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「ブランシェ侯爵済まなかったな、朝食を一緒に取る事になってシルビアがどうしても一緒に食事をしたいと言い出したからの」
「……いえ」
長く白いテーブルに4人で食事をする事になったユリウス父さん
隣ではシルビア王女が笑顔で朝食を取っていた。
朝から豪華な食事にユリウス父さんは食が進まなかった
ブランシェ家では前世での本田家の食事に時々違った軽めの朝食が定番だった。目の前の朝食は少し食べてはお皿を引きまた別の食べ物が出てくるこれが王族の食事の食べ方だった。
「今日からブランシェ家のメイドと使用人達が城に入る事に成るから大忙しだな」
「申し訳御座いません王様無理な事を申しまして…」
「何働く場所は沢山ある気にする事は無い、王妃私は出掛けるが後を御願いしても良いか?」
「はい、わたくしは大丈夫で御座います。今日お会い出来ると宜しいですわね王様ふふっ…」
「ああ、そうだな…会えると良いが…」
「御父様御出掛けですの?」
「ああ、用事でな…出掛けてみたい場所があっての…」
王様はふうっと息を吹き食事の手を進めていた。
王様達と食事を終えたユリウス父さんが歩き出そうとした時にシルビア王女が一緒に歩く事を言って来た
「ユリウス様今からどちらに行かれるのですか?」
「……これから仕事に向かい総隊長の部屋に向かうのですが…シルビア様は反対側の廊下では?」
ユリウス父さんはシルビア王女のいつも通る廊下を知って居たため何故か今一緒に騎士達の通る廊下を歩いている。
すれ違う廊下でユリウス父さんとシルビア王女と一緒に歩いている姿を見た騎士達がヒソヒソと話す者もいた。
「おい、ユリウス隊長朝からシルビア王女と一緒に歩いてラブラブじゃん」
「はーっ、朝から見せびらかしかよこっちは仕事だってのに」
2人の通り過ぎる姿を見て余り良く言わない騎士達もいた。
「シルビア様私はこの先に用がありますのでシルビア様も戻られた方が宜しいかと……」
「ユリウス様の行かれる所は何があるのですか?」
「……騎士達専用の御手洗いですが…」
「御手洗い……」
シルビア王女は真っ赤になり悲鳴のような声を出していた。
「きゃあーっ、ユリウス様早く言って下さいそのような事は…やだもーっ!」
「……」
「ユリウス様私はここで失礼しますけど、時々お伺いしても良いですか?」
「……シルビア様仕事の時は会えないのです。約束は出来ませんので……」
「…そうなのですか…お昼にご一緒には無理なのですか?」
「午後からは外周りの仕事に成りますので無理かと思います」
「外ですか……ユリウス様外でも声を掛ける女性が居るのですか?」
「え、挨拶は良くありますが、そんなに話す事は無いかと…」
「ユリウス様女性から声を掛けられましても話さないで下さい」
「え?しかし…挨拶は必要なのです。街の人達との情報等私達騎士の仕事なのですから…」
「…ユリウス様は私よりも…街の女性が良いのですわ……」
シルビア王女は目から涙を流し通り過ぎる騎士達がその様子を見て驚いていた。
「…シ…シルビア様泣かなくても…」
ユリウス父さんは騎士達がいる為オロオロとしていた。
「…ユリウス様…どうして抱き締めて下さらないのですか?」
「!き…騎士達がいる前では……」
「私よりも…騎士の方々を選ぶのですか?」
『えええ!?ちょっと待て、勘弁してくれよ~っ』
ユリウス父さんは心の中で日本語で参っていた。
「…シルビア様余りユリウス様を困らせ無い方が良いと思いますユリウス様も困っています…私はこの事を王様に報告したくはありませんシルビア様……」
シルビア王女付きのメイドが今まで2人の様子を見て、ユリウス父さんが困っている為声を掛け、王様からメイドにシルビア王女がユリウス父さんの事で何か合った場合報告をする事を言われていたようだ。
「……クスン…分かったわ……ユリウス様ご免なさい騎士の方々がいる事を考えずユリウス様を困らせました」
シルビア王女は目の前に立っているユリウス父さんの腕を触り謝っていた。
「……シルビア様私は騎士達の上司なのです。騎士達にシルビア様を抱き締める姿を見せる訳には行きません…私も仕事をしていますので、シルビア様もその事を分かって下さい」
「……はい」
ユリウス父さんはシルビア王女に少し厳しい言葉を掛けシルビア王女達の元を去って行った。
「…ユリウス様怒ってしまったのかしら……」
「そうですね場所が悪いと思います…ユリウス様は騎士の方達の上司でありますから…」
「そんな方を私の夫になるなんて夢のようだわ」
「でも、余りユリウス様を怒らせないようにしてください。シルビア様!」
「分かっているけど、甘えてしまうのよ分かるでしょ?」
「はい、はい、わたくし達も戻りましょうシルビア様今日はブランシェ家からメイド達が来るのでしょう?!」
「そうなのよ…嫌だわユリウス様目当てで来るメイド何て……メイド達をユリウス様の目にとまらない場所で仕事をすれば良いのに…メイド長に相談してみようかしら…」
「シルビア様怖いですわ…ふふっ」
シルビア王女とそのメイド付きが怖いことを話して居るなか
ドッ…と疲れたユリウス父さんが廊下を歩いていた。
「……朝から勘弁して欲しい……」
ユリウス父さんは沈んだ顔で、シルビア王女との事で疲れていた
今度は騎士の事までも話し出すとは思わず抱き締める事に躊躇っているとどうして抱き締めてくれないのかと言われ等々我慢できず、厳しい言葉を掛けてやった。
「……厳しいとは言えないな…あの程度では…」
周りに騎士達が居たため仕事に来ている事をシルビア王女に分からせるのがやっとだった。
廊下を歩く中騎士達とすれ違う度にヒソヒソ話が目立っようになった今まで普通に話しをしていた騎士達も今では挨拶だけとなりシルビア王女との結婚発表で次の日から騎士達が変わるとは思いもしなかった。
ユリウス父さんもこの城内で悩む事になってしまった
「総隊長ユリウスです」
「入れ!」
「失礼します……」
ユリウス父さんは総隊長の部屋の中に入ると1人の騎士が立っていた。
「お早うユリウス昨日はお疲れだったな」
「お早う御座います総隊長…いえ、自分は別に……」
「お早う御座いますユリウス隊長、私も驚きましたシルビア王女との御結婚おめでとう御座います」
「……お早う…まだ決まった訳ではないので…」
ユリウス父さんは側にいる騎士からの祝いの言葉が素直に喜べなかった。
「ユリウス丁度良かったお前に伝える事が合ったのだ」
「私にですか?」
「来週からお前の騎士移動が決まった」
「は?…移動とは何故ですか?総隊長…」
突然の騎士移動と聞きユリウス父さんは驚き戸惑った。
「来週から王様直々の護衛騎士として働く事になった」
「!?」
「そしてお前の後をここにいる彼が隊長となった」
ユリウス父さんは余りの驚きで自分の隊長の後任を目の前の騎士が受け継ぐ事になった。
「カール・ヴォルティと言います。ユリウス隊長の後任として恥じぬように頑張ります」
カール騎士はユリウス父さんに礼をしてこれからの事をお願いしていた。
「……カール騎士私は総隊長との話がある席を外してくれないか」
「分かりましたそれではわたくしはこれで失礼致します」
カール騎士は総隊長とユリウス父さんに礼をした後部屋を出た。
「総隊長どういう事ですか私に相談も無く騎士移動になるとは」
「お前も驚くのも無理はない、昨日御披露目の時に王様から直に言付かった事だ次期王となるお前に王としての役割を知って貰いたくて王様の側で護衛騎士として側に置かれる希望をされた。今まではお前も王様の側で数名の騎士の中の1人として王様の側に仕え、他の騎士達との剣稽古に城下町の巡回の見回り等の仕事を任されていた。
だが来週からはお前は王様の側で王様を守る騎士になった。今までこなしてきた仕事を今度はカール騎士がお前の代わりとなったのだ。」
「……」
ユリウス父さんは何も言えずただ総隊長の話を聞くだけだった。
「…簡単に言えばシルビア様の為のようなものだ」
「シルビア様の為?」
「シルビア様はお前に対して情が深い方だと聞く少しでも女性の側にいるお前が嫌だと聞いた…その事もあり王様が決めたとも言える」
「……」
「……王になると言うことは自分の自由を奪われて仕舞うと言うことでもある…その道をお前が決めて選んだ事だ…もしお前が不服と思うなら王様に直接話せば良い…来週まで日にちはあるどうするのかは自分で決める事だ……私からの話は以上だ」
ユリウス父さんは自由を奪われたようで何も考えられずただ暫くその場から動けないでいた。








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