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会いに来なかったお詫びに…

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フランシスが騎士学校へ通い会えない日が続き、フォスティヌの誕生日が近づいていた。
「お嬢様、お嬢様!起きてください」
「う~ん…何?…学校はお休みだから…まだ、眠い……」
「お嬢様、フランシス様がお見えです!」
「えっ!?兄様が!」
ガバッと起き上がったフォスティヌは、数回メイドのソニアから言われても起きなかった為、フランシスが来た嘘を言われた事があったのを思い出し、またメイドの嘘だと思った。
「もう、騙されないんだから!兄様が来るはずないでしょう?まだ、冬休みにもなっていないんだから」
ベッドから起き上がっていたフォスティヌはまた寝る事にゴロンとベッドの上に横になった。
「!?お、お嬢様、今度は本当です。嘘ではありません」
ベッドの側で起き上がろうとしないフォスティヌをメイドのソニアは慌てていた。
コンコン!
「扉が開いたままだよ」
「!?」
(えっ!?まさか…兄様!!?)
バッと寝返るフォスティヌは扉の側でクスクスと笑うフランシスが立っていた。
「ええ~~っ!?どうしているの~っ?」
フォスティヌはベッドから体を起こし固まっていた。
「中々、下りて来ないから迎えに来たんだけど…身仕度がまだだったね」
クスッと笑みを見せるフランシスにフォスティヌは今の自分の姿はパジャマだったと思い、掛け布団で丸くなっていた。
「あ…兄様…着替えるから出て……」
フォスティヌは顔を真っ赤にしてフランシスに部屋から出るようにと言うと、フランシスはメイドのソニアへ声をかけた。
「少し出てくれるかな?フォスティヌと二人になりたいんだ」
「えっ!?あ、はい…」
「ぇ…?」
メイドのソニアが部屋を出ると真っ赤な顔で丸くなるフォスティヌとクスッと笑みを見せるフランシスが、ベッドの側へと歩き出しフォスティヌの頭にキスをした。
「おはよう、お寝坊さん」
「!?うう~~っ」
「僕は、朝の挨拶をしたいと思うけどこれが邪魔かな」
「えっ!?」
頭まですっぽりと被っていた掛け布団をフランシスが取ると真っ赤な顔で見上げるフォスティヌを見て、フランシスはキスをした。
「……っ」
「フォスティヌの唇は柔らかいな…」
「兄…ん…」
目を閉じて真っ赤になるフォスティヌを見て唇を離したフランシスは、フォスティヌの僅かに空いた口の中に舌を入れるとそれに驚いたフォスティヌは目を見開き体が震えグイッと抱きしめるフランシスに身動きが取れないでいた。
「ん…ん…」
ぬるぬると濡れた舌先を動かして行くフランシスにフォスティヌは何も考える事が出来ず、今まで体に力が入っていたのが抜けフランシスにされるがままだった。
「……はぁ…ぁ……」
フォスティヌの目が潤む姿を薄く開いたフランシスの目が笑みを見せ「くちゅっ」と音を出しフォスティヌの唇から離れた。
「……ぁ…」
指先をフォスティヌの上唇を拭うフランシスは、フォスティヌに男がいない事の確認をすると笑みを見せていた。
「久しぶりのキスはどうだった?」
「……ぇ…うん…」
まだ、正気を保てないでいるフォスティヌはフランシスの胸の中で顔を埋めていた。
「嬉しいよ…僕のキスが好きみたいで……長い間会いに来なかったお詫びだよ」
(また、キスがしたいけど遅くなるとおじさん達がうるさいからな…シャロンには悪いけどまだ、このままフォスティヌとの関係を崩したくないな…)
フォスティヌが我に返ったのはフランシスに抱きしめられて数分経った後だった。







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