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身代金は100億ずつ。
しおりを挟むパパ「・・・もしもし?」
「宝条家の一人娘はもらった。返してほしくば100億用意しろ。」
パパ「娘は本当にそこにいるのか?」
「・・・声を聞かせてやるよ。」
そう言うとケータイのスピーカーから酷い声が聞こえてきた。
美悠「あぁぁぁ!!」
パパ「!!・・・美悠!?」
雄飛(美悠だ!!)
攫われたことは間違いなかった。
でも・・・美悠の声が・・・悲痛だった。
「いかがかな?」
パパ「娘に何をしてる・・・!」
「ちょっと体力が回復すると逃げようとするからね。定期的に電気を流して体力を奪ってるだけだ。」
雄飛(電気って・・・!)
犯人に対しての怒りや憎しみがこみあがってきて、俺は自分の手をぎゅっと握った。
その力は半端じゃなく、爪が皮膚に食い込んで血が出るほどだった。
「100億。一色と合わせて200億だ。受け渡し場所は明日電話する。」ピッ・・・
通話は切れ、美悠のお父さんはケータイをポケットにしまった。
踵を返して歩き始める。
兄「どちらへ!?」
パパ「100億の用意をしに行ってきます。」
兄「犯人に支払うつもりですか!?」
パパ「娘は金に代えられません。」
兄「我々も一緒に行きます!」
そう言って兄は美悠のお父さんの後を追い始めた。
その途中でクルっと振り返って俺を指差す。
兄「お前は来るな!この事件が解決するまで仕事に来るな!」
雄飛「!?・・・はぁ!?」
兄「お前が感情的に動いて美悠ちゃんたちに何かあったらどうする!」
雄飛「それは・・・・」
兄「だから来るな!家にいろ!」
そう言って兄は行ってしまった。
残された警護班は招待客や、残ってる人の警護をしながらホテルから出し、各自家まで送って行く。
俺は自宅待機を命じられたから・・・何もできなかった。
雄飛「ふざけんなよ!!兄貴!!」
美悠は強い。
それは俺がよくわかってる。
でも・・・電気を浴びせられ続けてるなんて知って・・・黙ってられるはずなんてなかった。
今すぐ美悠を助けに行きたい。
雄飛「でも明日までは場所が分からない・・・。」
自宅待機を命じられた俺は、一人でホテルを出た。
そのまま自分が勤務する交番に向かって歩き始めた。
ーーーーーーーーーーー
交番に戻ってきた俺はドアを開けて中に入った。
雄飛「山下!いるか!?」
そう聞くと奥の部屋から面倒くさそうに山下が出てきた。
山下「三門?どうしたんだ?」
雄飛「美悠とかりんちゃんが攫われた。」
山下「・・・・はぁ!?」
俺はさっきあったことを山下に話した。
美悠とかりんちゃんが誘拐されたこと。
二人は共に財閥のお嬢様なこと。
そのお嬢様の立場を利用してか、身代金の要求があったこと。
その受け渡しは明日、連絡がくることを。
山下「早く助けにいかないと・・・!」
雄飛「でも俺は自宅待機なんだよ。兄貴の命令だ・・・。」
山下「!!・・・じゃあなんもできないじゃんか!」
そう、このままならなにもできない。
でも・・・俺は1秒でも早く美悠を助け出したかった。
雄飛「・・・お前に頼みがある。」
山下「・・・?」
俺は山下に相談をした。
山下は最初は『無理無理!絶対無理!』と言って聞いてはくれなかったけど、何度も言うと渋々オッケーをくれた。
俺が美悠を助け出すには・・・山下の協力がないとできない。
山下「俺・・・首が飛ぶかも・・。」
雄飛「俺が頼んだって言い張るから・・・。頼んだからな?」
山下「わかったよ!やってやるよ!」
雄飛「・・・ありがとう。」
俺はそのまま交番を出て家に帰った。
明日、美悠を助けに行くためにイメージを組んで・・・用意をする。
雄飛「美悠、がんばれ・・・。助けに行くから。」
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