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小さな命

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ルィーズ夫人は目を覚まし部屋の中を見渡し驚いていた。
ロバート伯爵の部屋だとは分かってはいたが部屋の中が氷に覆われている事に気付き何が起こって居たのかルィーズ夫人は分からずにいた。
「だ、旦那様……御部屋が氷に覆われて居ますが…」
「……何も覚えて居ないのか?」
「……はい、旦那様とカレンの姿を見た後は…旦那様の御部屋に入った事は覚えては居ますが……」
ルィーズ夫人はベッドの毛布を手で握り締め震えて応えていた。
ロバート伯爵はルィーズ夫人の手を握り締め申し訳無い顔を見せていた。
「……ルィーズ、私は婚約等はしないよ両親達が勝手に決めていた事だ、君を苦しめてしまった……私は両親が許さないルィーズの好意を無視をしたんだ…それに今は医師を呼ぶ事が先だよ…」
「医師様……」
はっ!とルィーズ夫人は御腹を触りそしてロバート伯爵の顔を見た、涙を目に溜めルィーズ夫人の手をギュッ…と握り締めていた
「……旦那様……赤ちゃんは……」
「私が医師を呼んでくるよ」
ユリウスがロバート伯爵とルィーズ夫人に話し掛け医師を呼びに部屋を出た。
「……ユリウス様?」
「……ああっ、ユリウスが君の治療の手助けをしてくれたんだ」
ロバート伯爵はルィーズ夫人にユリウスと口付けの事は話さない事にしていた。
「……」
ルィーズ夫人は夢の中で口付けを交わしていたような気がして口の中に何かが流れ込む感じを受け体の周りにはほんのりと石鹸の香りがするのが気に成っていた。
(……旦那様の香りでは在りません……もしかしてユリウス様の香りなのでしょうか…私の治療をしてくださったと聞きました、後で御礼を言わなければ……)ルィーズ夫人は御腹をさすってはいたが時々チクッと痛みがありルィーズ夫人はまさか……と震えが止まらず無意識にポロポロと涙が流れ落ちロバート伯爵が指で涙を拭っていた。
「……旦那様……私達の赤ちゃんは……」
「……部屋を出ようかこの部屋は寒すぎるよ…ユリウスにはメイドに伝えておくよ」
ロバート伯爵はルィーズ夫人を抱き抱えルィーズ夫人はロバート伯爵の胸の中で泣き続け、ロバート伯爵はルィーズ夫人の額にキスをした後部屋を出た。
「ロバート坊っちゃま、ルィーズ様!」
メイド長が声を出し側に寄り心配そうな顔とホッとした顔を見せロバート伯爵はメイド長に部屋を代わる事を話しユリウスが医師を連れて来た時に部屋を案内して欲しいと話しをした後ルィーズ夫人を抱き抱えて廊下を歩き出した。
「メイド長私とルィーズは客室に居るとユリウスに伝えてくれ」
「分かりました」
メイド長達はロバート伯爵とルィーズ夫人の後ろ姿を見て一人のメイドが話し掛けていた。
「…ルィーズ様泣いて居るように見えましたが……」
「わたくしも見ました、大丈夫で御座いましょうか?」
メイド長達が心配をしている中、ロバート伯爵は客室に入りルィーズ夫人をベッドの上に座らせロバート伯爵も隣に座りまだ泣いているルィーズ夫人の体を寄り添いそしてロバート伯爵がルィーズ夫人に話し掛けていた。
「ルィーズ、私は両親から建てて貰った屋敷を出ようと思う」
「!?……旦那様?」
「ホルン家の家紋を捨て一からやり直したいと思っている」
「旦那様……」
「私が自分で働いた分の貯えは在るよ、小さくても良い私達だけの家を見つけそしてお店を出そう」
「お店ですか?」
「ああっ、ルィーズはお菓子を作る事が好きだろう!?私も一緒にお菓子作りをルィーズから習いたいと思って居るんだ」
「…ふふっ、旦那様がお菓子作りをですか?」
「変かな?」
「いいえ、素敵ですわ旦那様……私旦那様と一緒でしたら楽しいですわ」
ロバート伯爵は何もかも捨てルィーズ夫人と二人での生活を考えていた。







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