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コンコン!「お早うカイ起きてる?」
まだ外が薄明かるい中ルカリオ兄が早朝から俺の部屋を訪ねていた。
「……黒髪のカイも変だよね…」
ルカリオ兄が俺の部屋の中に入り俺が寝ているベッドを見て呟いていた。
俺は風呂から上がりそのまま眠ってしまったらしく、俺はベッドの上で両手両足を「大」の字で広げて眠って居たようだ。
「……」
ギシギシ…とベッドの上に乗るルカリオ兄は俺の上に股がり唇を重ねていた。
「ん……カイ…」
クチュッ…と音が聞こえる中口の中に塗るっと濡れた感触で動きを止めている俺の舌を小さな舌が動いている…俺は口の中に何かが入って来たのか?とボーッと閉じていたまぶたを開いた。
目の前にルカリオ兄の顔があり俺とキスをしている事で驚いた
「ん?!…に……んん…」
クチュッ、クチュッ、と音を立て俺の舌を舐め回すルカリオ兄に焦っていた。いっも驚かされるが時々ルカリオ兄が大人に見える時がある王様の対応でも堂々としている姿に驚かされた
俺が目を覚ましおどおどしている姿を見てクスッと目を細め見ている姿はユリウス父さんに似ている処も合った。
ルカリオ兄は重ねていた唇を離しニコッと微笑んで俺の顔を見下ろしていた。
「お早うカイ僕からの朝の挨拶受け取ってくれた?」
「……う…普通に起こして欲しい……」
俺は顔が真っ赤になり寝ていた体を起こした。
「にぃ、いっも早いね…あっ……今日学校だったね…」
「…うん、行きたくないな…カイと屋敷の中で一緒にいたいよ…今この屋敷に居ない人のせいで朝から重いよ…」
ルカリオ兄がユリウス父さんの事を言っているのだと思った…
コンコン!と、扉を叩く音がしてメイドのカトリアさんが話し掛けていた
「お早う御座いますカイト坊っちゃま、ルカリオ坊っちゃまは来てますか?お部屋を見ましたら居ないもので……」
「お早うカトリアごめんねカイトの部屋に来たんだ」
ニコッと笑顔で答え、そしてカトリアさんから話を聞いた。
「あっ、今日メイド達と使用人達がお城に行くのですがお城から馬車の迎えが来るそうですよ!」
「「馬車?」」
俺とルカリオ兄は馬車と聞いて2人同時に驚き声を上げてしまった。
「何でも王様がメイドに使用人達が早くお城に着くように馬車を用意しましたと聞きました。凄いですよね屋敷の周りは馬車で埋め尽くされますね」
俺は思わずさすが金持ちと思ってしまった。
俺達3人話をしていると廊下から複数の足音が聞こえ部屋の前で止まり扉を叩くと同時にリン姉とジェーン兄が部屋に入って来た
「カイちゃんお早うお姉ちゃまよ~っ」
「リン、扉を叩いた後いきなり開けたらダメだよ…カイトお早う…今日は黒髪のカイトだね」
ニコッと挨拶をくれたジェーン兄と、誰?見たいな顔をしているリン姉がベッドの上に座っている快斗の俺を見てキョトンとしていた。
「あ……えっと…リン姉様……カイトだよ」
俺はニコッと笑い困った顔でリン姉に言ったけどまだジッと見て動く気配が無いリン姉にルカリオ兄がリン姉と話をしていた。
「…リン姿は違うけど目の前に居るのは僕達の弟のカイトだよ」
「ルーお兄ちゃま…本当にカイちゃんなの?」
「うん、そうだよカイトの手を触ってご覧…」
ルカリオ兄は俺にリン姉の手を持ってと言われリン姉は俺の側までチラッ、チラッと顔を見て俺の大きな手に小さなリン姉の手を触り「カイト」の気をリン姉の手に流してあげた。
「!?カイちゃん?」
俺は笑顔で頷きギュッとリン姉の手を握ってあげた
「すごーい、すごーい、カイちゃんが大きくなってる~っ」
俺の手を握りしめピョンピョンと跳ね喜ぶリン姉にホッと安心をして、俺達は食事部屋に入って行った。
「お早う、あら皆一緒に来たのね。カイちゃん御部屋は気に入ったかしら…」
「お早う御座います。はい、昨日はぐっすりと眠って居ました」
ユリーナ母さんは皆で居るときは俺の事を「カイちゃん」と呼び2人の時は「御兄様」と呼んでいる。
テーブルの席にはさっきからため息を吐いているショーン兄がいた。
「はぁ…学校に行くのが重いよ…」
「ショーン御兄様皆無視をすると良いですわ」
多分もう噂が流れていると思い学校に行くのが辛いようで俺はただ見守る事だけで何事も無ければ良いのにと願うだけだった。
ショーン兄とエミリー姉にアニー姉そしてルカリオ兄達は重い足を引きずり馬車で学校に向かって行った。

その頃お城ではユリウス父さんの部屋の前をウロウロしているシルビア王女がいた。
「シルビア様こんな朝早くからユリウス様の部屋の前を待ち伏せするのは良くありませんよ」
「でも…一緒にお城で生活をしていると思うと早くユリウス様に会いたくて…ユリウス様の御部屋に入っては駄目かしら…」
「駄目です!シルビア様そんな事をなさいますと結婚出来ませんよ」
「…分かっているわ…ユリウス様まだ御部屋から出られないのかしら…」
シルビア王女付きのメイドから部屋の出入りを注意されたシルビア王女は夜も中々眠ることが出来なかったらしい……
部屋の中でのユリウス父さんは目が覚めるとブランシェ家の自分の部屋でもベビーベッドがあるユリーナ母さんの部屋でも無く知らない豪華な部屋でふうっ…と朝から沈んでいた。
(午後からルィーズと会う時間が待ちどうしいな…)
ユリウス父さんは着替えの中部屋の外から話し声が聞こえ部屋を出ると廊下にはシルビア王女とそのメイド付きが部屋の前に待っているのに驚いていた。
「……シルビア様?どうしたのですか部屋の前で…」
シルビア王女は小走りでユリウス父さんに抱き付いて来て笑顔で挨拶をしていた。
「お早う御座いますユリウス様少しでも長く一緒に居たくて待って居ました。」
「……シルビア様私の部屋の前に居ますと王様に何を言われるのか…」
まさか部屋の前に待って居るとは思わずこれが毎日続けば困ると思っていた。
「ご免なさいユリウス様早く会いたくて我慢が出来なかったのです。」
ギュッと後ろに腕を回した手に力が入りシルビア王女はユリウス父さんの体に顔を埋め頬を赤く染めていた。
「シルビア様私はまだ仕度の途中ですので、すみません放して貰えますか?」
「え?あっ、ご免なさいユリウス様私ったら……あの、仕度が出来ましたら朝食は私達とご一緒ですのでユリウス様」
「…え、朝食がご一緒とは?…私は騎士達と一緒の食事に成りますが?」
「私の夫になる人なのです私達家族と一緒に食べますのが当たり前です。騎士の方と一緒には出来ませんわユリウス様、では、先に行きますので御待ちしております」
シルビア王女はメイドと一緒に先に行きその後ろ姿をユリウス父さんはボーッと見ていた。
自分は今既にシルビア王女の籠の中に居るのでは…と開いた口が塞がらないままでいた。





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