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「……ユリーナと……カイトが一緒に来ているのかい!?」
ユリウス父さんはリン姉の顔を見た後馬車の方を向いていた。
「城下町に一緒に来ないかと誘ったのだ…ユリーナ殿も屋敷の中では息が詰まるだろうと思い上の子供達が学校に行って居る間に気晴らしに外へ行く事にしたのだ…」
王様は話しをしながらユリウス父さんの側まで歩いて、未だに抱き着いて離れないリン姉を王様はジッ…と見ていた。
「…ブランシェ侯爵、シルビアとの結婚に躊躇いは無いのか?」
ユリウス父さんはいきなり王様がシルビア王女との結婚をする意思があるのかを確認している様で何故今その事を話すのか分からずにいた。
「……何故その話しを為さるのですか?」
「…そなた達の姿を見るとあの時ブランシェ侯爵がシルビアと結婚すると打ち明けた時にその場で直ぐにそなたとシルビアとの結婚の約束を交わした事にまだ早かったのではと思ったのだ…私はそなたとその家族を引き離してしまった…まだこんなに幼い娘がいる家庭を……」
王様は後ろからリン姉の頭を撫で辛い顔を見せていた。
「……城内で伺っていた私は既にユリーナと別れておりました…あの時はシルビア様との結婚する事だけを考え……家族の事は…」
ユリウス父さんは話の途中リン姉を抱き締めて居る体にギュッと握り締め言葉が出なかった。
「ブランシェ侯爵に今頃言ってもどうにも出来ないが…そなたに言っておくがシルビアと結婚した後は他の妻を迎える事は難しいだろう」
「え!?」
ユリウス父さんは王様のシルビア王女との結婚後の事を聞かされ驚き思わず声を出してしまった。
「……その顔を見ると…シルビアと結婚した後女を迎える積もりでいたようだな…」
「い、いえ……私は、シルビア様だけを……」
「今はその様に言えるが、シルビアは他の女とそなたと結婚をする事を反対するだろう…そなた一筋に想っている娘だ他の女をそなたが妻に迎えるとシルビアがどう出るのか…ブランシェ侯爵も知っておろうユリーナ殿とそなたが一緒にいた時の事を……」
「……」
「…それにシルビアはユリーナ殿とブランシェ侯爵との再婚は望んではおらぬ」
「!……ですが王様あの時シルビア様もおりました時にユリーナとの再婚に賛成すると…」
ユリウス父さんはユリーナ母さんと再婚する事をまだ諦めては居なかった。今朝総隊長からもユリーナ母さんとの再婚は諦めろと言われたが、目の前に娘が居るとまた一緒に住めると思っていた
「……私が賛成しても、夫婦として話し合うのはブランシェ侯爵とシルビアそなた達2人が決める事だ」
「……もし、シルビア様がユリーナと子供達を受け入れる事が出来なかった時は……」
「ユリーナ殿との再婚を諦める事だろう…」
「……そんな…」
「ブランシェ侯爵とユリーナ殿が離婚せずそのままユリーナ殿が後妻で合ったのなら状況は変わって居ただろうな…そなたとユリーナ殿は別々の人生を歩むがユリーナ殿を大切に思うのであればユリーナ殿の幸せを考えて上げる事だな」
「……」
ユリウス父さんは王様の話しを信じる事が出来ずギュッとリン姉の体を抱き締める事しか出来なかった。
「父様リンにギュッして痛いよ」
「え……あ、ごめん、ごめん、父様久しぶりにリンに会ったからね思わずぎゆ~ってしてしまったよ」
ユリウス父さんは王様が今話した事を考える事を止め今は目の前に居るリン姉と馬車の中で居るユリーナ母さんと俺に会いたいと思っていた。






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