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白紙と成った婚約

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ユリウスがルィーズ夫人を治癒能力で治癒を始めていた頃広場ではカレンの両親が重い空気を感じていた。
「……ホルン伯爵の息子ロバートの奥方が妊娠していたとは…これでは私達の娘のカレンが可哀想すぎる……」
「今夜の披露宴がカレンの為ではなくロバートさんの奥様の為のようなものだわ…」
カレンの両親はいつの間にか周りの貴族の話しがロバート伯爵とルィーズ夫人の祝福の話しに成っていた。
カレンも周りの貴族達と貴婦人達が自分の婚約の祝福ではなくルィーズ夫人の祝福に向けられていた事に気付いてはいた。
そして一人の貴婦人がカレンの側に寄り話し掛けていた。
「カレン様も喜ばしい事ですわね、カレン様が御子様を持っ前にルィーズ様の御子様を御抱きに成られますのよ…このままロバート様との御結婚が御決まりに成ればの御話しですけど?」
「……」
ルィーズ夫人が妊娠をしている場合カレンの婚約は難しく成っていた。
「カレン!」
「御父様、御母様……」
カレンの前に両親が近寄り険しい顔を見せていた。
「……御父様どうなさいましたの?その様なお顔をなさいまして」
「カレン、ロバート・ホルン氏の婚約は無かった事にする」
「えっ!?」
カレンの父親がロバート伯爵との婚約を取り止める事をカレンに伝えていた。
「な……何故ですの?御父様」
「ロバートに子供が出来た以上お前に辛い思いをさせる訳にはいかない……今回のこの婚約もお前から話しを聞いてロバートの奥方に子供が出来ないと知らせを受けお前がどうしてもロバートと結婚がしたいと言った為私達はお前とロバートとの婚約を許した
が、当の本人はお前と結婚をする気も無く今回の婚約の事も知らずにいた。
お前とロバートの両親で勝手に話しを進め騒ぎに成った…私達も勝手にお前達だけで進めたこの婚約に許しはしたが、奥方に子供が出来たとなると話しは別だ私達はお前をホルン家に嫁がせる訳には行かぬ」
「御父様!?」
カレンは父親からロバート伯爵との婚約は無い事を聞き顔が真っ青に成った。
「カレン御父様の言う通りよ、貴女を後妻として嫁がせる訳には行かないわ…ロバートさんに子供が居ないと聞いたからわたくし達も貴女の婚約を許したわ、例え後妻として結婚をしたとしても貴女に子供が出来れば正妻に成れると思いわたくし達はロバートさんとの結婚を許したわ……でも御子様が出来たと聞き話しは別なのよ」
「御母様……」
「ホルン伯爵!」
カレンの父親がロバート伯爵の父親を呼びロバート伯爵とカレンとの婚約を白紙に伝えた。
「御待ちくださいアードレイ伯爵ロバートとカレンお嬢様との婚約を取り消しとは……」
「話した通りです、御子様が出来ました以上わたくし達の娘を嫁がせる訳には行きません、それに娘のカレンを想わない所へ等嫁がせる訳には参りませんので、わたくし達はこれで失礼致しますカレン帰るぞ」
「……」
カレンは両親に従う事しかなかった。
カレン本人も分かってはいたロバート伯爵が自分に振り向きもしない事をルィーズ夫人が羨ましかった……ロバート伯爵の両親に気に入られるようにすればロバート伯爵と婚約をして、ルィーズ夫人に見せる笑顔を自分にも向けて貰えると思っていた。
だが、ユリウスを長年想い続けている事を知っていたロバート伯爵にはカレンの事を良く思わない事も分かってはいた。
ロバート伯爵とカレンの婚約が白紙に成った事を近くで見ていたユリーナ母さんはただじっとカレンの姿を見ているだけで屋敷にメイドとして戻ったカレンを監視するように成った。








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