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ルィーズ夫人がユリウス父さんを残して去って行ってしまった頃ブランシェ家では笑顔で喜ぶ声が聞こえていた。
「スティーブン有難う…なんと言えば良いのか…喜びの余り言葉が見つからないな…ははは…」
「スティーブン貴方がまだユリーナを想って居てくれているなんて……ユリーナは幸せ者ね…有難うスティーブン…」
「叔父様、叔母様…有難う御座います……私にユリーナとの結婚を許して下さったから私はユリーナに打ち明ける事が出来たのです」
3人で喜びを分かち合うなかユリーナ母さんは黙ってその様子を見ていた。
「…母様……」
俺は3歳の姿で1人離れて立っているユリーナ母さんの側に来ていた。
「……カイちゃん…」
ユリーナ母さんは俺の顔を見ると困った顔を見せていた
「カイちゃん御願いがあるの…御兄様に会わせて欲しいの…」
俺は頷き3歳のカイトから黒髪の快斗に姿を変えた
ユリーナ母さんは黒髪の俺の顔を見て泣きそうな顔を堪えうつ向いて話してくれた。
「…何て言えば良いのか分かりません……スティーブン御兄様からの結婚の申し込みを喜ぶ私と旦那様に申し訳無いと思い胸が苦しい私がいます。スティーブン御兄様と結婚をすればもう旦那様と御会いすることも…お城での生活も出来ません…これから私達家族はスティーブン御兄様を家族として迎える事に成ります。
最後まで一緒に暮らそうと言って下さった旦那様を私は最後まで断り続けて来ました。シルビア様を愛する姿を見たくない為に一緒に住むことを断りました……これで良かったのでしょうか…」
ユリーナ母さんはうつ向きユリウス父さんが一緒に暮らそうと言っていた事に心が揺らいでいただろうと思った。
「……この生き方をユリウスが決めた事です。ユリーナさんは今の暮らしの事を考えて子供達をそしてスティーブンさんと一緒に新しい家庭を作って下さい…カイトも家族の一員として喜んでいます」
「……有難う御座います御兄様…旦那様に…ユリウス様に会う事がありましたら御伝え下さい。
私達家族は心配をしなくても良いと…ユリウス様はシルビア様と一緒に家庭を築き王として国民を護る事に…そして私達家族を愛して下さり有難う御座います…と伝えてくれますか?」
ユリーナ母さんは涙を流して笑顔で話してくれた。
「……分かりました御伝えいたします…」
ユリーナ母さんは礼をした後3人で集まり話の場に加わり一緒に笑顔で語り合っていた。その姿はこれから夫婦となる2人にそしてカイトと兄姉達の父親に成ろうとしているスティーブン伯爵の幸せな笑顔を俺は見守り続けた。

「カイト坊っちゃま何を作って居るのですか?」
俺の側にはメイドのカトリアさんが「美味しそうですね」と俺が作っているサンドイッチを見て話し掛けていた。
俺は今屋敷の厨房を借りてお昼の用意をしていた。
ユリーナ母さんの両親とスティーブン伯爵そしてジェーン兄とリン姉達のお昼ご飯は俺が作ってやろうと思いサンドイッチを作る事にした。
ブランシェ家は食パンが結構の量があるから嬉しい、玉子焼きにハムとレタスに似た野菜にイチゴジャムがあるから一緒に作っている処だ……数人のコックだろうか俺が作って居るところをジーと見ていた皆の分は作れないからコックさんに作り方を教えた簡単だから誰でも作る事は出来る。
「カトリアさん、サンドイッチは食べた事は無いのですか?」
「サンドイッチと言うのですね、食べた事はありません、こんなに簡単に作る事が出来るのですね…カイト坊っちゃまは料理もするのですね…はぁ…」と、何故カトリアさんがため息を吐いていた…
「自分で作る範囲ですけど、あっ、これ食べて見ます?パンの耳を油で揚げたカリカリのオヤツです」
俺はパンの耳を油で揚げ砂糖をまぶし、皆に試食して貰っている処だ。
「おおっ、パンの耳がカリカリと外は砂糖で甘味があり子供達が喜ぶお菓子のようです」
「美味し~い、私達メイドのオヤツにしたいわ」
「カイト坊っちゃま美味しいですわ……料理も出来る何てふふふ屋敷に残って良かったわ、城に行った皆が可哀想ふふっ」
皆喜んでもらい俺は久しぶりに作ったサンドイッチの玉子焼きを見ていた…勇樹も玉子焼きのサンドイッチが好きだった事を思い出し、メイドのカトリアさんにユリーナ母さん達のを持って行って貰う事をお願いして俺は皿に乗せたサンドイッチと紅茶の容器をバスケットの入れ物を借りその中に入れ持ち運び、ある場所に向かっていた。
ブランシェ家の庭は広い為一ヵ所に庭園が花が沢山咲いている場所があるとメイドの1人に途中まで来てもらい俺は庭園という場所に着いた。
庭園には丸い白いテーブルに椅子が3つあり1つの椅子に男性が1人静かに考え事をしている様子で椅子に座っていた
「……王様…」
俺はボソッと一言口にすると王様のいるテーブルに近づいて行った。







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