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ルィーズとカレン

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「ルィーズ今日貴女に会えて良かったわ」
「……私もよカレン」
ロバート伯爵の母親とカレンが帰宅するとの事で馬車の前でロバート伯爵とルィーズ夫人が挨拶をしていた。
久しぶりに会えた友人だがロバート伯爵に寄り添う姿を何度も見ていた為余り彼女を良く思わないでいた。
「ロバート様今日は楽しかったですわまた花の名前を教えて下さい」
カレンはロバート伯爵の両手を握り締め笑顔で会う約束をお願いしていた。
「……花の名前は私はそんなに詳しくはないよ、ルィーズの友達に会えて良かったカレンさん」
ロバート伯爵はカレンの誘いを受ける事無くルィーズ夫人の級友に会えたと応えただけだった。
「ロバート、カレンさんに失礼よまた遊びに来ていただいても良いじゃないの、そうだわ今度私の屋敷で御食事を致しましょう」
「まあ、嬉しいおば様の御屋敷で御食事だなんて、ルィーズも一緒何でしょ!?ルィーズとも久しぶりに御話しがしたいわ。
ロバート様一緒に御食事は駄目なのですか?」
カレンはロバート伯爵の両手をまだ握り締めたままニコッと微笑み一緒に食事をしたいと頼んでいた。
「……ルィーズどうする?」
「えっ、どうするって言われましても……旦那様が宜しければ私は……」
「ふふっ、決まりね!ロバート後で御食事会知らせるわね楽しみだわ」
「わたくしも嬉しいですわロバート様と一緒に御食事が出来ますもの有り難うルィーズ」
「……」
ルィーズ夫人はカレンの言葉が何故ロバート伯爵の名前を出すのだろうかと嫌な気分でルィーズ夫人はカレンと母親を馬車で見送った。
「ルィーズの級友は積極的で驚いたよ、なかなか放してくれないから大変だった」
「……そんな事を言っています旦那様はカレンから腕を組まれて嬉しかったのでは在りませんか!?」
「えっ、腕を組まれて驚いただけだよ嬉しいとは言って居ない」
ルィーズ夫人はロバート伯爵と顔を合わせず二人の会話はピリピリとした雰囲気だった。
「…ルィーズ何を怒って居るんだ?」
「何も怒ってはいません」
「怒っているから私と目が合わせないんだろう?」
ロバート伯爵はルィーズ夫人の顔に両手で支えじっと顔を見て問いかけていた。
「……旦那様とカレンにやきもちを妬いておりました…」
「やきもち?何故私とカレンさんにやきもちを妬かなくてはいけないんだい?」
「今日は旦那様が御茶会を開いて下さいましたのに、御母様とカレンが来まして二人の御茶会が出来なくなりましたわ…突然友達のカレンに会いまして嬉しいのですが……カレンが旦那様に気が在るような気がしましたのそれでやきもちを……」
ルィーズ夫人は両手で自分の顔を支え持っ手をそっと重ねてやきもちの理由を話していた。
「彼女が私に気が在るなんて事は無いだろう?」
「……私もそう思いたいのですが、カレンの旦那様に対する行動がまるで誘っているようにも見えて…テーブルで席に着きました時も旦那様の方を見て話すカレンの目が違って見えました。
……それに御母様も…私を旦那様から放しカレンと旦那様を一緒に居るようして私を遠ざけているように見えました。
……もしかして御母様はカレンに後妻を考えて……」
「後妻?何を言って居るんだルィーズそんな事は有り得ない考え過ぎだルィーズ」
「……でも…私はまだ旦那様との子供が居ません……御母様がカレンを今日連れて来たのは旦那様に会わせる為かと…思います。
偶然カレンが私と知り合いだった事でもあり、御母様がカレンと私達を御食事を誘われたのもカレンと旦那様の為かと…」
ルィーズ夫人は考えれば考える程今日の事を思い出すとカレンを後妻にと思っているかも知れないロバート伯爵の母親のカレンに対する態度も違って見えていた事にも気付いていた。
グイッ!とルィーズ夫人を抱き締めて来たロバート伯爵に後ろ髪を手で撫でる姿があった。
「…ルィーズ私は後妻の事は何も考えては居ないよ、私はルィーズと二人で居る方が好きだと前にも話したんだが、私の事は信じてはくれないのかい?」
「……でも旦那様…私は……」
「私が愛しているのはルィーズ一人だよだから考えるのは止めよう……ルィーズが嫌なのであれば食事会は止めても良いよ」
「……でも御母様が楽しみにしています、御食事は行きます。
旦那様もカレンの誘惑に負けないで下さい」
「誘惑って…私はルィーズを愛していると言ったはずだよ」
「ふふっ、そうでしたわね旦那様私も愛しています」
ルィーズ夫人はロバート伯爵の胸の中で抱き締めて自分だけを愛していると言ってくれたロバート伯爵に安心感を持っていた。


ロバート伯爵の屋敷を一台の馬車が出て走り出していた頃馬車の中ではロバート伯爵の母親とカレンがお互いに向き合い話しをしていた。
「でも驚いたわねカレンさんとルィーズさんと学校のお友達だった何てこれも何かの縁よね」
「そうですわねおば様わたくしも驚きました。ルィーズがロバート様と結婚をなさっていたなんて…おば様から「息子は結婚しているけど一度会って見る?」と言われました時はわたくし迷いました。わたくしはまだ想いの方が居ましたのでロバート様とお会いになる事を躊躇いました」
「想いの方とは……以前御話しをしていましたブランシェ家のユリウス侯爵の事かしら!?」
「はい、学生の頃からの片想いですが……ユリウス様の事が諦め切れなくてユリウス様の屋敷のメイドとして今働いています。」
カレンはブランシェ家のメイドとして雇われていた。
「数週間前にカレンさんと御店で布生地選びに悩んで居るときにカレンさんから声を掛けて貰い生地を一緒に選んでくれた時は嬉しかったわ」
「私もメイド仲間達と一緒に布生地を見に来て居ましたから、おば様が何度も同じ布生地を出し入れされて悩まれて居ましたからつい声を掛けてしまいました」
「嬉しかったわあの後貴女は名前も言わずに店を出ましたわね」
「名前を言うほど何もしていませんので、でもまた同じ御店でおば様に会えるとは思っても居ませんでしたわ」
「ふふっ、私も驚いたわまたカレンさんと会えるとは思って居なかったわ」
二人は同じ布生地店で再会をした事でロバート伯爵の母親は(これは神様がカレンをまた会わせてくれた運命)と思いまだ子供が出来ないルィーズ夫人の代わりにカレンとロバート伯爵との結婚を考える事になり、メイドの仕事が休みのカレンに時間は在ると聞いた為今日息子に会って見ないかとカレンに誘っていた。
ユリウスの事を学生時代から慕ってはいたがユリウスとユリーナ母さんの愛情が深く二人の間に入る事が出来ずそれにユリーナ母さんがユリウスに毎日のように一緒に居るためユリウスとの接触が難しくカレンはユリウスと何も出来ない事に苛立ちもありそんな時にロバート伯爵の母親から息子に会って見ないかと誘われ気分転換のつもりで会いに行く事になり、庭園で二人の姿を見てロバート伯爵と結婚していたのがルィーズ夫人とは知らず驚いていた。
「今日おば様から御誘いを受けロバート様と御会いできて良かったと思っています。ルィーズが羨ましいと思った程ですわ」
「私もカレンさんに息子を紹介出来て良かったわ、御食事会の日取りを早く決めないとカレンさん御食事には来てくださるかしら?!」
「はい、喜んでお伺い致しますわ」
カレンはロバート伯爵と会える喜びでブランシェ家の屋敷に戻ったらメイド仲間にもしかしたら結婚するかも知れないと話をしたらメイド達が羨ましく思うだろうと屋敷に早く帰りたいとカレン
は馬車の中で笑みを浮かべ今日のロバート伯爵と一緒に過ごした時間を思い出していた。



◇◇◇
いつも読んで頂き有り難う御座います。
BLと離れてしまった話しが続いてしまいすみません、もう少しルィーズ夫人の話しを書きたいと思いますので読んで下さいます皆様に感謝しています。








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