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俺達の帰りをまだかまだかと待っている王様は馬車の側で広場のベンチに座っていた。このベンチに座ってから数名の女性から声掛けがあり王様も今日城下町とこの広場で何人声を掛けられた事か…自分の容姿も結構いけるなと思い2人用のベンチを1人で優先し青い空を見ていた。
「…今日も我が国は平和だな…」
戦争を嫌うラクロス王国は他国との友好関係を大切にしている。
各国からの来客に城下町の出店等各地方からの出入りをラクロス王国は許可を出している。
ただし、検問に通った他国者達が城下町と城での出入りが出来るのだ。
パタン!
馬車の中からユリーナ母さんが降りベンチに座っている王様の元へ寄っていた。
「ユリーナ殿も座ると良い」
王様はベンチの真ん中に座っていた場所を空け座る様に進めた。
「クスッ…宜しいのですか?王様私がお座りしても」
「ああ、王妃は居ない遠慮する事は無い」
王様はベンチの空いた席をユリーナ母さんに譲って馬車の方を見て話し掛けていた。
「娘はまだ眠っておるのか?」
「はい、この子は一度眠りに着きましたら中々起きないのですよ」
クスッとユリーナ母さんは笑い笑顔で応えていた
「寝る子は育つと言うからの…こんなに寝ては朝起きる事が出来ないのではないか?」
「そうですわね…兄姉の中では一番遅いですわ」
「ハハ…そうであろうな…で、一番の早起きは誰なのだ?」
ユリーナ母さんはクスクスと笑いだし王様は首を傾げていた
「兄姉の中ではカイちゃんが早起きなのですよ」
「ほう…カイトが一番に早起きなのか?」
「はい、まだ薄暗い内から起きまして部屋の掃除をするようなのです」
ユリーナ母さんは手を口元にやりクスクスと笑い出していた
「な!?そんな早くから起きておるのか?カイトは…私等まだ寝ておるのに……まるで年寄りだな…カイトは…」
「ふふふっ、隣の部屋の兄はカイちゃんの部屋の掃除で目が覚める様です」
「それは困った弟だな…」
王様とユリーナ母さんはカイトの事で笑い和んでいた。
「それにしても遅いのカイト達は…騎士が迎えに行ったがその騎士も戻らぬとは…」
「……」
ユリーナ母さんはユリウスとの顔を合わせる事に普通でいる事が出来るのか不安でいた。もう夫婦では無いのにユリウスが貴婦人と会っていた事は弁護人からは聞いてはいた…本当は信じていたそんな事をするような人では無いと……だが、散歩道で貴婦人の1人にまだ今でも会っている貴婦人の事を聞き元妻でも自分に嘘を付き隠れて会っている事が許せなかった。
ルィーズ・ホルンと名のる女を今でも好きなのなら後妻にと自分に相談をして暮れたのなら…とイライラが募る思いだった。
「ふふっ、離婚前の私の性格では言えないでしょうね…」
「ん?何か申したか?ユリーナ殿」
「いえ、独り言ですわ王様」
「?」
2人で会話をしている中1人の護衛騎士が王様の元へ駆け寄って来た。
「王様騎士達が戻りました」
「おおっ、やっと戻って来たのか待ちくたびれたぞ」
「…王様、騎士達が戻りはしましたが様子が…それに数名一緒にお連れしています」
「数名?何かあったのか?」
「……」
王様とユリーナ母さんは騎士の案内で広場の入り口で歩いている俺達の姿を見て王様とユリーナ母さんは驚いていた。
アドルフさんを先頭に騎士仲間2人とその後ろに俺を抱っこしているユリウスと少し離れて歩くルィーズ夫人とホルン家の執事その後ろにアノルドさんが歩いて広場まで王様とユリーナ母さんの側に辿り着いた。
「……これはまたどうしたのだ?大人数で戻って来るとは……」
「……!?」
ユリーナ母さんは男性達に紛れて1人下を俯く貴婦人に見覚えがあった
「……ルィーズ・ホルン伯爵夫人…が何故一緒に……?」
「ん?知り合いがおるのか?ユリーナ殿」
「……ユリウス様の愛人で御座います…」
「な!?」
王様はユリーナ母さんがユリウス父さんの愛人と言った事に驚き男性達の中で紛れて立っている1人の貴婦人に目をやった。






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