魔法陣の中の皇女【完結】

Lynx🐈‍⬛

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真相

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 自室に戻り、再び寝静まるアンジェリーク。
 何故キルストは魔法陣に入れたのか……。
 と考える。
 魔法陣には掛けた人より強い魔力の人でなければ入れない呪文が込めてある。
 掛けたアンジェリーク以外は入れないように、呪文を掛けた。
 父イザークは勿論、兄リザードも入れないように呪文を掛けたのに、何故入れたのか……。

(…………わたくしより、強い魔力の持ち主なのかしら…………。でも何故わたくしがあそこに居ると分かったのかしら?)

 そんな事を思いながら、考えても答えが出ないまま、再度眠りに着いた。


 翌朝。
 リザードにキルストがどういう人かを知りたくなり、リザードの執務室に居ると聞き、アンジェリークは執務室に行く。
 リザードは皇太子としての公務も忙しく、1カ所に長く居る事は少なかった。
 ドアをノックをしようとアンジェリークがリザードの執務室の前に立つ………すると、中から話声。

「……どうだった?アンジェは。」
「………どう、とは?」
「昨夜、行ったんだろ?魔法陣壊ってまで。」
「…………美しかったよ。」
(お兄様と………キルスト様?)

 アンジェリークはノックを躊躇う。
 今、アンジェリークは昨夜の事を思い出したくないのだ。
 離れた所でキルストが部屋から出たのを見計らって、入ろうかと思っていたら、ドアがいきなり開いた。

「ご機嫌麗しゅう、アンジェリーク様。」
「アンジェ?………どうした?」

 キルストが中から開けたのだ。
 急に開けられて戸惑いを隠せないアンジェリーク。
 
「………キ、キルスト様………な、何故わたくしが此処に居ると………。」
「………何故だろうね?」

 クスクスと笑いながら、室内の奥に戻るキルスト。

「入っておいで、アンジェ。」
「………は、はい。」

 アンジェリークはリザードの右側に居るキルストを避けるように左側に来る。

「…………どうしたんだい?アンジェ。」
「………え、えっと………。」

 キルストが居る為に話したがらないアンジェリークは、リザードに目配りする。
 リザードもキルストもそれに気付く。

「………リザード、じゃまた後で来る。」
「すまないな、キルスト。」

 アンジェリークは失礼な事をしてしまったのでは、と焦った。

「あ、あのお兄様、わたくしの方が後でも……。キルスト様に気を使わせてしまって申し訳ありません。」
「構わないよ、キルストは分かってるから。………キルストの事なんだろ?聞きたい事は。」
「………はい………。昨夜キルスト様に気になる事をお聞きしまして………。」
「何を聞いた?」
「……………お兄様の結婚相手が決まったら、キルスト様とわたくしが婚約する、と。」
「………あぁ、キルストが言ってしまったのか……。」

 リザードは前のめりの姿勢でアンジェリークの話を聞いていたが、その話で背もたれにもたれた。
 何だ、その事か、という感じに取れる。

「は、はい。ご冗談ですよね?」
「…………いや?本当の話だよ。」
「…………え!?な、何故ですか?わたくし、セシリアお姉様がお好きな方とは……。」
「………あぁ、確かにセシリアは幼い頃からキルストが好きだったなぁ。だが、セシリアにも内々に決められた伯爵家のお相手が決まっている。本人には伝えてないが……。」
「……………お姉様にお相手が決まっているから、わたくしがキルスト様と、と言う事ですか?」
「ん?逆だよ、アンジェ。父上がアンジェの魔力の膨張を抑えるのに、類似した波長もしくはセーブ出来る強さの年頃の男子を探したら、キルストが丁度良かったんだ。セシリアでは、キルストの魔力を補えれないからね。もし、セシリアの相手をキルストにしたら、キルストは何人も愛人を抱えなければならない。王家しか側室の立場の地位を与えられないからね。そうなれば、セシリアもキルストも不幸だ。」

 ドラクロアの国民の結婚は、魔力の波長も重要視される。
 好き合って結婚しても、魔力の波長が合わなければ、性欲が抑える事が出来ず、結局は別れが待っている。
 純血も重要視されている為、男と違い女は次の結婚をするのも難しい国だった。

「………それで、公爵家のキルストに白羽の矢が当たってね。昨夜の夜会の為に留学を切り上げてもらい、アンジェリークに会わせたんだよ、キルストを。」
「……………でも、失礼ですわ、キルスト様のお気持ちも考えてらっしゃったのですか?」
「キルストは、昔からアンジェにしか興味はなかったぞ?………父上が公爵に話して、公爵がキルストに連絡したら、直ぐに帰ってきたからな。第三皇女アンジェリークとの婚姻話があるのだが、その気はあるか?と私もキルストに手紙を書いたら、直ぐに返事が来た。」
「………な、何てですの?」
「直ぐに帰る、と。」

 アンジェリークの知らない所で話が進む事に苛立ちが湧いたのだった。
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