお前達の話しにその名前を聞きまさかと思って聞いているんだが…フレックと何か関係あるのか?」
「……俺も分かっていない…フレックも今悩んでいるようだったから……」
「悩んでいる?そのライト騎士にか?」
「……多分…」
「ジョエル、フレックと話してみたらどうだ?もしグロース家と関係あるとしたら……フレックにも話しておいた方が良い…」
「ああ、分かった。ありがとうボム」
ジョエル騎士は部屋を出た後フレック騎士に話せるのか迷っていた。
(……ライト……アイツは本当にグロース家の人間なのか……)










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