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妃達の休暇
しおりを挟むアニースは久しぶりにナターシャの居る皇太子邸にラメイラと来ていた。
先日のジャミーラの行いが、アニースやラメイラの耳に入ったからだった。
ラメイラのお腹もかなり大きく、翌月には出産を控えている。
「どうしよう、私ナターシャみたいな強い母になれるかなぁ……。」
「ラメイラはなれる気がする。」
「わたくしもそう思いますわ。」
久しぶりにヴィオレットはラメイラに会えて、ピッタリとお腹にくっついていた。
「ラメイラお姉様、遊ぼ。」
「う~ん、ヴィオごめんね、姉様のお腹の赤ちゃん、産まれそうなんだ。産まれたら遊ぼうね。」
安定期に入り、公務を復帰しつつ時間さえ合えばナターシャとラメイラは会っていたらしい。
「私がジャミーラやヘルンに頭を悩ましていた間、ナターシャやラメイラは子を守っていたのだなぁ。」
「わたくし、アニース様に負担を掛けていたのを反省しますわ。」
「え?何故だ?ナターシャ。」
アニースは悪気がなく言ったのだが、ナターシャは気にしていたらしい。
妃候補の教育係としてナターシャはアニースに刺繍やマナーを教えていた。
マナーに関してはミラー侯爵夫人が代行してくれていたのだ。
「わたくしが講師をしていれば、ジャミーラ様やヘルン様の鼻をへし折って差し上げる事を早めれたのに、と。」
「…………プッ………ナターシャ、強いもんな、事リュカに群がる蝿には。」
ラメイラはジャミーラとヘルンを蝿と言う。
「あら、ラメイラだって、トーマス殿下に群がる蝿には、本領発揮しますでしょ?」
「当然じゃないか。トーマスの周りの火の粉は叩き落とす!」
「わたくし、もう少~し2人目は後が良かったのですよ?そうしたら、ラメイラが双子懐妊でしょ?リュカが対抗心で避妊してくれなかったのですよ?この子に罪は無いですし、嬉しい懐妊ですが、アニース様の事を思うと、今は時期じゃなかったでしょう?と、昨夜もリュカを詰りましたわ…………あぁ、わたくしもですが、リュカも心が狭くて反省ですわ。アニース様に負担掛け過ぎているのに、その鬱憤でジャミーラ様を貶しすぎました。」
嫉妬もあるのだろうが、育児をしながら公務や体調をきにしながらの状態で、快く思っていない相手が我が子を傷付けたのだ。
面白くない上に、嫉妬も掻き立てられたのだ。
胎教には悪い。
「ははは………ジャミーラはナターシャには勝てないよ。私は後から聞いてもいい気味で、私はスッキリしたよ。だって、ジャミーラは謝る事を知らないから。」
「それで?ジャミーラ姫とヘルン姫は大人しくなったのか?」
「それが………皇太子妃は諦めそうだが、 トーマス殿下とタイタスを狙ってそうだ……ほら、最近ラメイラは大人しくしているだろ?以前ヘルンを平手打ちしてから………。」
「産んだら容赦しない!ナターシャが駄目なら他の皇子妃狙うなんて、皇子の気持ち考えてないじゃないか!」
「リュカも、ヴィオの件で益々警戒してますから、動くとは思いますわ。」
一方、リュカリオンは皇帝の執務室に来ていた。
難しい顔をし、先日のヴィオレットの件でジャミーラの処遇を考えていた。
「謝罪はしたのだな?」
「えぇ、渋々ですが妃の誘導で、謝らせる状況を作り…………。」
「ナターシャ妃の誘導は大したものだな……それも宰相の育てが良いのだな。」
「恐れ入ります。息子達や私にもない接し方をする娘でしたから。私達ではジャミーラ姫をあそこ迄追い詰めれなかったかと。」
「ナターシャ妃が男であれば、良い部下になったろうな。」
「父上!冗談じゃないですよ!私からナターシャを取り上げるような発言は辞めて下さい!」
ナターシャが男だったら、と考えたくもないリュカリオン。
「リュカにナターシャ妃が居なかったら、皇太子にしておらん………さて、処遇は国外追放………… は重いな……内情的には、可愛い孫娘を泣かせおって、したいのは山々だが。」
「陛下、私も同じ心情でございます。」
皇帝もウィンストン公爵も孫娘を傷付けられたのだ。
心情は同じ。
「自ら帰る方法を見つけれたら一番良いのですがね。サマーン王が亡くなっても居続けそうですし………宰相、ボルゾイからの情報は変わらないのか?」
「はい………。」
ボルゾイの王、サマーンの病状も芳しくなく、第一王子アラムが王として即位式が近くあるという。
「即位式には行かないのか?妹だろう?」
「妹といえば、アニース姫はどうするのだ?」
「聞いてみますか?アニースに。」
「そうだな………アニース姫が行くと言うなら、レングストンからも1人使徒を……。」
「…………でしたら、タイタスとセシルが良いのでは?タイタスは押しに弱いので、その助けにセシルを。」
「………うむ…………宰相、それで良いか?」
「そうですね……皇太子殿下の仰るように、タイタス殿下のみで、ジャミーラ姫やヘルン姫に対抗出来るか疑問が残りますので、セシルに任せましょう。その為に、アニース様には一次帰国して頂き、ジャミーラ姫とヘルン姫を引き連れてもらえるようにし、セシルの手腕でそのままボルゾイに………。」
ジャミーラとヘルンの追い出し方法は決まった。
「今、ボルゾイとの国家間の物流を見直してます。それを私は急ぎ、セシルに王となるアラム殿と会談し、締結に持ち込ませてみせますよ。」
「うむ、リュカ頼んだぞ。宰相はアニース姫に話を………私はタイタスに話そう。」
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