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なにこれ
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朝起きてLINEを確認すると案の定、貫くんから口座番号が送られて来ていた。
俺はムカつく気持ちを抑えながら仕事の準備をして家を出た。
職場に行く前にコンビニでお金を振り込んでからココアを買って店を出る。
お金はもうこれきりだって自分に言い聞かせて、あげたつもりで振り込んだから逆にすっきりした気がした。
俺の恋は終わったし金ヅルとしての関係も終わったんだ。
車を運転しながら高校の時の貫くんとの思い出を頭に浮かべて悲しくなる。何も知らなかったあの頃は本当に楽しくて純粋で、貫くんが好きになってくれなくても友達としては同じ気持ちで居てくれてるって信じていた。
馬鹿だったのは俺だ。
騙される方が悪いとはよく言ったものだけど、きっと金ヅルにされてるって気づかなかった俺が悪かったんだよな。
酒も飲んでないのにネガティブ思考は止まらなくて、それと同時に何故か無性に月見さんに会いたくなった。
遊んだ日から1週間ほど経ったけれど、お互いに連絡は取っていない。それが更に俺たちの関係性を証明しているような気もして辛くなる。
職場に付くと今日も仕事か…って流石に心の中でボヤいてしまう。仕事する気分にはなれないけどやらないといけないから頑張るしかない。
いつも通りの業務を淡々とこなしながらただひたすらに月見さんに会いたいって思った。
なんでこんなに会いたいのかは分からないけど、彼の笑った顔を見ていたいし彼のあの優しげで時々危険な香りのする雰囲気が恋しいとも思う。
「…はあ~…」
すっかり癖になったため息を吐いてから手に持っていた工具を陳列場所に並べていく。
時期ごとに変わる商品の入れ替えのために棚替えをしているけどこれが結構骨の折れる作業でめちゃくちゃ時間がかかる。途中お客さんに話しかけられることもしばしばあるから終わる気がしなくてまたため息を吐いた。
「星野さんっ!」
ガシャガシャと棚を入れ替えていると突然あみちゃんに話し掛けられて驚いて持っていた機材を落としてしまった。
ガシャーンっていう大きい音が鳴って俺もあみちゃんもビクリと身体を跳ねさせた。
「っ…」
「大丈夫ですか!?」
「…大丈夫」
落とした工具が当たったのか手の甲が少し切れていて微かな痛みに眉を寄せる。
作業に集中していて声が聞こえなかったみたいで、申し訳なさそうに俺の事を見ているあみちゃんに逆に悪いことしたなって思う。
「ところでなにか用あったんじゃないの?」
微妙な雰囲気を払うように話を切り出すとあみちゃんは思い出したって顔をして、あって短い言葉を口にした。
「振られた作業が終わったので何か他にあればと思って」
「じゃあ広告用のポップ作ってくれる?」
「わかりました」
指示を受けたあみちゃんはもう一度俺の手に視線を向けてからPCのある場所まで向かって行った。
俺はその後ろ姿を確認してから傷をしっかりと確認する。
じわりと滲み出てきた血に絆創膏が必要だなと判断して事務所にある備え付けの絆創を取りに向かった。
お金のことといい何だかついてないな…と心の中で思った。
俺はムカつく気持ちを抑えながら仕事の準備をして家を出た。
職場に行く前にコンビニでお金を振り込んでからココアを買って店を出る。
お金はもうこれきりだって自分に言い聞かせて、あげたつもりで振り込んだから逆にすっきりした気がした。
俺の恋は終わったし金ヅルとしての関係も終わったんだ。
車を運転しながら高校の時の貫くんとの思い出を頭に浮かべて悲しくなる。何も知らなかったあの頃は本当に楽しくて純粋で、貫くんが好きになってくれなくても友達としては同じ気持ちで居てくれてるって信じていた。
馬鹿だったのは俺だ。
騙される方が悪いとはよく言ったものだけど、きっと金ヅルにされてるって気づかなかった俺が悪かったんだよな。
酒も飲んでないのにネガティブ思考は止まらなくて、それと同時に何故か無性に月見さんに会いたくなった。
遊んだ日から1週間ほど経ったけれど、お互いに連絡は取っていない。それが更に俺たちの関係性を証明しているような気もして辛くなる。
職場に付くと今日も仕事か…って流石に心の中でボヤいてしまう。仕事する気分にはなれないけどやらないといけないから頑張るしかない。
いつも通りの業務を淡々とこなしながらただひたすらに月見さんに会いたいって思った。
なんでこんなに会いたいのかは分からないけど、彼の笑った顔を見ていたいし彼のあの優しげで時々危険な香りのする雰囲気が恋しいとも思う。
「…はあ~…」
すっかり癖になったため息を吐いてから手に持っていた工具を陳列場所に並べていく。
時期ごとに変わる商品の入れ替えのために棚替えをしているけどこれが結構骨の折れる作業でめちゃくちゃ時間がかかる。途中お客さんに話しかけられることもしばしばあるから終わる気がしなくてまたため息を吐いた。
「星野さんっ!」
ガシャガシャと棚を入れ替えていると突然あみちゃんに話し掛けられて驚いて持っていた機材を落としてしまった。
ガシャーンっていう大きい音が鳴って俺もあみちゃんもビクリと身体を跳ねさせた。
「っ…」
「大丈夫ですか!?」
「…大丈夫」
落とした工具が当たったのか手の甲が少し切れていて微かな痛みに眉を寄せる。
作業に集中していて声が聞こえなかったみたいで、申し訳なさそうに俺の事を見ているあみちゃんに逆に悪いことしたなって思う。
「ところでなにか用あったんじゃないの?」
微妙な雰囲気を払うように話を切り出すとあみちゃんは思い出したって顔をして、あって短い言葉を口にした。
「振られた作業が終わったので何か他にあればと思って」
「じゃあ広告用のポップ作ってくれる?」
「わかりました」
指示を受けたあみちゃんはもう一度俺の手に視線を向けてからPCのある場所まで向かって行った。
俺はその後ろ姿を確認してから傷をしっかりと確認する。
じわりと滲み出てきた血に絆創膏が必要だなと判断して事務所にある備え付けの絆創を取りに向かった。
お金のことといい何だかついてないな…と心の中で思った。
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