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サミエル・グロース

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闘技場に集まった第四騎士団の騎士達は、まだ姿を見せないエドガ団長が来るのを待っていた。
「団長が来ていないのも珍しいよな、いつもは俺達より早く待っているのにな」
「あっ、俺エドガ団長と朝廊下で会ったぞ。声に出して『今日は何をするか?』って言っていたな」
「ハハハ、団長の口癖だよなーっ、闘技場だから稽古だろうな」
「いや、まだ分かんないぞ、場内走り回るだけかもしれないし」
「げっ、やめてくれ~」
第四騎士団達の笑い声が闘技場内で広がるなか、奥の入り口からエドガ団長の歩く姿が見えていた。
「お、団長が来たぞ!皆整列だ」
騎士達はエドガ団長の姿を見てもう一人後ろから歩く姿が見え騎士同士声を出していた。
「おい、団長の後ろから誰か一緒に歩いているぞ?」
「顔が見えないな…誰だろう?」
「なあ、気のせいかな…エドガ団長凄く機嫌悪そうな顔をしていないか?」
騎士達が『もう一人の騎士が誰なのか』と話しをしていた時だった。騎士の姿が見え始めそして騎士全員顔色が変わった……
!?
「……」
「……う、嘘だろう?!……なんで団長と一緒にサミエル隊長が……」
「……何故ここに……」
第四騎士達の驚きと顔色が真っ青になり震える騎士もいた。一番に驚いたのはフレック騎士とジョエル騎士だった。
「フ…フレック……何故サミエル隊長が……」
「……」
フレック騎士は目を逸らしたくても逸らす事が出来ず、エドガ団長の後ろを歩くサミエル隊長の横顔に不敵な笑みを見せる姿を見た。そして騎士達の笑顔は消えていた…
「……あー…突然の事でみんなも驚いていると思うが、第二隊長のサミエル騎士が第四騎士団のお前達に剣の指導を行う事に成った」
ザワッ!と一斉に騎士達の焦りの声を聞いたサミエル隊長は笑みを見せ、自分の前に並ぶ騎士を見渡しある騎士に目を向けていた。
「な…なぁ…隊長…俺達の方を見ていないか?」
「なんでこっち見てんだよ」
「し、知らねえよ…」
先頭に並ぶ騎士達がサミエル隊長が見ている事に気付き声を出していた。
「……お、おい、フレック、隊長の目が俺達の方を見ていないか?!」
「……」
フレック騎士はジョエル騎士の声にサミエル隊長が自分の方を見ている事には気付いていた。
フッと目を逸らしたサミエル隊長はエドガ団長の方に顔を向けた
「俺も挨拶したいのだが?」
「勝手にしろ」
「フッ」
サミエル隊長はエドガ団長に声をかけた後、一歩前に足を向けた
「第四騎士団の騎士達初めましてかな?私は第二隊長のサミエルと言う。私の事を知らない騎士はいないと思うが、今日は君達と剣の稽古と指導をしたいと思い足を向けた所だ。
隊長だからと遠慮は要らない、持っている力を私にぶっけると良いだろう…第四騎士団の実力がどれ程のものなのか楽しみだなクックックッ」
「……」
サミエル隊長の不敵な笑みを見た騎士達はこの後が地獄の始まりだった……








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