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ユリウス父さんとユリーナ母さんはお互い挨拶が終わったがそのまま何も話さなくなり気まずさが合った。
「……」
「……」
「父様?母様?どうしたの?」
何も知らないリン姉は両親が黙ったままでいる事が不思議に思いユリウス父さんに抱っこして貰っている体を揺さぶっていた。
「こらリンそんなに動くと落ちるよ」
「は~い!」
リン姉はニコッと笑いユリウス父さんの顔に頬擦り甘えていた
その様子を黙って見ていたユリーナ母さんの顔は辛い顔を見せる事しか出来ず笑顔には慣れなかった。
ユリウス父さんは周りを見て散歩道があることに気付き王様にお願いをしていた。
「……王様暫くユリーナと歩きたいのですが宜しいでしょうか?」
「ああ、構わんが娘は抱っこして行くのか?」
「…はい、このまま親子3人で歩きます……カイトは後で会いたいと伝えて貰えますか?」
「……分かった伝えておこう…」
ユリウス父さんは王様に礼をした後ユリーナ母さんに手を差し伸べていた。
「今だけ私の妻に戻って欲しい…リンも私達がいつもと違う事を知れば悲しむ…だからユリーナ手を…」
「……」
ユリーナ母さんは戸惑いながらユリウス父さんの差し伸べた手をいちど手を伸ばすが途中で止めた時ユリウス父さんは途中で止まっているユリーナ母さんの手をすかさず握り締め自分の元へ体を引き寄せユリーナ母さんは驚きユリウス父さんの直ぐ側に体を寄せただ下を向くことしか出来なかった。
王様もユリウス父さんがユリーナ母さんに体を引き寄せている姿を見ていたが今だけ見なかった事にして、王様は馬車の中に入って行った。
「ユ…ユリウス様、手を、離して下さい」
「…ユリーナ私の事は「旦那様」と呼んでくれ…頼む…」
ユリウス父さんはユリーナ母さんの手を握り締め手の甲にキスをして瞼に涙を溜めている顔をユリーナ母さんはそれに気付き自分の手を握り締め震えている唇に手にキスをしているユリウス父さんの姿を見て…少し息を吐き重い口を開き一言話した。
「…旦那様……」
「!!」
ユリウス父さんは涙目になり笑顔でリン姉を抱っこしている反対側の腕にユリーナ母さんに抱き付き頭にキスをして喜びそれを見ていたリン姉もユリーナ母さんの頭を何故か撫でていた。

リン姉を抱っこしているユリウス父さんとユリーナ母さんが一緒に居るなか俺は1人馬車の中から窓を眺めていた。
カチャ!
と、馬車の扉が開き王様が馬車の中に入り俺は思わず驚いた顔をしていたと思う
「何だカイト私の顔を見て何故驚くのだ?」
「え、あ…すみません……まさか王様が中に入って来るとは思わなかったので……」
王様は馬車の扉を閉め3歳の俺の隣に座りジーっと俺の顔を見ていた。
「…な、何ですか?」
「……3歳児の話し方では無いと思ってそなたを見ているのだが、今はそなたと私だけだ黒髪のカイトになっては暮れぬか?」
「…王様の目の前で、ですか…」
「私が見ているのが嫌なら目をとじるが…」
「……いえ…」
3歳の俺は王様が見ている目の前で精神を集中して黒髪の快斗の姿に成り、小さな体から大きな体に変わって行く姿を目を見開いて王様は俺の姿を見ていた。
黒髪の快斗に成った俺は閉じていた瞼を開きゆっくりと顔を上げた。
「……」
俺は何も話してはこない王様に顔を向けて良いのか分からず思わず前屈みになり両手で顔を隠し息を吐いた
「…王様?何故何も話さないのですか?…」
「……あ……ああ、済まない…思わず見惚れてしまった…」
「見惚……?」
「そなたの姿を変わるのを見て綺麗だと思った…キラキラとそなたの体が周りを光の粒が舞い靡く黒髪がとても綺麗で男を綺麗だと思ったのはカイトそなたが初めてだ…」
「……き…綺麗?」
俺は王様から綺麗と言われ顔が真っ赤に成るのが分かりその後王様はじっと俺を暫く見続けていた。









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