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インストール開始。
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ーーーーー
『おはようございます。朝のニュースの時間です。』
朝、パンをかじりながらテレビを見てると、世界情勢やら経済やら天気やらが流れていた。
世界ではお互いの国に難癖をつけて金の取り合いや物価高が問題になってるらしく、ニュースキャスターの人たちが難しい顔をしながら話していた。
「国同士でもめるとか大変だよなぁ、言葉もちゃんと通じないし。」
そんなことを思いながらじっとテレビを見てる時、キッチンから母親の声が聞こえてきた。
「ちょっと修二ー!遅刻するわよ!!」
「!!やっば・・!」
母親に言われて時計を見た俺は慌てて立ち上がった。
今の時間は8時10分。
通ってる高校までは走れば・・・間にあう時間だ。
もう着替えも準備も済ませてある。
「ほらお弁当!」
「さんきゅ!行ってきます!!」
キッチンのカウンターに置かれた弁当袋を受け取り、俺は家を飛び出た。
息が切れるまで走り、学校の門が閉まる直前に滑り込むことに成功した。
「はぁっ・・はぁっ・・・」
門を背に息を整えてると、上の方から俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「おい修二ーっ!!さっさと上がってこい!掲示板が大変なことになってるぞ!」
「?・・・今行くー!」
荒れた息を整えながら靴を履き替え、教室に向かった。
歩いて向かう途中にある教室や廊下ではみんなスマホを覗き込みながらざわついてる。
(なんだ?)
教室に入るとさっき窓から俺を呼んだ『健太』が手招きしてる。
「おい修二!これ見て見ろよ!」
「なんだよ。」
鞄を机に置いて健太のもとにいくと、俺にスマホを見せてきた。
「これ!」
見せられた画面にはよく遊ぶゲーム機『Pport』の掲示板があった。
この掲示板はゲームの攻略法や新しいソフトの発売日なんかの情報が一般人から投稿されるものだ。
「え?なんかの新しい攻略でも出たか?」
「ちっげーよ!!ここ!ここ見て見ろって!」
言われたところを見ると、そこに『P port公式よりお知らせ』と書かれたものがあった。
内容は・・・
『P port公式よりお知らせ。いつも弊社の本体、およびソフトのご利用ありがとうございます。この度弊社は新しい試みといたしまして、本日夜0時にP portにログインされてる方を対象といたしましてソフトを無料配信させていただきます。詳細はインストールされますときに注意事項として明記させていただきます。ソフトの内容といたしましては対象年齢15歳からとさせていただきます。』
と、書かれていた。
「・・・無料ソフト?」
「すげぇだろ!?もう朝からこの話ばっかりだぜ!?」
「あー・・それでみんなざわついてるのか。」
教室内を見回してもみんなスマホを見つめていた。
中には『インストールする!』とか『えー!P port持ってない!』とかいう声も聞こえてくる。
「修二もやるだろ!?」
「・・・あぁ、一応インストすっかな。」
「一緒にプレイできるやつだったらしような!」
「あぁ。」
一体どんなゲームが無料配信されるのかと思いながら、授業を受けていった。
その授業と授業の合間にある休憩時間でもやっぱりP portの話でもちきりで、『無料だからしょぼい』とか『中できっと課金させられる』とかいう話まで出始めていた。
(まぁ、無料ゲームなんて課金しないと先に進めなかったりするからなぁ。あんまり期待はしないほうがよさそうだな。)
そんなことを考えながら、俺は夜遅くまで起きておくためのプランを立てた。
一人部屋だから特に親に怒られる心配はないけど、念のために保険はかけておかないといけない。
(・・・晩御飯、作っとくか。)
そう思い、学校帰りにスーパーに寄って俺は親たちの帰宅を待つことにした。
ーーーーー
「ただいまー!・・・あれ?修二、晩御飯作ってくれてたの?」
仕事を終えて家に帰って来た母親が、部屋に漂うカレーの匂いを嗅ぐようにしてリビングに入ってきた。
「んー・・・一応?」
「一応って・・・あ、さては何か欲しいものがあるとか?」
「や、欲しい物じゃなくて・・・ちょっと夜に配信されるゲームがあるからそれをちょっとしてから寝ようかなーと・・・。」
インストールだけしておいて今度の休みの日にプレイすればいいと思いながらも、もしハマってしまったらきっと夜2時や3時までプレイしてしまう危険があった。
ヘッドホンをしてプレイするから『うるさい』と言われることはないけど、扉の隙間から明かりは漏れてしまう。
親がトイレかなんかで廊下に出ると、怒られるかもしれないのだ。
「あぁ、そういうこと?ちゃんと寝るのよ?」
「わかってるって。」
「お父さんには上手く言っといてあげるから片付けまでよろしくねー。」
「・・・はい。」
今日の晩御飯の準備から片付けまでを引き換えにゲームの許可?を得た俺は深夜0時前、P portを起動してログインし、その時を待っていた。
スマホはP portの掲示板を開いたままだ。
『そろそろか!?』
『みんな準備してる!?』
そんなコメントがナイアガラの滝のように流れてる。
「・・・来た!0時だ!」
ゲーム本体の時計が0時に変わった瞬間、P portの画面がパッと変わった。
いつもなら遊んでるソフトが一覧で出てる画面なのに、銃のアイコンのようなマークが出てる。
「これが配信ソフトか?」
コントローラーを持ってカーソルを合わせ、ボタンを押してみる。
すると画面にずらっと文字列が現れた。
「これが注意事項・・・?」
こういうのはきっちり読む正確な俺は順番に読んでいった。
「えーとなになに?・・・『注意事項。このソフトは課金制ではなく完全無料で遊べます。インストール後アカウントを製作しーーーーーーー
要約するとこうだった。
・課金はない。
・既存のアカウントではなく、新規で作る必要がある。
・アンストすると二度とインストできない。
・ライフがゼロになるとこのソフトは抹消される。
「なんか他もいろいろあるけど要は一回こっきりのゲームだな?課金しなくていいなら親の許可もいらないし。・・・よし、インストしよう。」
俺は注意事項を最後まで読んだら現れた『インストール開始』にカーソルを合わせ、コントローラーのボタンを押した。
すると一瞬でインストが完了し、アカウント作成の手続きに進んでいった。
「アカウント名は『Suuji』。ありふれた名前だからいいだろ。」
負けたらソフトが消えてしまうなら、アカウント名を捻る必要はない。
俺は『Suuji』でログインし直し、ソフトを起動した。
『おはようございます。朝のニュースの時間です。』
朝、パンをかじりながらテレビを見てると、世界情勢やら経済やら天気やらが流れていた。
世界ではお互いの国に難癖をつけて金の取り合いや物価高が問題になってるらしく、ニュースキャスターの人たちが難しい顔をしながら話していた。
「国同士でもめるとか大変だよなぁ、言葉もちゃんと通じないし。」
そんなことを思いながらじっとテレビを見てる時、キッチンから母親の声が聞こえてきた。
「ちょっと修二ー!遅刻するわよ!!」
「!!やっば・・!」
母親に言われて時計を見た俺は慌てて立ち上がった。
今の時間は8時10分。
通ってる高校までは走れば・・・間にあう時間だ。
もう着替えも準備も済ませてある。
「ほらお弁当!」
「さんきゅ!行ってきます!!」
キッチンのカウンターに置かれた弁当袋を受け取り、俺は家を飛び出た。
息が切れるまで走り、学校の門が閉まる直前に滑り込むことに成功した。
「はぁっ・・はぁっ・・・」
門を背に息を整えてると、上の方から俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「おい修二ーっ!!さっさと上がってこい!掲示板が大変なことになってるぞ!」
「?・・・今行くー!」
荒れた息を整えながら靴を履き替え、教室に向かった。
歩いて向かう途中にある教室や廊下ではみんなスマホを覗き込みながらざわついてる。
(なんだ?)
教室に入るとさっき窓から俺を呼んだ『健太』が手招きしてる。
「おい修二!これ見て見ろよ!」
「なんだよ。」
鞄を机に置いて健太のもとにいくと、俺にスマホを見せてきた。
「これ!」
見せられた画面にはよく遊ぶゲーム機『Pport』の掲示板があった。
この掲示板はゲームの攻略法や新しいソフトの発売日なんかの情報が一般人から投稿されるものだ。
「え?なんかの新しい攻略でも出たか?」
「ちっげーよ!!ここ!ここ見て見ろって!」
言われたところを見ると、そこに『P port公式よりお知らせ』と書かれたものがあった。
内容は・・・
『P port公式よりお知らせ。いつも弊社の本体、およびソフトのご利用ありがとうございます。この度弊社は新しい試みといたしまして、本日夜0時にP portにログインされてる方を対象といたしましてソフトを無料配信させていただきます。詳細はインストールされますときに注意事項として明記させていただきます。ソフトの内容といたしましては対象年齢15歳からとさせていただきます。』
と、書かれていた。
「・・・無料ソフト?」
「すげぇだろ!?もう朝からこの話ばっかりだぜ!?」
「あー・・それでみんなざわついてるのか。」
教室内を見回してもみんなスマホを見つめていた。
中には『インストールする!』とか『えー!P port持ってない!』とかいう声も聞こえてくる。
「修二もやるだろ!?」
「・・・あぁ、一応インストすっかな。」
「一緒にプレイできるやつだったらしような!」
「あぁ。」
一体どんなゲームが無料配信されるのかと思いながら、授業を受けていった。
その授業と授業の合間にある休憩時間でもやっぱりP portの話でもちきりで、『無料だからしょぼい』とか『中できっと課金させられる』とかいう話まで出始めていた。
(まぁ、無料ゲームなんて課金しないと先に進めなかったりするからなぁ。あんまり期待はしないほうがよさそうだな。)
そんなことを考えながら、俺は夜遅くまで起きておくためのプランを立てた。
一人部屋だから特に親に怒られる心配はないけど、念のために保険はかけておかないといけない。
(・・・晩御飯、作っとくか。)
そう思い、学校帰りにスーパーに寄って俺は親たちの帰宅を待つことにした。
ーーーーー
「ただいまー!・・・あれ?修二、晩御飯作ってくれてたの?」
仕事を終えて家に帰って来た母親が、部屋に漂うカレーの匂いを嗅ぐようにしてリビングに入ってきた。
「んー・・・一応?」
「一応って・・・あ、さては何か欲しいものがあるとか?」
「や、欲しい物じゃなくて・・・ちょっと夜に配信されるゲームがあるからそれをちょっとしてから寝ようかなーと・・・。」
インストールだけしておいて今度の休みの日にプレイすればいいと思いながらも、もしハマってしまったらきっと夜2時や3時までプレイしてしまう危険があった。
ヘッドホンをしてプレイするから『うるさい』と言われることはないけど、扉の隙間から明かりは漏れてしまう。
親がトイレかなんかで廊下に出ると、怒られるかもしれないのだ。
「あぁ、そういうこと?ちゃんと寝るのよ?」
「わかってるって。」
「お父さんには上手く言っといてあげるから片付けまでよろしくねー。」
「・・・はい。」
今日の晩御飯の準備から片付けまでを引き換えにゲームの許可?を得た俺は深夜0時前、P portを起動してログインし、その時を待っていた。
スマホはP portの掲示板を開いたままだ。
『そろそろか!?』
『みんな準備してる!?』
そんなコメントがナイアガラの滝のように流れてる。
「・・・来た!0時だ!」
ゲーム本体の時計が0時に変わった瞬間、P portの画面がパッと変わった。
いつもなら遊んでるソフトが一覧で出てる画面なのに、銃のアイコンのようなマークが出てる。
「これが配信ソフトか?」
コントローラーを持ってカーソルを合わせ、ボタンを押してみる。
すると画面にずらっと文字列が現れた。
「これが注意事項・・・?」
こういうのはきっちり読む正確な俺は順番に読んでいった。
「えーとなになに?・・・『注意事項。このソフトは課金制ではなく完全無料で遊べます。インストール後アカウントを製作しーーーーーーー
要約するとこうだった。
・課金はない。
・既存のアカウントではなく、新規で作る必要がある。
・アンストすると二度とインストできない。
・ライフがゼロになるとこのソフトは抹消される。
「なんか他もいろいろあるけど要は一回こっきりのゲームだな?課金しなくていいなら親の許可もいらないし。・・・よし、インストしよう。」
俺は注意事項を最後まで読んだら現れた『インストール開始』にカーソルを合わせ、コントローラーのボタンを押した。
すると一瞬でインストが完了し、アカウント作成の手続きに進んでいった。
「アカウント名は『Suuji』。ありふれた名前だからいいだろ。」
負けたらソフトが消えてしまうなら、アカウント名を捻る必要はない。
俺は『Suuji』でログインし直し、ソフトを起動した。
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