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吐露①
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両親は僕の結婚式に来てくれるのだろうか?
そんな疑問が頭を過る。
来てくれたとしても義務的なもので、心の底から祝福してくれることはない気がしていた。それにもしもその日オリビアの体調が崩れたら、きっとそれを理由に両親は欠席するのだろう。
そんな未来しか思い浮かばない。
それに、盛大に結婚式を行っても、僕のことを誰が祝福してくれるのだろうか……。
自信のなさが心を覆い尽くしていく。折角デューク様が提案してくれたというのに、心の底から喜べなくなってしまった。
「……僕の両親は出席してくれないかもしれません」
投げやりに発してしまった言葉に後悔する。
目を見開き、驚いた表情を浮かべるデューク様を見ていると、ますます言わなければよかったと感じた。
いつまでたってもオリビアの影に覆われて抜け出せない。
僕はもうラミレス男爵家から抜け出したというのに、心はいまだに囚われたままだ。
「なあアルビー。お前が話したくないならそれでもかまわない。でも、なにか我慢してることや、聞いてほしいことがあるなら教えてくれないか」
「……でも……デューク様に迷惑がかかるかも……」
「夫夫ってのは多少の迷惑も受け入れて、助け合うものだろう」
クシャクシャといつもみたいに頭を撫でられる。涙が溢れそうになって、必死に我慢した。
誰かに実家のことを打ち明けたことはなかった。ジルバート様にでさえ、本当の気持ちはずっと隠していた気がする。
だから上手く言葉として吐き出すことができない。けれど、デューク様は僕が話せるようになるまで根気強く待ってくれた。
何度も口を開閉させては閉じてを繰り返す。
一言一句が重く感じられて、言葉が何度も詰まった。
「僕っ、きっと両親に愛されてないんだと思います……」
「どうしてそう思うんだ?」
「……弟のオリビアのことしか、両親は見ていないんです。新品の服や、物はすべて弟の物でした……。僕はサイズの合わないお下がりの服を着て過ごしていて、時々使用人のようにオリビアのお世話をさせられることもありました。……羨ましかったんです……」
本音を話したら嫌われてしまうかもしれない。
醜い嫉妬だと怒られてしまうかも……。
それでも溢れ出した言葉は止まらなかった。
「僕もお父様とお母様の子供だというのに、美しくて可愛らしい弟ばかりが愛情を注がれていて……。本当に羨ましかった。オリビアは病弱だから仕方ないと言い聞かせながらも、理不尽だと感じることは沢山ありました。でも、我慢していたんです……ずっとずっと、耐えていたんです……。僕は長男だから……オリビアの兄だからって……っ」
ついに溢れ出した涙が頬を流れていく。
ずっと誰かに気持ちを打ち明けたかった。けれどジルバート様にすら、自分では抑えることのできないやるせない辛さを話すことはできなかったんだ。
誰も僕の話など聞いてはくれないと、初めから諦めていたのかもしれない。
「やっと話してくれたな」
抱き寄せられ、包み込むような温もりが全身を満たしてくれる。後頭部を手のひらでポンポンと撫でられると、深く沈んでいた心がすくい上げられるような心地になった。
「お前が屋敷に来たときから様子がおかしいことには気付いていた。けど自分から話してくれるのを待ってたんだ」
「っ、弟に嫉妬している僕のことを軽蔑したりしませんか?」
「するわけないだろう。アルビーはよく頑張った。だからいままでのぶん取り返すくらい俺に甘えろ。結婚式はアルビーがしたいようにしたらいい」
赤子をあやすような規則的な振動が背から伝わってくる。そのおかげか、荒波のように揺れていた心が落ち着きを取り戻していく。
デューク様はすごい人だ。
嫌われるのではないかと、不安を抱えていた心をいとも簡単に穏やかにしてくれた。
そんな疑問が頭を過る。
来てくれたとしても義務的なもので、心の底から祝福してくれることはない気がしていた。それにもしもその日オリビアの体調が崩れたら、きっとそれを理由に両親は欠席するのだろう。
そんな未来しか思い浮かばない。
それに、盛大に結婚式を行っても、僕のことを誰が祝福してくれるのだろうか……。
自信のなさが心を覆い尽くしていく。折角デューク様が提案してくれたというのに、心の底から喜べなくなってしまった。
「……僕の両親は出席してくれないかもしれません」
投げやりに発してしまった言葉に後悔する。
目を見開き、驚いた表情を浮かべるデューク様を見ていると、ますます言わなければよかったと感じた。
いつまでたってもオリビアの影に覆われて抜け出せない。
僕はもうラミレス男爵家から抜け出したというのに、心はいまだに囚われたままだ。
「なあアルビー。お前が話したくないならそれでもかまわない。でも、なにか我慢してることや、聞いてほしいことがあるなら教えてくれないか」
「……でも……デューク様に迷惑がかかるかも……」
「夫夫ってのは多少の迷惑も受け入れて、助け合うものだろう」
クシャクシャといつもみたいに頭を撫でられる。涙が溢れそうになって、必死に我慢した。
誰かに実家のことを打ち明けたことはなかった。ジルバート様にでさえ、本当の気持ちはずっと隠していた気がする。
だから上手く言葉として吐き出すことができない。けれど、デューク様は僕が話せるようになるまで根気強く待ってくれた。
何度も口を開閉させては閉じてを繰り返す。
一言一句が重く感じられて、言葉が何度も詰まった。
「僕っ、きっと両親に愛されてないんだと思います……」
「どうしてそう思うんだ?」
「……弟のオリビアのことしか、両親は見ていないんです。新品の服や、物はすべて弟の物でした……。僕はサイズの合わないお下がりの服を着て過ごしていて、時々使用人のようにオリビアのお世話をさせられることもありました。……羨ましかったんです……」
本音を話したら嫌われてしまうかもしれない。
醜い嫉妬だと怒られてしまうかも……。
それでも溢れ出した言葉は止まらなかった。
「僕もお父様とお母様の子供だというのに、美しくて可愛らしい弟ばかりが愛情を注がれていて……。本当に羨ましかった。オリビアは病弱だから仕方ないと言い聞かせながらも、理不尽だと感じることは沢山ありました。でも、我慢していたんです……ずっとずっと、耐えていたんです……。僕は長男だから……オリビアの兄だからって……っ」
ついに溢れ出した涙が頬を流れていく。
ずっと誰かに気持ちを打ち明けたかった。けれどジルバート様にすら、自分では抑えることのできないやるせない辛さを話すことはできなかったんだ。
誰も僕の話など聞いてはくれないと、初めから諦めていたのかもしれない。
「やっと話してくれたな」
抱き寄せられ、包み込むような温もりが全身を満たしてくれる。後頭部を手のひらでポンポンと撫でられると、深く沈んでいた心がすくい上げられるような心地になった。
「お前が屋敷に来たときから様子がおかしいことには気付いていた。けど自分から話してくれるのを待ってたんだ」
「っ、弟に嫉妬している僕のことを軽蔑したりしませんか?」
「するわけないだろう。アルビーはよく頑張った。だからいままでのぶん取り返すくらい俺に甘えろ。結婚式はアルビーがしたいようにしたらいい」
赤子をあやすような規則的な振動が背から伝わってくる。そのおかげか、荒波のように揺れていた心が落ち着きを取り戻していく。
デューク様はすごい人だ。
嫌われるのではないかと、不安を抱えていた心をいとも簡単に穏やかにしてくれた。
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