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【2】幼馴染みは可愛い男の子-①
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「今日は春風が気持ち良いね」
カフェのテラス席で風に髪を遊ばせながら言うと、向かいのミルコが呆れたように息を吐いた。
「君は呑気だなあ。さっきから“春の天使”見たさに人が押し寄せてるってのに」
「天使って、僕はもう十六だよ? 流石にそれは無理があるだろ」
ゼッポリーニ家の“春の天使”と呼ばれたのも今は昔。前世を思い出してから二年が経ち、ようやくこの派手な顔にも慣れてきた。
それでも、鏡を覗くたびに中身は地味なままだと自覚する。
派手な外見の裏で、どこか遠慮がちに笑う自分がいる。
それが前世の癖だと分かっていても、なかなか抜けない。
だから、僕はやっぱり "主役" にはなれない。
「あの人たちはきっと君を見に来ているんだよ」
ニコニコと笑いながらミルコにそう言ったら、冷たい視線を返された。
「呆れた。君は本当に自覚が足りない。学校じゃ親衛隊がガードしてくれてるけど、外じゃ危ないんだからね」
「ええ~、それはミルコの方だろ? 僕より小さいし」
「これから大きくなるんだよっ!」
顔を真っ赤にするミルコを見て、僕は思わず吹き出した。
彼の家――サンテス家は服飾を手掛けていて、紡績で財を築いた僕の家とは古くから取り引きがある。ミルコとも幼い頃から顔を合わせていた。
サンテス家はフラミンゴの獣人家系で、スラリと背が高くて優美でナルシストだ。けれどミルコは養子なので、明らかに毛色が違う。
彼はセグロサンショクヒタキ――俗に言うピンクロビンの獣人だ。紺青の髪にぽっちりとつぶらな瑠璃色の瞳が愛らしい。
胸から腹にかけての体毛は鮮やかなピンクで、まるで春の花のようだ。
僕は彼の派手なツートンカラーをとても気に入っている。
「僕はちゃんと自覚してるけど、君は自分の容姿の破壊力をわかってないんだ」
「そんなことないよ? 派手で遊んでそうに見えるよう努力してるし」
「遊んでそう?」
「フッフッフ。男の癖にアクセサリーなんて付けて、化粧までしてるもんね~」
どうよ、と勝ち誇った顔をしたらミルコが手のひらで額を押さえた。
「そのキラッキラのピアス、レフ板効果で顔が明るく見えるね。あと見事な銀の透かし彫りの指輪はレースみたいで、華奢な君の指にピッタリ。ああ、化粧ってもしかして色付きリップのこと? それだけは美味しそうになるから止めた方が良いと思うけど、睫毛の先にラメが散っているのは綺麗だね」
「はっ? はっ? はぁあああ?」
僕は思わず目を白黒させた。
前世で見たチャラ男を参考にしたはずなのに、何かが違うらしい。
「ラメはジュリアーナさんの仕業でしょ?」
「……多分」
姉のジュリアーナに瞬きをすると蝶が羽ばたくみたいで大変だと言ったら、何それ悔しいって鼻をつままれた。多分その時に付けられたんじゃないかと思う。
「派手に見せるのは結構だけど、遊んでいると思われたいなんてどうして? 変な輩が寄って来て困るだろう」
ミルコに不思議そうに聞かれ、そう言えば彼に婚約の事を話していなかったと気付く。
「実は、婚約者がいるんだ。相手が成人してから結婚することになってて……。それまでに“遊んでる”って噂が立てば破談になるかなって」
「婚約者! 何それ、聞いてない!」
ミルコがテーブルに大きな音を立てて手を付き、立ち上がった。
カフェのテラス席で風に髪を遊ばせながら言うと、向かいのミルコが呆れたように息を吐いた。
「君は呑気だなあ。さっきから“春の天使”見たさに人が押し寄せてるってのに」
「天使って、僕はもう十六だよ? 流石にそれは無理があるだろ」
ゼッポリーニ家の“春の天使”と呼ばれたのも今は昔。前世を思い出してから二年が経ち、ようやくこの派手な顔にも慣れてきた。
それでも、鏡を覗くたびに中身は地味なままだと自覚する。
派手な外見の裏で、どこか遠慮がちに笑う自分がいる。
それが前世の癖だと分かっていても、なかなか抜けない。
だから、僕はやっぱり "主役" にはなれない。
「あの人たちはきっと君を見に来ているんだよ」
ニコニコと笑いながらミルコにそう言ったら、冷たい視線を返された。
「呆れた。君は本当に自覚が足りない。学校じゃ親衛隊がガードしてくれてるけど、外じゃ危ないんだからね」
「ええ~、それはミルコの方だろ? 僕より小さいし」
「これから大きくなるんだよっ!」
顔を真っ赤にするミルコを見て、僕は思わず吹き出した。
彼の家――サンテス家は服飾を手掛けていて、紡績で財を築いた僕の家とは古くから取り引きがある。ミルコとも幼い頃から顔を合わせていた。
サンテス家はフラミンゴの獣人家系で、スラリと背が高くて優美でナルシストだ。けれどミルコは養子なので、明らかに毛色が違う。
彼はセグロサンショクヒタキ――俗に言うピンクロビンの獣人だ。紺青の髪にぽっちりとつぶらな瑠璃色の瞳が愛らしい。
胸から腹にかけての体毛は鮮やかなピンクで、まるで春の花のようだ。
僕は彼の派手なツートンカラーをとても気に入っている。
「僕はちゃんと自覚してるけど、君は自分の容姿の破壊力をわかってないんだ」
「そんなことないよ? 派手で遊んでそうに見えるよう努力してるし」
「遊んでそう?」
「フッフッフ。男の癖にアクセサリーなんて付けて、化粧までしてるもんね~」
どうよ、と勝ち誇った顔をしたらミルコが手のひらで額を押さえた。
「そのキラッキラのピアス、レフ板効果で顔が明るく見えるね。あと見事な銀の透かし彫りの指輪はレースみたいで、華奢な君の指にピッタリ。ああ、化粧ってもしかして色付きリップのこと? それだけは美味しそうになるから止めた方が良いと思うけど、睫毛の先にラメが散っているのは綺麗だね」
「はっ? はっ? はぁあああ?」
僕は思わず目を白黒させた。
前世で見たチャラ男を参考にしたはずなのに、何かが違うらしい。
「ラメはジュリアーナさんの仕業でしょ?」
「……多分」
姉のジュリアーナに瞬きをすると蝶が羽ばたくみたいで大変だと言ったら、何それ悔しいって鼻をつままれた。多分その時に付けられたんじゃないかと思う。
「派手に見せるのは結構だけど、遊んでいると思われたいなんてどうして? 変な輩が寄って来て困るだろう」
ミルコに不思議そうに聞かれ、そう言えば彼に婚約の事を話していなかったと気付く。
「実は、婚約者がいるんだ。相手が成人してから結婚することになってて……。それまでに“遊んでる”って噂が立てば破談になるかなって」
「婚約者! 何それ、聞いてない!」
ミルコがテーブルに大きな音を立てて手を付き、立ち上がった。
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