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第2章 新パーティー結成編

33.八極気功拳

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ウェル・ベルク VS リン・テンテン。

木刀を破壊されて負けてしまったウェル。

エリスお嬢様に説教くらってヘロヘロになった翌日。

今日はご立腹のエリスお嬢様とは別行動となってしまった。

あとでエリスお嬢様の大好きなクレープでも買って帰るか…。

俺は再びギルドに訪れたら
あのロリっ子チャイナ娘が
ギルドの掲示板を眺めていた。

それにしても、あんなに小さくて細い女の子が
まさか木刀を破壊するなんて…。

なんて怪力だ…。
それとも何かの魔法かな?

とりあえず話しかけてみよう!


「おはよう!」


「おはようネ!
確か名前はウェル・ベルクだったアルネ?
アタシはリン・テンテンアル!」


「リン・テンテン! よろしく!」


お互いギルドマスターのゲルドさんの紹介と掛け声で聞いたけど改めてあいさつ。

昨日はあまり話せなかったけど
礼儀正しく良い子だな。


「よろしくネ!
アタシの冒険者のランクはB級らしいアル!
今度は本気のお前を倒してA級冒険者になってやるネ!!」


リン・テンテン。
中国人っぽい感じで可愛らしい名前だ。

再戦を希望みたいだが
俺としてはイチャイチャしたい。

俺に勝ったからといって俺が本気を出さなかったから、ゲルドさんはとりあえずB級冒険者として合格にしたらしい。

リン・テンテンも聞き分けがよくそれでいいと言うことになった。


「今からこのクエストに挑もうと思うアル!
一緒に行かないカ?
わからないことがあったら教えてほしいネ!」


おっと?
リン・テンテンからのお誘い!?

そうだ!
俺は先輩だ!
いろいろ教えよう!


「いいよ!  じゃあそのクエストやろうか!」


俺もテンテンの武術に興味あるし!
もしかしたら更に強くなるきっかけになるかも!


そして、俺とリン・テンテンはクエストを受けることとなった。

危険度Bランク。
オーガの討伐だ。

辺境の地にオーガが現れたということで
俺たちはそこへ向かうこととなった。

オーガはオークよりも危険度のランクが一つ上で
なかなかの強敵だ。

リン・テンテンの実力なら引けを取らないだろう。


そして、馬車で移動中にリン・テンテンの武術について質問してみた。


「『気』を使っているネ」


『気』?

魔法とは違うのか?


「『気』というのは体内の生体エネルギーを練り上げて更に力を上げる手法ネ!
これができて『八極気功拳』の入門といったところアル!」


つまり、リン・テンテンの武術は『八極気功拳』で
『気』をコントロールすることで扱えるというものか。
八極拳と気を組み合わせた拳法かな?

この世界に魔法以外のファンタジーな力があるとは!
ワクワクするな!


「『気』は誰にでも扱えるのか?」


とはいえ『気』の話なんて一切聞いたことがない。
この辺の人たちでも使えるのか?
遺伝によるものか?


「基本的には使えるはずアル!
でも、この辺の国の人たちは魔法ばっかり使っているから皆『気』が小さいし誰も使ってないネ!」


聞いていると『気』と『魔法』は違うものみたいだ。

『気』は自身の生体エネルギーをコントロールする。

『魔法』は精神エネルギーを使って空気中に漂う『魔素』をコントロールする力。
その力を『魔力』という。

自分の力を使うか、自然の力を使うかって感じか。


「なるほど…『気』を使えばこの前の戦いの時みたいに木刀を破壊できるの?」


「『気』を極めた人は鋼鉄すら破壊するネ!」


『気』ってすげぇな!


俺も使ってみよう。
生体エネルギーを練り上げる…。
手のひらに集中してみよう。

こんな感じか?

コオオオオオオオオ…。


「な、なな、なんで『気』を操れるネ!?」


すぐにできてしまい驚かれてしまった。


「『気』のコントロールは何年も修行を積んでやっとできるようになるのに!
アタシは5年かかったのに!!」


実はラーニングが発動して習得してしまったんだよな。

改めて思うけどラーニングってほんとチートだな。


「ま、まさか!!
『気』を練るのは初めてじゃないアルか!?」


 「いや、初めてだよ」


俺は自分自身の固有魔法『ラーニング』について
リン・テンテンに説明した。

これから一緒にクエストをこなすんだから話してもいいかな。

悪い子じゃなさそうだし。


「ず、ず、ず、ズルいアル!!!!
そんなのズルいアル!!!!」


ですよねぇ~。


「技を受けたり、かすったり、剣で防いでも
その技を自分のものにするなんて反則アル!!」


ですよねぇ~。


「……ウェルとはもう戦いたくないアル…。
アタシの苦労して身につけた技を全部使われるのはイヤアル」


ですよねぇ~。


え?

ええええええええええええ!!!


戦いたいわけじゃないがなんか悲しい!!
なんかフラれたみたい…。


「しかも受けなきゃ習得できないってドMにピッタリな…」


「あ、ああああああぁぁぁ!!!
着いたよーーー!!!」


俺は誤魔化す勢いで叫んで話をぶった切った。


ということで村の人に聞き込みをして
オーガを見かけたという周辺に向かったら洞窟を発見した。


「固有魔法『サーチ』!」


洞窟の中を模索。

オーガが…。

…2体いる…。

魔力量や種類で人と魔物の区別ができる固有魔法『サーチ』。

情報は1体だったから2体は予想外だ。


「便利な魔法アルな。
魔物は『気』がないからわからないアル」


魔物はほとんど魔素でできている。

つまり、魔力の塊のような生物。
それが魔物だ。

どうやらリン・テンテン
も固有魔法『サーチ』のように
『気』を探ることによって
敵の位置がわかるらしい。

『気』って万能なんだな。


さて、行きますか。

鬼がでるか蛇がでるか。

いや、鬼か。
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