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フレック騎士とジョエル騎士③

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ガヤガヤと騎士達の声と騎士学校の生徒達が列を作り闘技場へと歩いていた。
「こうやって改めて集まると結構いるんだな…」
フレック騎士はまだ完治していない傷口が、歩くたびに痛む体を押さえ騎士達が並ぶ後方で歩いていた。
「ジョエルが見たら『何故来たんだ』と言って怒るだろうな」
フレック騎士は前を歩く大勢の騎士を見渡し、ジョエル騎士が何処に居るのか捜していた。
「あ、いた!」
大勢の騎士と騎士学校の生徒の中をフレック騎士はジョエル騎士を見つけ出し、隣にはボム騎士の姿が見えていた。
「ボムと一緒みたいだな…こんな大勢の中でジョエルを捜して見つけるとは思わなかったな」
フレック騎士はジョエル騎士が言った言葉を思い出していた
(……聞き間違いでなかったらジョエルは俺の事を…何も知らなかったとはいえ俺は……)
パタパタと後ろの列から離れて走る騎士の姿を見たフレック騎士は、目を見開きその騎士の後ろ姿を見て声に出した。
「ライト…!?」
数日ぶりに見たライト騎士は笑顔を見せ走っていた。
「……」
(俺の後ろ姿を見て俺だと分かったと思ったが…もう眼中に無いと言う事か…あの顔は俺に良く見せていた顔だった……)
「なあ、さっきの騎士並ぶ列を離れて走って行ったぞ何かあったのか?」
「さあ?って言うか見ろよ、さっきの奴じゃないのか?闘技場の入り口にいる男の方へ行っているぞ待ち合わせしていたんじゃないのか?」
フレック騎士の後ろから歩く騎士二人は、ライト騎士が向かった先に男が立っていると聞いてフレック騎士は闘技場の入り口を見て驚いていた。
「……カイル…王子!?」
ライト騎士が真っ直ぐ走る先には、カイル王子が闘技場の入り口に立っ姿に思わずフレック騎士は歩く足を止めた。
「うおっ!?なんだ?」
「おい、急に止まると危ないぞ」
「あ、わ、悪い…」
フレック騎士は二人の騎士から注意を受け慌てたように歩き出した。
(……まさか、ライトはカイル王子の事を?!……いつからカイル王子と…爵位が上で側にいたいと言っていたのがカイル王子の事だったのか…!?)
フレック騎士はカイル王子に話し掛けているライト騎士の姿を見ていた。
(でも様子が、カイル王子はライトの方を見ていないような…)
フレック騎士は、闘技場の入り口で話しをしているカイル王子とライト騎士を見た後、ふとジョエル騎士に目を向けていた。
「ジョエル?」
(横顔でも分かる…カイル王子とライトを見ているジョエルの顔が怒っているのか?もしかして俺の為に…)
フレック騎士はライト騎士とカイル王子の事よりもジョエル騎士の事が気になっていた。





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