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ありふれたネットサバゲー。

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「これ・・・サバゲーか?」


起動したソフトで最初に画面に現れたのは小屋のような建物だった。

教室のような空間に、椅子に座った俺の分身・・・アバターがいる。


『いいか!諸君!!この世界は弱肉強食だ!!強いものが勝ち、弱いものは淘汰される!!』


教官のようなゲームキャラがホワイトボードをバンバンっ!・・と、叩いてる。


「プレイの説明か何かかな・・・。」


一通り聞いておかないとプレイに差支えが出る。

俺は音量を少し上げて内容を聞いていった。


『諸君らのライフは1しかない!致命傷を受けるか3度攻撃を受けると死亡する!』

「ほうほう・・・。」


教官の説明では使える武器や、行動範囲、アイテムのこと、それに『敵』と呼ばれる奴らの特徴がわかっていった。

青い帽子をかぶってるやつらが敵で、それ以外は攻撃しても攻撃しなくてもいいとのことだ。


『あと、一番重要なことを伝える!!』

「なんだ?」

『セーブはできない!一度この小屋から出ると、P portを起動してなくても時間は流れていく!その間に敵に攻撃されるとやられてしまうから覚悟しろ!』


その言葉を聞いて俺の思考が固まった。


「・・・は?どういう意味だ?」

『ゲームから離れるときは身を隠せ!!この小屋は安全じゃない!安全な場所は無いと思って置け!以上だ!!』

「・・・。」


俺は目線をスマホに移した。

すると同じ説明を聞いたであろう仲間たちが俺と同じく意味を理解できていないらしい。


『セーブできないってどういうこと!?』

『24時間プレイしろってことなんじゃ・・・』

『そんなゲームある!?』


「みんな考えることは一緒か・・・。でもやられたらお終いってことだから、まずは地形確認だな。」


サバゲーの基本は地形確認だ。

隠れれる場所や見渡せる場所、逆に見つかりやすい場所なんかは早々に知っておかないと戦略が練れない。


「生き残ってやる。」


教官の説明が終わり、一人に一つ、銃が支給された。

それを手にもち、小屋を出ていく。


『なお!戦況は画面上部にあるバーで確認しろ!お前たちは『黄色部隊』だ!』

「!・・・これか。・・・って、やたら黄色が少なくね?」


画面の右上にある長方形のバーは、三分の二ほど青色が占めていた。

青色部隊を倒していくと、きっと黄色が増えるようになってるんだろう。


「とりあえず1時間、やってみますか!」


俺はアバターに銃を構えさせ、少しずつ進みながらいろんなボタンを押していった。

小屋の周りは森だったようで、辺りは背の高い木や背の低い木、それに岩なんかもいろんな大きさのものが落ちてる。


「すげぇ。」


周りを見渡しながらボタンを押すと『残弾数表示』や『赤外線での敵探知』みたいな便利な機能を見つけた。


「この辺りはすぐに掲示板に書かれるな。今日でやられる奴らもいるだろうから明日掲示板をチェックするとして、安全な場所も探さないと・・・。」


這うような姿勢や、ジャンプ、照準を合わせたりする動作を確認しながら進んでいくと、遥か遠くに青い帽子をかぶった敵を見つけた。

そいつに照準を合わせ、トリガーとなるボタンを押してみる。


バン!バンっ!バンっ・・・!!


何発か撃つとその敵はどさっと地面に倒れ込んだ。


「よっし!!アイテム何か落としてないかな。」


辺りに気を配りながら近づいていくと、さっき撃った敵が血を流して倒れていた。

描写的にはケチャップのような血で、敵は人のように見えるけど少しアニメっぽい。


「まぁ、リアルさがない分やりやすいか。」


そんなことを思いながらその敵の周りをウロウロし、いろいろボタンを押した。

でも何もアイテムはゲットできなかった。


「敵からじゃなくてどこかに落ちてるのかもしれないな。」


情報量が少ない今、詮索も大事だけど身の安全が最優先だ。

探すのをそこそこにしてその場を離れた俺は赤外線を使って敵の位置を調べた。


「近くにはいなさそうだなー・・・。」


特に反応を示さない赤外線。

その情報を信用して俺はゲームから離脱する準備を始めた。

そこら辺の草木を拾い集めることはできるようで、カムフラージュできるものを作っていく。

そしてそれを自分に纏うようにしてかぶっていき、俺は森の木に囲まれたところでしゃがむような姿勢を作った。


「これでよし。まぁ、見つかってやられてたらそれまでってことで。」


ヘッドホンを外し、ゲームの画面を切ろうとスイッチに手を伸ばす。

その時、戦況がわかるバーに目をやると、少し情勢が変わってるのが見て取れた。


「お?少しだけだけど黄色が増えてるじゃん。まぁ俺も一体勝ち取ったし。」


また続きは明日だ。

俺は電源を切り、このゲーム初めてのプレイを終えていった。



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