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第四騎士団長エドガ

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「お早う御座います。エドガ団長」
「ああ、おはよう」
第四騎士エドガ団長は城内の廊下を歩き第四騎士室へと向かっていた。
「さて、今日の訓練は何をするかな…」
カチャッ、と部屋の扉を開け中に入ったエドガ団長は、驚いた顔から不機嫌な顔付きへと変わった。
「……何故、お前が第四騎士室の中に居るんだ?サミエル……」
「ふっ」と不敵な笑みを見せるサミエル隊長は、エドガ団長が座る団長席の椅子に背凭れ、キイィ…と椅子を動かし足を組み扉の前に立つエドガ団長を見ていた。
「同期の親友に会いに来たのだが?」
「…何が同期の親友だ!何を企んでいる」
「酷い言われようだな、お前が俺を無視続けるから俺がわざわざ足を運んでいるんだが、まだ怒っているのか?あの事に」
「……もう、昔の事だ……」
「ふっ、お前とノエリアは別れるほどお前にとっては昔の事なのか?」
カッ!と怒りが込み上げたエドガ団長は、カッカッとサミエル隊長が座る椅子へと向かい胸ぐらを掴み上げた。
「お前がノエリアの名前を出すな」
「俺の女だが?名前を出すなと言われるのは可笑しいと思うが?」
「何が『俺の女』だ!人の彼女を寝取った奴が」
サミエル隊長の胸ぐらを掴んだ手が震えていた。
「俺に手をあげても良いが、ノエリアから俺を誘ったのをお前も知っているだろう?お前に別れ話しもあの女が言ったのだが?!」
「お前…自分の彼女に『あの女』と言うのか」
「ああ、お前に話していなかったな俺はノエリアと別れたからな」
「!?別れた?……だと?」
「お前はノエリアが他に男がいた事を知らないわけではないだろう?」
「!」
サミエル隊長の胸ぐらを掴んでいた手を放したエドガ団長は何も言えずにいた。
「偶然お前とノエリアが一緒にいる所を俺が会ったあの日、俺の爵位を聞いたあの女の目が輝き、お前がいるのをお構いなしに寄り添って来たのをお前も見て知っていると思ったが?」
「……」
「その後はお前も知ってのとおりノエリアと寝たが、俺はノエリアを彼女だと一度も思った事はない」
パシッ!
エドガ団長はサミエル隊長の頬を叩き、サミエル隊長は笑みを見せていた。
「……お前に出会う前は俺達は幸せだった」
「ふっ、幸せか、他に男がいた女に肌を見せ俺に寄り添う女でもお前はノエリアが良かったのか?」
「……黙れ!くだらない用なら出て行け!!」
「ハハハ、怒ると怖いな~用なら有るが、今日はお前達第四騎士と俺とで剣の指導をする」
「!?」
エドガ団長は驚き、叩いた頬が赤く見えるサミエル隊長は、クスクスと笑い座っていた椅子から腰を上げ、エドガ団長の側へと近寄った。
「お前何を勝手に指導など……っ!!」
グイッとエドガ団長の顎を手で持ち上げるサミエル隊長は、唇を重ね強引に舌を絡ませ、驚いたエドガ団長は無理矢理顔を逸らし睨み返した。
「っ……」
「ふっ、俺のモノに早く成っていればあの女のせいでお前が傷をおう事は無かったのにな」
「誰がお前のモノに成るか!俺は今日の任務は認めないぞ、何を勝手に決めている」
「お前の騎士どもの腕試しが楽しみだ」
「おい、話しは終わっていないぞ」
扉の前まで歩く足を止め、エドガ団長を見たサミエル隊長は笑みを見せ声を出した。
「言っておくが、俺もノエリアに騙された内に入るんだ。別れた時はお前の分まで合わせて別れてやった」
「……は?お前何を言っているんだ?」
「ふっ、お前は知らなくて良い、じゃあ後ほど闘技場で待って居るぞ」
「おい!」
パタンと扉を閉めたサミエル隊長は第四騎士室の部屋を出た。






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