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第3章 公爵家編
58.アリストクラキー
しおりを挟むグランベル家の屋敷が火事になり
グランベル家は潰えたと貴族の間では広まっていた。
しかし、グランベル家に住んでいた3人。
執事で川端誠一ことウェル・ベルク。
メイドのココ。
令嬢のエリス・グランベルは全員無事で
火事は暗殺によるものと伝えた。
そして、その暗殺を行ったのが
闇ギルド『ナハト』。
つまり、ロッドフォード家を狙って暗殺しようとした闇ギルドとグランベル家を狙った闇ギルドは同じだったのだ。
俺は事の経緯を話し、グランベル家とロッドフォード家を暗殺しようとした理由にはカギがあるのでは?
もしかしたら繋がっているかもしれないと考察する。
そして、ロッドフォード家の当主であるイーニアス・ロッドフォード様からそのカギとはなんなのかを話される。
「貴族の間で伝承されている逸話があるのだ」
貴族の間ではいくつかの逸話が存在する。
その逸話は迷信やおとぎ話のようなものばかりであるが、ちゃんと記録に残っていて伝承されるものもある。
「7人の令嬢が持つ『カギ』を埋め込むと…」
令嬢が持つ『カギ』を埋め込む!?
エリスお嬢様から聞いたときは『カギ』はどこにあるかわからないと言っていたが…。
もしかしたら既にエリスお嬢様がその『カギ』を持っているということか!?
令嬢ってことは貴族の中の女性限定ということか。
「その『カギ』というのは…?」
「7人の令嬢が願うとき
神が現れ世界を平和に導くと。
7人の令嬢が死するとき
悪魔が現れ世界を終末へ導くと」
その『カギ』を持った令嬢たちを願うか殺すかで全く違う世界の結末が待っているのか。
つまり、エリスお嬢様やリンジーを暗殺しようとしている闇ギルド『ナハト』は悪魔を呼び出して世界を滅ぼしたいということか。
なんて迷惑な奴らなんだ。
グランベル家に何かと嫌がらせしてきたレイス家は関係ないのかな?
「正しく『カギ』を扱う者たちが集う健闘を祈る…と…」
その伝承を記した人は世界の終末ではなく平和を願っているのだろう。
闇ギルドの思いどおりにはさせないぞ!
「そして、その『カギ』の名前は『アリストクラキー』と伝承されている」
『アリストクラキー』。
世界を平和か終末に導く貴族に伝わる『カギ』。
これがエリスお嬢様が狙われた理由である。
「そして、この『アリストクラキー』は
公爵、子爵などの爵位は関係なく
どこの貴族が持っているかわからないということだ」
なんと…。
爵位関係なくなら本当に誰が『アリストクラキー』を持っているかわからないな。
何かヒントでもあればいいんだが…。
「『アリストクラキー』を持っていると知られると何かと命や地位を狙われるから誰も公開しないのだ」
確かに
「ウチはカギを持っている!」
なんて公表したら真っ先に暗殺されるだろうからな。
そうでなくても貴族の上下関係は厳しい。
「子爵の地位の分際で『アリストクラキー』を持っているなんて生意気だ!」
とか言われて失脚させられたりするかも。
貴族は大変だな。
「…私が知っているのはここまでだ…」
なるほど。
まだわからないことだらけだが。
「ありがとうございます。イーニアス様」
エリスお嬢様を暗殺しようとした闇ギルド。
そして、エリスお嬢様が狙われたわけ。
全て繋がり進展した。
しかし、ベルモットは「グランベル家は違った」
と言っていたな。
恐らくエリスお嬢様を殺しても『何かしらの変化』がなかったからグランベル家は『カギ』を持っていなかったと勘違いしているのだろう。
リンジーも死を偽装すれば同じように勘違いしてくれて狙われるリスクが減りそうだ。
「さて、食事も済んだしお開きにするとしようか」
そうだな。
俺もお腹も頭もいっぱいだ。
帰ったら情報の整理をしなければ。
「ウェルくん。
もう日が沈むし、今日は泊まっていきなさい」
「え? でもご迷惑では!?」
「わたくしは賛成ですわ。
わたくしの命を救ってくれた恩人を丁重に扱わなければなりませんわ」
「そうだな。私も同意見だ」
ロッドフォード家の3人は意見一致。
「そ、そうですか。
それではお言葉に甘えてお世話になります!」
「あぁ、甘えたまえ!
子どもは遠慮しちゃいかんぞ!」
なんだか久しぶりに聞いたセリフだな。
中身36歳のおっさんだから、この世界に来てから全く言われたことがなかったんだよな。
子どもの姿はお酒が飲めないけど、良いところもある!
「さぁ、ウェルくん! 裸の付き合いだ!」
ジョーディ様に肩を叩かれて大浴場にお誘いを頂いた。
そして、脱衣場で服を脱ぐのだが、
「うーむ…」
ジョーディ様は若くて、イケメンで、高身長で、
腹筋も割れていて、痩せマッチョの素晴らしい肉体美。
男の俺でも思わず見とれてしまう。
あぁ…俺はこういうのになりたかったんだけどなぁ。
固有魔法『メタモルフォーゼ』。
自分がイメージした姿に変身することができる魔法。
やろうと思えば女性の姿にもなれる。
エリスお嬢様の方で美少年ショタワンコに固定されたから基本形態はこの姿だ。
だから魔力切れを起こして倒れても元の姿のおっさんには戻らない。
そして、この固定された美少年ショタワンコの姿はエリスお嬢様の意思でなければ解除できない。
まぁ、他の姿になれなくはないがな。
待てよ!?
ジョーディ様みたいな姿になれるなら
女の子のお店に行けるのでは!?
今度試してみよう!
「? どうかしたのかい?」
「い、いえ!?」
やばいやばい…。
思わず男の裸をずっと眺めてしまった。
「……もしかしてウェルくん…」
な、なんだ!?
俺の考えていることバレたのか!?
「…男好きかい…?
私はそっちでないから申し訳ない」
「違います!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
肉体美を思わず眺めてしまったとはいえ
決してそっちではない!!!!!
公爵家にあらぬ誤解が!?!?!?
そして、何もしてないのに男にフラれた!!!!
「君がそっちだったらなんの迷いもなくリンジーを任せられるのにな」
そっちってどっち!?!?
リンジーを任せる理由がその基準なのはおかしい!
そして、裸の付き合いで男同志いろんな話をするのであった。
応援ありがとうございます!
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