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おまけ①
しおりを挟むアニースはタイタスと結婚式当日。
アニースには両親は既に居らず、ボルゾイからはボルゾイのアラムの部下が数人来るだけだった。
大聖堂のバージンロードのエスコートは後継人でもあったウィンストン公爵が行う事になった。
アードラからも来賓が来てはいるが、その来賓がアリシアではなかったのは寂しかったのは言うまでもない。
アードラからはアルフレッドとロバートが来ていた。
純白のウエディングドレスを着て、タイタスの前に来たアニースは、既に感極まり泣いている。
「…………もう泣いてる。」
「……お父様と歩きたかったし、見せたかったな、て思ったら涙が止まらないんだ。」
「………これからは、俺が居るから。」
「うん………。」
ヴェールの下へハンカチを持ったタイタスの手が、アニースの涙を拭く姿を見た参列者達は、若き新しき夫婦の未来に期待する。
ヴェールを上げ、誓いのキスをするアニースとタイタスに、歓声が贈られたのだった。
大聖堂を出たアニースとタイタスはパレードに出て行くと、参列者達が大聖堂から退出しながら、会話が始まっていく。
「アルフレッド王子。」
「………トーマス殿下、カイル殿………あ、コリン!久しぶりだな!」
「アル!元気そうで安心したよ。僕アリシアが来ると思ってた………カイル居るし。」
「………アリシアは今夜の夜会出れないだろ?カイル殿は出れても、夜会中カイル殿に色目使う女達を見たくないから我慢する、て意地張って来なかったんだ。」
カイルはそれを聞いて苦笑いするしかなかった。
会えたとして、どんな顔して会えばいいのか分からないらしい。
アリシアがアードラに帰る日迄悩み悩んだ挙句、会おうとしなかったのだ。
「アルフレッド様………実は近日中に私は王都から離れるのです。」
「え!何処に行かれるのです?カイル殿。」
「…………レングストン皇国内にあるウィンストン領です。今迄代理を置いておりましたが、新たに私が領主になりますので。」
「…………それは、アリシアは知ってるんですか?」
「いえ、手紙も出してないので知らないでしょう。」
「それは、アリシアに伝えても?」
「どちらでも………まだアリシア様は13歳になったばかり………あと3年心変わりされたら意味ありませんし、知らせて何も思わなかったら悲しいですから、私に伝えたか伝えてないかは、教えないで頂けると助かります。」
「…………カイル殿……。」
トーマスもコリンもロバートも、カイルの一途な想いに心苦しかった。
「アルフレッド王子、紹介させて下さい………ラメイラ!」
「…………はい?」
「私の妃で、トリスタン公国公女だったラメイラです。ラメイラ、こちらはアードラ国第一王子アルフレッド様、アリシア王女の兄上だ。」
「…………え?アリシアの兄上?………初めまして、アルフレッド王子。トーマス殿下の妃のラメイラと申します。アリシアとは本当に仲良くさせてもらってました。」
「初めまして、ラメイラ妃。あなたのお話は、妹からよく聞かされてました。あなたと皇太子妃殿下、ナターシャ妃と、今日式を挙げられたアニース妃の話は、とてもアリシアがいい友人に恵まれた、と両親と話してたんです。後で、ナターシャ妃とアニース妃にお話が出来る機会があれば是非お礼を申しあげたい。」
「アルフレッド王子、後程また機会は作りますよ。」
トーマスはカイルとアリシアの事から話を変え、アルフレッドの意識を反らせた。
夜会で、アルフレッドを含め、リュカリオン、ナターシャ達と夜会を楽しんでいる中、アニースとタイタスはパレードの後、夜会にも出ず、タイタス邸でしけ込んだのは言うまでもない。
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