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トントントントン……!
野菜を切る音が厨房に響き渡る
「カイト坊っちゃまこの野菜は細かく切ったほうが良いのですか?」
「はい…あっその大きさで大丈夫です。すみません皆さんに手伝いをお願いしまして…」
「いえ、家族皆様と一緒に御食事を旦那様がなさいますのです。早く皆様を食事部屋へ御料理をお持ちしたいです」
「有難う御座います料理長さんそして料理人の皆さん」
俺がユリウスに夕食を作ると料理長と料理人達に話しをした時に若い料理人は「何故亡くなった人にご飯を?」とキョトンとした顔で見ていた料理人もいた…だが料理長は俺が父親も一緒にと話した事で俺がする事に賛成をしてくれた。
そして俺の料理を作る手伝いを皆で協力してくれた事に俺は感謝している。
「ブランシェ家の料理人達は皆いい人達だよな」
「ふふっ、私の我が儘を聞いてくれる料理人達だからね」
「確かに…」
俺はクスッと笑いフライパンに似た鍋で油を引き刻んだ野菜達を入れた。
日本で言えば人参にピーマンに玉葱にネギを刻んでいる
肉も豚肉の味が同じ肉があった為別のフライパンで料理人が炒めてくれていた。
「カイト坊っちゃまお米が炊けました」
「有難う御座います。後で貰います」
俺はネギ以外に野菜を炒めて別の皿に移し、鍋にバターを入れる時このくらいかなと適当に入れてバターを溶かした
「…今改めて快斗の料理を作るのを見て調味料は適当何だと今気付いたよ」
ユリウスが俺が適当に入れているのを見て呟いていた。
「今頃気が付いたのか?でも旨いだろう!?」
「確かに……」
俺とユリウスはクスッと笑い溶けて行くバターの上に卵を二個落とし溶き卵風にして、炊き上がったご飯を鍋の中に入れかき混ぜ先に炒めた野菜と肉達を一緒に入れて混ぜた後途中で刻んでいたネギを入れ更にご飯と一緒に混ぜた。
砂糖に塩もあるため日本にいた頃と変わらなく料理が出来た。
バターと卵に野菜と肉の匂いで厨房は良い香りがしていた。
そして最後に俺が手にした瓶があった。
完全に醤油では無いが味が似ていた為に使う事にした。
俺が最後に醤油を入れる時に後ろから顔を覗かせて見ているユリウスがいた。
後ろからギュッと腕を俺のお腹に回し肩に顎を乗せ料理を作る所を勇樹と変わらない仕草で見ていた。
「俺の邪魔をしないと言った奴は誰だ!?」
「さぁ、誰だろうね」
クスクスと俺の耳元で笑うユリウスに俺は「はぁ」とため息を吐き、最後にユリウスが勇樹が大好きだった俺特性のバター醤油味チャーハンを作る事が出来た。
思っていた以上に量が多い為家族にも食べて貰う事にして、一口ずつだが料理長と料理人達にも食べて貰う事にした。
「これは美味しいですカイト坊っちゃま、メニューに載せたい程です。」
「本当に美味しいです。私達の賄いでもピッタリだ」
「一口で喜んで貰えるとは…簡単ですので良かったら作ってみてください」
「あ、あの…私の分はありますか?」
料理人の1人がじゃがいもをスライスした奴を油で揚げていた料理人が作業を終えて俺達の所へやって来た。
「ハハハ…すみません、じゃがいものフライを任せてしまって…一口ですがちゃんとあります。」
チャーハンを料理人に渡し料理人は喜んで食べてくれた。
そしてユリウスは俺に感謝の言葉を伝えた
『有難う、兄ちゃん』
『…食べたく成ったらいつでも作ってやるよ』
『…うん……』
ユリウスは暫く俺の側から離れずギュッと背中から俺を抱き締めていた。



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