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浮気

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学園を卒業したフランシスは騎士学校へ進む事になった。
「兄様、どうして騎士学校へ行くのですか?」
フォスティヌのお茶に招待されたフランシスは騎士へ進む事をフォスティヌに伝えていた。
「騎士になる事が子供の頃からの夢だったんだ。」
ニコッと笑顔を見せるフランシスは用意された紅茶を飲んでいた
「…兄様は教師になると数年前は言っていました」
「!ゴホッ、ゴホッ…」
「兄様!大丈夫?」
「…ああ…大丈夫だよ……よく覚えていたね。ずいぶん前に話をした夢を……」
フランシスは苦笑いのような笑顔を向けていた。
「だって…兄様の事はなんでも知りたいと思っていたから…以前学園を卒業したら教師の勉強をすると話していたのを覚えていたの」
「…そ、そうなんだ…」
「本当に騎士になりたいの?兄様…」
少し寂しそうな顔を見せるフォスティヌは向かいの椅子に座るフランシスをじっと見ていた。
「……うん…もう決めた事で騎士学校への手続きもすませて来たんだ」
「……一言私に相談して欲しかった」
「ごめん、フォスティヌに話そうとしたんだよ。でも、会う機会がなかったから…本当に勝手に決めて悪かった」
フランシスは頭を下げてフォスティヌに謝っていた。
「!?あ、兄様、頭を上げて!私に謝らないで、兄様が決めた道だから私は兄様の騎士姿が見たい」
「フォスティヌ…」
笑顔を見せるフォスティヌにフランシスも笑顔を見せていた。
「兄様、騎士学校は屋敷から通うの?」
「いや、寮があるからそこから学校へ通うよ」
「え!?寮に入るの?兄様」
フォスティヌは驚き思わず立ち上がりガタッと椅子が倒れた。
「フォスティヌ!?」
フランシスは座っていた椅子から離れフォスティヌの傍へと行き倒れた椅子を起こすとフォスティヌの体を抱きしめていた。
「寮は学校の近くでもあるんだ…学校が休みの日には必ず帰ってくるから約束するよ」
「……学校は何年通うの?」
「二年から三年と聞いたけど…僕の実力次第かな?基礎から学ぶ事になると思うんだ。フォスティヌが学園を卒業までには騎士になってみせるよ」
「…卒業……」
フォスティヌは学園を卒業する頃に騎士となったフランシスが迎えに来ると信じ、その後、結婚すると思うと頬が真っ赤になっていた。
「フォスティヌ?」
「えっ、あっ、なんでもないから…兄様離しても大丈夫…」
「…離しても良いけど…頬が赤いよ?」
「ええっ!」
フニッと頬と頬を合わせたフランシスにフォスティヌは驚き目の前にフランシスの顔が見えると、柔らかいフランシスの唇が重なっていた。
「……ん…ぁ……」
「…フォスティヌの唇は柔らかいな……」
何度も触れては離れて繰り返すキスにフォスティヌは目を開ける事も出来ないほど、フランシスのキスに溺れていた。
「ふふ……可愛いよフォスティヌ……」
「……兄…様……」
抱きしめて初めて長いキスをするフランシスとフォスティヌ…フランシスは自分を慕うフォスティヌと婚約破棄が出来ずにいた。
(…久しぶりのキスは気持ち良いな…キスだけなら浮気にはならないと思うし…婚約者の僕がフォスティヌにキスをしないと逆に疑うだろう?しばらく婚約破棄はまだ言えないな…フォスティヌと隠れてキスをするのはとても良い…ふっ…悪い兄様だな…)
騎士になるため、屋敷を離れ寮に入ったフランシスに疑う事を知らないフォスティヌは学校の休日に会えるのを楽しみに待っていた。






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