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氷の美姫

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 患者達の周辺で、山科の下に付いた新しい医者、玲良の噂が立ち上がり、密かにファンクラブ等が出来る。山科や看護師達にはクールで表情が崩れない玲良だが、患者達との対応はニコニコと微笑み、対応がいい、と評判になったのだ。

「よ、『氷の美姫先生』」
「……………何、それ」

 病院の食堂で、玲良を見つけ、穂高が目の前に座る。

「患者内で評判らしいぞ………俺もさっき聞いた」
「………また噂?………いい加減にして欲しいわ」
「で?どうだ?山科先生は」
「まぁ、今の所は2人きりを避けてるから、何もされてないかな………ストーカー扱いも減ったみたいだし」
「あ、ここいい?玲ちゃん」
「え?」

 穂高の横に、1人の医師が座る。

「先輩、『玲ちゃん』て呼ばないで下さいよ!」
「いいじゃん、一見クールなのに、可愛いって、富樫から散々聞かされてんだぜ?俺は………親しみ込めて玲ちゃん、て呼んだって」
「…………プッ………」
「「!!」」

 玲良は思わず吹いた。その笑みがまた男心を擽るとは、玲良も分からない。

「玲良………頼むから、病院内はクールにしてくれ……」
「…………は?」
「可愛い…………ね、富樫なんてやめてさ、俺と付き合わない?」
「は?」
「先輩………だから、やめて下さいってば……」
「えっと………すいません……私が穂高じゃなきゃ駄目なんで………」
「…………おぉ………うわっ!めっちゃ富樫照れてる!!」

 真っ赤になって、照れてる穂高に、遠山は面白そうに声を張り上げた為、食堂内の注目の的になってしまう。

「玲良…………この後時間空くか?」
「…………う~ん、山科先生今オペ中だし、暫くは時間はあるけど……」
「…………分かった……じゃ、早く飯食え」
「何かある?」
「いいから!」
「おい、シケ込むなら俺も混ぜ………ゴメンナサイ」

 またも穂高に睨まれた遠山。これでは何方が先輩で何方が後輩か分からない。

「オペ入らなくて良かったのか?」
「うん、第2助手迄決まってたオペだし、私が赴任する前からの手術だったから、私は呼ばれてないのよ……小児患者の手術が来週に1件入ってるから、それには同行する事にはなったけど」
「富樫先生~、遠山先生~、今夜お時間あります?」

 食事中、穂高や遠山に話掛ける看護師達。玲良の存在は無視だった。

「何でしょう?」
「今夜飲みに行きません?明日、富樫先生お休みですよね?」

 穂高が返事すると、看護師の1人が熱烈にお誘いを申し立ててきた。

「明日は確かに休みですが、とデートなんで、遅刻したくないので遠慮しておきますよ」
「え!!彼女居ませんでしたよね!!」
「あぁ、最近ヨリを戻しまして」
「俺は行けるぞ?明日休みじゃないけど」
「…………失礼しました……」
「……おい!!」

 看護師達は、肩を落とし去って行く。どうやら、遠山はオマケだった様だ。

「モテるんですねぇ、『富樫』先生」
「…………っ……ゴメンナサイ『纐纈』先生」
ぐらいなら構わないのに………」
「俺が嫌だ」
「…………そっか…」
「!!…………またそんな可愛い顔……他の野郎共見てないだろうな!…………先輩……」
「可愛い………」

 安心した、綻ぶ顔の玲良に、魅力される男に遠山も入ってしまった様だ。

「玲良、行くぞ!」
「え?」
「いいからついて来いって!………先輩は来ないで下さいね!」
「…………ちぇっ……内線には出ろよ~」

 腕を引っ張って歩く訳にはいかず、ただ穂高についていく玲良。宿直の仮眠室に使用中の札に着け変え、玲良を押し込んだ。

「ちょっと!!」
「可愛い顔を他の男達に見せてる罰」
「だからって、ココでシないわよ!」
「し~~っ……声抑えろ………安心しろよ、最後迄はしない、て………声聞きたいから夜に温存………ただ、玲良に触れたいだけ」
「……………抱き着くだけにしてよ?」
「キスはさせろ」
「…………ぅ……うん……」

 仮眠室のベッドに座り、深いキスを始める玲良と穂高。まとめていた玲良の髪は穂高に乱され、徐々に胸や腰、背中への愛撫が続く。

「んんっ!!」

 ドンドン、と穂高の胸を押す玲良だが、ビクともしない穂高。漸く唇が離れたと思いきや、首筋にまた1つ、2つと痛みが生じる。

「穂高!!また!」
「…………ゴチ」

 服と髪は乱され、キスマークをまた増やされ散々な姿。その姿の玲良の前で唾液が垂れた穂高の口周りは、自身の舌で舐めている。

「色っぽい………今夜も楽しみだな」

 玲良の唇も、穂高の指で拭き取られ、再び軽いキスを落とされる。悔しくて腹立たしい玲良は、穂高の足の付け根を掴んだ。

「って!!握るな!!」
「仕返し!せいぜい、その姿で妊婦さん達にセクハラしたら?」
「俺は、お前以外勃たねぇよ!」
「あっそ…………どうだかね……早く隠さなきゃならないから行くわ」
「あ!おい!沈ませろ!……………あぁ!クソっ!」

 掴まれて暫く扱かれた肉棒の昂ぶりを、治める迄、穂高は仮眠室から出られなかった。
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