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うわさ話

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両家の婚約発表から数日たった頃だった。
久しぶりにフォスティヌとフランシスは一緒に学校を登校していた。
「ほら…やっぱり本当の事だったわ」
「ショック~ッ、私卒業前に告白したかったのに~っ」
ヒソヒソと話し声にフォスティヌはキョロキョロと周りを不安な顔で見ていた。
「フォスティヌ?」
フォスティヌの話す声がピタリと止んだ為、フランシスはフォスティヌに声をかけていた。
「えっ!あ…」
「具合いでも悪いのかい?」
「……うん…すれ違う女子達が私達を見て話しをしているような気がして…」
「えっ?」
フランシスはフォスティヌから自分達を見ていると聞き、数人の女子達に顔を向けると、驚いた女子達が慌てたようにはや歩きで歩く姿を見ていたフランシスは、じっと見ている一人の女子生徒に気付き、女子生徒は止めていた足を歩き出すとフランシスとフォスティヌの傍を離れた。
「兄様?」
「!え、ああ…な、何も気にする事ないよ。僕達の話は婚約する前から色々言われていただろう?」
「…そうなんだけど…でも、いつもと違うような…」
「あ!悪いフォスティヌ、用事を思い出した。また、後で」
「ええっ!?兄様!?」
タタタタとフォスティヌを残してフランシスは走り去って行った
「…もうっ…教室まで送ってくれても良いのに…」
プクッと頬を膨らませたフォスティヌはフランシスが向かった方向の逆に足を向けた時だった。
ドン!
「痛っ!?す、すみませ…ん…」
フォスティヌは振り向いた時に誰かとぶっかると鼻を手で押さえて相手を見上げた。
濃い青い髪の毛と青い瞳に学生服を着た青年がフォスティヌを見下ろしていた。
「…す…すみません…前を見ていませんでした…」
「……」
青年に謝るフォスティヌをじっと見下ろし、そのまま何も言わずにフォスティヌの傍を離れた。
「……何か言われるかもと思った…兄様より身長が高いな…」
コツン!
フォスティヌが歩き出そうとした時、靴に何かがあたり拾うと学生バッチのようだった。
「バッチ!?兄様と同じバッチだわ…さっきの人のかも…」
学園のバッチは紋章の色で小学、中学、高学と分かれている。
フォスティヌはバッチを落としたかもしれない青年の後を追いかけた。
その同じ頃、用事でとフォスティヌに言って離れたフランシスはキョロキョロと誰かを捜すように歩いていた。
しばらく歩いたフランシスの顔が誰かを見つけ、ベンチに座る女子学生に声をかけた。
「…シャロン…」
二年後、フォスティヌに恋人だと紹介する女性だった。


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