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初めてのキス

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「フォスティヌも知っていると思うけれど、親同士が決めた事でもあるから…今からでも婚約を取り止めても…」
「えっ…」
フランシスは気まずそうにフォスティヌに婚約の取り消しを話した時だった。
ポロッ…
「!?」
フォスティヌの目から涙が流れ落ちフランシスは慌て出した。
「フォスティヌ!?どうして泣くんだ?」
「…あ…兄様は…私の事が嫌いなの?グスッ…」
「嫌いじゃないよ!フォスティヌに、もしかしたら好きな人でもいたらと思って…ごめん」
「…好きな人は…なの…」
「えっ」
「私の…好きな人は…兄様なの…だから兄様の婚約者だと言われた時は凄く嬉しかった…」
「……」
フォスティヌの告白を聞いたフランシスは何も言えず暫く二人は黙ったままだった。
「…グスッ…ごめんなさい兄様…もう、大丈夫だから…」
「…フォスティヌ…」
「兄様が婚約を解消したいのなら私は何も言わないから…」
「……」
涙目で笑顔を見せるフォスティヌにフランシスはグッと握りしめ俯いていた。
「そろそろ部屋に戻らないと、婚約解消のお話は兄様からおじ様に言って…」
ガタン!
「!?」
座っていた椅子から立ち上がったフランシスは自分の傍を離れようと歩くフォスティヌを抱きしめた。
「!?」
驚いたフォスティヌは自分の体を抱きしめるフランシスに戸惑っていた。
「…あ…兄様?」
「…フランシスだ…僕が悪かった…婚約解消はしなくてもいい…」
「え…じゃあ…私は…兄様の…」
「フランシスだよ…」
「え…あ…フ…フランシス…兄様」
「ぷっ!はははは、どうして最後に『兄様』って言うんだ?」
「え~…だって…んっ!?」
抱きしめた体でフランシスはフォスティヌにキスをした。
「少し、しょっぱいな~っ」
「っっっ~~!!」
「フォスティヌとの初めてのキスの味は涙の味だね」
クスッと笑みを見せるフランシスにフォスティヌの顔は真っ赤になりフランシスの顔を見上げていた。
「ひど…あ、兄様!いきなりは反則…んんっ…」
フランシスの柔らかい唇にゾクゾクと体が震え力が抜けるフォスティヌは、頭の中が真っ白になっていた。
「……ぁ…」
「僕も初めてのキスなんだよ…」
「……」
(ウソ…兄様、馴れているような感じだった…)
黙ったまま下を向くフォスティヌにフランシスはフォスティヌの頭にキスをした。
「…どうして…キスをするの…?」
真っ赤な顔で困ったように目をそらすフォスティヌにフランシスはギュッとフォスティヌを抱きしめた。
「……フォスティヌが好きだからキスをしたんだよ…」
「!す…私…兄様の婚約者で良いの…?」
「ああ…もちろんだよ」
フランシスの胸で顔を埋め婚約者として認めてくれたフランシスに喜び、フォスティヌの学園を卒業後に結婚をする約束を交わした。





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