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治癒とは別に

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氷で体を覆われていた為仮死状態と成ってしまったルィーズ夫人にユリウスは治癒能力で治療を始めた。
両手に治癒の力を注ぎ込みルィーズ夫人の心臓から治療を始めた
白い煙りのような光りを出しルィーズ夫人の胸に手を当て治療を始めたユリウス!
「……」
ロバート伯爵はベッドの上で仰向けで眠るルィーズ夫人の胸に手を当て治療をしているユリウスを見て余計な事は考えないようにしょうと目を反らして早く治療が終わりルィーズ夫人の声が聞きたいと自分を落ち着かせようとしていた。
(今のユリウスは医師だ、医師と思えば気にならない……)
ロバート伯爵の戸惑う気持ちを抑え時々チラッ、チラッっとユリウスの治療をする姿を見ていた。
胸に手を当て心臓の鼓動を感じたユリウスはホッと息を吐きロバート伯爵に心臓が動き始めた事を伝えていた。
「ロバート、奥さんの心臓が動き始めた」
「本当か!?ユリウス」
「だが、まだ油断はしては駄目だいつ心臓が止まってもおかしくない状態だ……」
「子供は……ユリウス、子供の心臓の音とか気配とかは分かるか?」
「……」
ユリウスはルィーズ夫人のお腹に手を当て子供の気配を探っていた。
だが、心臓の音も気配も感じる事が出来ず子供は……
ユリウスはルィーズ夫人のお腹に手を当て治癒の治療をしたが小さな鼓動が聞こえる事は無かった。
ユリウスは下を向いたまま黙っていた。
「……ユリウス……」
ロバート伯爵はユリウスのかすかに見える苦痛の表情を見て分かってしまった……
「……有り難うユリウス…このまま治療を続けてくれ……」
「……分かった…」
ユリウスはルィーズ夫人の体に頭から腕、足と治療を続けていた。
ロバート伯爵はユリウスとルィーズ夫人から少し離れた場所で声をころし涙を流していた。
「……うぅ……済まない……済まない……」
ロバート伯爵は手で顔を隠し生まれてくるはずだった我が子に謝り続けていた。
外側からの治癒を注ぎ後は体の中に治癒を流し込むのだがユリウスも戸惑っていた。
人前でキスをする事は慣れてはいたがさすがに親友の奥さんにキスをする事に躊躇いはあった。
しかも親友の目の前でキスをしなくてはいけない為恨まれ無いだろうかとユリウスは考え事をしていた。
暫く離れで声をころし泣いていたロバート伯爵は少し落ち着くとユリウスはロバート伯爵の姿を困ったような顔で見てロバート伯爵はどうしたんだ?と思いユリウスの側に歩き問いかけていた。
「……ユリウス…治療は終わったのか?」
「えっ、あ…まだ体の中に治癒を流し込まないといけないが……」
ユリウスはルィーズ夫人の顔を見て口付けを躊躇っていた。
「……ルィーズがまだ目を開けて居ないんだ私の事は気にするな私が後ろを向いている間に済ませてくれ……」
「……分かった……私を恨むなよ…」
「ふっ、恨まないように努力するよ……ユリウスには感謝している……」
ロバート伯爵は体を後ろに向きユリウスはロバート伯爵が後ろを向いた事を確認するとルィーズ夫人の顔に手を当て唇を重ねた。
まだ唇は冷たくまるでアイスを含んでいるような感覚でユリウスはルィーズ夫人の口の中にフーッと息を吹くような感じで治癒をルィーズ夫人の口の中に流し込んだ。
さすがに口の中に舌を入れる分けにはいかず何とか息だけを吹くことが出来た。
ユリウスはゆっくりと唇を放しルィーズ夫人の唇を指先で拭った
(……ロバートの奥さんを見るのは何度もあったが話しをした事が無かったな…ユリーナ以外の女にキスをするとは思わなかった。……子供さんの事は助ける事が出来なかった…)
ユリウスはルィーズ夫人の顔色が良くなる事に気付きルィーズ夫人の頬を触っていた……ッーと閉じている瞼から涙が流れ落ちユリウスはまだ後ろを向いているロバート伯爵を見た後ルィーズ夫人の瞼にキスをして自然と唇を重ねていた。
「……ン…」
小さく声を出したルィーズ夫人の口の中にユリウスは舌を入れ体温が戻りっつあるルィーズ夫人の舌をゆっくりと動かしルィーズ夫人も無意識でユリウスの舌に応えるかのように舌を動かしていた。(えっ?)と、ルィーズ夫人が舌を動かしてきた事に驚いた
ユリウスはもうすぐルィーズ夫人が目を覚ますと思い重ねていた唇を放し手で口を押さえ(ヤバかった!)と冷や汗がでそうで顔が真っ青に成り(俺は今何を……)と心の中で呟きロバート伯爵が話し掛けてきた。
「……ユリウス終わったのか?」
ドキッ!と体が跳ねロバート伯爵の顔をまともに見れず真っ青な顔をしていた。
「ユリウスどうしたんだ、顔が真っ青だぞ?……まさか、妻が…」
「……いや、奥さんはもうすぐ目を覚ますと思う……」
「本当か!?」
ロバート伯爵はベッドの上で眠るルィーズ夫人の側に来て手を握り締めていた。
「ああっ、本当だ暖かい……ルィーズ、ルィーズ…私だ目を開けてくれ」
ピクッ…と指が動きそしてルィーズ夫人はゆっくりと目を開け目の前に涙を流して喜ぶ顔を見せているロバート伯爵が側にいた。
「……旦那…様……?!」
「ルィーズ、ルィーズ……ああっ、良かった…良かった……」
ギュッとルィーズ夫人の手を両手で包み祈るように笑顔で涙を流すロバート伯爵をルィーズ夫人はまだ意識がはっきりとして居ない顔でロバート伯爵を見ていた。
二人の姿を少し放れて見ていたユリウスはルィーズ夫人とした口付けに鼓動が高鳴りユリウスはルィーズ夫人の顔を見続けていた。






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