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なにこれ
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「星野、彼女とかいないのか?」
「居ないっすね」
「好きなやつは?」
腹も溜まってきて飲食のペースが落ちてきた頃に相澤さんが急にそんなことを聞いてきて俺は戸惑った。
好きな人、と言われると上手く浮かばなくて少し前までは貫くんのことが忘れられなかったけれど今はもう吹っ切れてしまってるから答えに迷う。
月見さんの顔が何故だかチラつくけれど俺はそれを振り払って、いないって答えた。
相澤さんは自分から話を振って来たくせにふーんってどこか含んだ返事を返してきて俺はそれに戸惑う。
なんでこんなこと聞いて来るのかも謎だし、この人の口から恋バナが出ること自体にも違和感があった。
「なら俺が立候補しようかな」
アルコールでほんのりと赤くなった顔に余裕のある笑みを浮かべてそんなことを言ってくる相澤さんに俺は驚いて言葉につまる。
酔っておかしくなったのか?
最初に浮かんだのはそんなことで、その後にはからかわれてるんだろとかジョークだろっていう結論に達した。
「そのジョークは流石に笑えないっすよ」
ヘラって笑顔を貼り付けて返したら相澤さんが真顔になって目の前にあった卵焼きに視線を向けた。
「本気だよ俺。まあ、酒の力借りて言ってるのはそうだけど」
食べたくなるくらい星野のこと本気って言って視線を向けていた卵焼きを見せつけるようにガブッと口に入れた相澤さんがチラッと俺の方を見た。
その流し目に確かに俺に対しての欲のような物を感じて、かーーっと身体が熱くなる気がした。
人生でこんな風に告白されたことは1度もなくて、ましてや上司になんて…戸惑う。
相澤さんがいつから俺の事を好きなのかも分からないし、恋愛対象が男だってことにもびっくりでそれも戸惑いの原因になっていた。
「お、俺」
なんて答えたらいいか分からない。
答えに迷っていると相澤さんが目の前にあった俺の手に自分の手を重ねてきて、俺はそれにかすかにビクリと身体を跳ねさせた。
「なあ、二次会行く?」
「…へ…」
この雰囲気での二次会が何を指すのかを察せない程俺は馬鹿じゃなくて、でもそれにどう答えるのが正解なのかもよく分からない。
ただ1つ言えるのはこの人との関係には一切お金が絡んでいないということで、俺はそんな関係を喉から手が出る程に欲しているということだ。
月見さんの顔がチラつく。
別に月見さんとは付き合ってるわけじゃ無いんだから相澤さんと関係を持ったとしても浮気じゃない。
それでもなぜだかじくじくと罪悪感が胸を支配する。
でも…でも…俺は…
「居ないっすね」
「好きなやつは?」
腹も溜まってきて飲食のペースが落ちてきた頃に相澤さんが急にそんなことを聞いてきて俺は戸惑った。
好きな人、と言われると上手く浮かばなくて少し前までは貫くんのことが忘れられなかったけれど今はもう吹っ切れてしまってるから答えに迷う。
月見さんの顔が何故だかチラつくけれど俺はそれを振り払って、いないって答えた。
相澤さんは自分から話を振って来たくせにふーんってどこか含んだ返事を返してきて俺はそれに戸惑う。
なんでこんなこと聞いて来るのかも謎だし、この人の口から恋バナが出ること自体にも違和感があった。
「なら俺が立候補しようかな」
アルコールでほんのりと赤くなった顔に余裕のある笑みを浮かべてそんなことを言ってくる相澤さんに俺は驚いて言葉につまる。
酔っておかしくなったのか?
最初に浮かんだのはそんなことで、その後にはからかわれてるんだろとかジョークだろっていう結論に達した。
「そのジョークは流石に笑えないっすよ」
ヘラって笑顔を貼り付けて返したら相澤さんが真顔になって目の前にあった卵焼きに視線を向けた。
「本気だよ俺。まあ、酒の力借りて言ってるのはそうだけど」
食べたくなるくらい星野のこと本気って言って視線を向けていた卵焼きを見せつけるようにガブッと口に入れた相澤さんがチラッと俺の方を見た。
その流し目に確かに俺に対しての欲のような物を感じて、かーーっと身体が熱くなる気がした。
人生でこんな風に告白されたことは1度もなくて、ましてや上司になんて…戸惑う。
相澤さんがいつから俺の事を好きなのかも分からないし、恋愛対象が男だってことにもびっくりでそれも戸惑いの原因になっていた。
「お、俺」
なんて答えたらいいか分からない。
答えに迷っていると相澤さんが目の前にあった俺の手に自分の手を重ねてきて、俺はそれにかすかにビクリと身体を跳ねさせた。
「なあ、二次会行く?」
「…へ…」
この雰囲気での二次会が何を指すのかを察せない程俺は馬鹿じゃなくて、でもそれにどう答えるのが正解なのかもよく分からない。
ただ1つ言えるのはこの人との関係には一切お金が絡んでいないということで、俺はそんな関係を喉から手が出る程に欲しているということだ。
月見さんの顔がチラつく。
別に月見さんとは付き合ってるわけじゃ無いんだから相澤さんと関係を持ったとしても浮気じゃない。
それでもなぜだかじくじくと罪悪感が胸を支配する。
でも…でも…俺は…
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