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家族三人の屋敷へ

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「医師を連れて来た、早く見て貰うと良い」
ユリウスはメイド長から聞き部屋を替わった事を知らせを受けメイド長の案内で客室に通された。
「……ルィーズ様顔色が良く在りませんベッドの上に横に成って頂けますか?」
「……はい」
ルィーズ夫人は医師から言われ体を横に向けた後ロバート伯爵がユリウスに部屋を一緒に出ようと言った後ルィーズ夫人はユリウスに声を掛けていた。
「あの…ユリウス様」
「……どうしました?」
ユリウスは扉の前で立ち止まりルィーズ夫人の方へ顔を向けた。
「……有り難う御座いました……」
「……いえ……」
ユリウスはルィーズ夫人に微笑んだ後ロバート伯爵と一緒に部屋を出た。
「……ユリウス有り難う、君が居なければ私は…妻を失う所だった……感謝している」
「ロバート……済まない……力不足だった……」
「何故、謝るんだユリウス君が居てくれたお陰で妻が助かったんだ……私は今日の事を胸に刻み妻と一緒に生きて行くよ」
「ロバート……」
ユリウスはロバート伯爵と別れユリーナ母さんが待っ広場へ向かって行った。
暫くすると看護婦がバタバタと部屋を出たり入ったりと騒ぎロバート伯爵はこの騒ぎの事は何なのか分かっていた。
看護婦の騒ぎが静まり医師が部屋の扉を開けロバート伯爵に部屋の中に入るように伝え、ロバート伯爵は鼓動が速くなる気持ちを抑えルィーズ夫人が待っ部屋の中に入った。
ベッドの上では顔色が良く成っているルィーズ夫人が眠っていたその姿を見たロバート伯爵はホッと安堵の表情を見せていた。
「……ロバート様……」
医師がロバート伯爵の前に行き言葉につまらせている表情をしていた。
「……子供は……駄目だったのですね…」
「!?ロバート様御存じだったのですか!?」
「……数日前からルィーズの体調に変化があり医師に見て貰い、子供が出来た事が分かり今夜両親に知らせるつもりでいたんだ……だが両親の勝手な行いとルィーズの好意を無視した為ルィーズが精神的な魔力の暴走に成った…私達は失わなくて済んだ家族を失ってしまった……」
ロバート伯爵はベッドの上で薬で眠るルィーズ夫人の手を取りギュッと握り締めて涙を流していた。
「……ロバート様……」
医師の側に看護婦が小さな両手で持てる布で覆われた籠を抱き医師がロバート伯爵に籠を渡すようにと看護婦に伝えロバート伯爵は看護婦から籠を受け取った。
「……」
「……ロバート様、御子様で御座います…体の周りを氷で覆いまして御座います……人の形に成り始めていた頃でした……」
「……有り難う御座います……感謝します」
ロバート伯爵は氷で覆われた我が子にキスをした後ルィーズ夫人の側に籠を置き屋敷に帰る事を話し出していた。
「ルィーズ、私達の子供だよ一緒に帰ろう…この子の家も作ってあげないといけないね……」
部屋の中には看護婦達が啜り泣き、医師は申し訳ないといった表情を見せロバート伯爵はルィーズ夫人を抱き抱え看護婦に籠を持たせた後自分達の住む屋敷へと馬車を走らせていた。



     









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