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そう言うと4人は驚いた声を上げた。


「は!?」

「えっ・・!?」

「治した!?」

「どうやって!?」


「『ヒール』で。」


しれっと言うと4人は何か言いたげに口をぱくぱくさせていた。

でも言葉が出てこないのか何も言わないままだった。


「・・ステラは救い人で間違いない。ただ瞳の色が違うのが気になるが・・。」


そう言うとみんなは納得したような表情を見せた。

今まで誰も言葉にはしなかったけど、薄々気づいていたようだ。


「やっぱり・・。」

「すぐに王に報告しないと・・!」


そう言って行動を起こし始めようとしたみんなを俺は引き留めるように声を出した。


「待ってくれ。しばらく・・・ステラが救い人なことを知らないことにしないか?」


俺の案に、ワズンが呆れたような声を出した。


「は?何言ってんだ・・・?救い人だぞ!?定住してもらったら国が安定する言い伝えがある救い人だぞ!?」

「わかってる。でもステラの瞳の色は金色じゃない。」

「それは・・・」

「瞳の色が金色じゃない時点で救い人だと断定はできない。ほぼ確定だけどな。」


森にずっと住んでいたことや、ヒールを使えたこと、何かを隠そうとしてることからステラが普通の女の子ではないことくらい容易に想像がつく。

でも俺の腕の中で必死に風邪と戦ってる姿は普通の女の子なのだ。


「・・・『登録』をすれば本当の瞳の色がわかる。」


ぼそっと呟いたワズンの言葉に、俺たちは全員で目を合わせた。


「確かに・・・。」

「『登録』の時に現れる魔力の結晶の色が瞳の色と同じだからか・・・!」


この国の民である証明をするための『登録』。

それは自分の魔力の結晶を作り出すものなのだ。

自分の魔力を圧縮して作られる結晶は生涯で一つしか作ることができず、瞳の色と同じものができる。

ステラに自分の魔力の結晶を作り出させたら・・・その色で本当の瞳の色がわかるのだ。


「回復するまでは待ってくれ。こんな状態じゃ結晶を作れるまで行けないだろう?」

「それはそうだな・・。」

「とりあえず侍女たちに任せて様子見よう。」


トゥレイスたちはそう言って部屋から出て行った。

ワズンは一番最後に出ていき、去り際に一言『王には報告する』と言っていた。


「ステラ・・お前は一体何を抱え込んでるんだ?」


ワズンの剣から逃げたのは単なる恐怖だったとしても、気になることはいくつかあった。

森でハマル様が亡くなる直前、自分の名前を『ステラ』ではなく『サナ』と名乗っていたことや、気配を消して俺らの行動を見ていたことだ。


(上手く消せれてたけど、俺たち相手ならバレバレだったし・・。)


森で生きるために獣を相手にした気配の消し方を学んだのだろう。

人相手に訓練してる俺たちにとってステラの気配を見つけることは容易く、あとをつけるために気づかないふりをしたのだ。


(とりあえずは先に体を回復させることだな。)


ステラが熱を出したのは俺たちの責任。

だから俺はステラの荒い息が落ち着くまで側にいたのだった。




ーーーーー



翌朝。


「うぁ・・・?」


目が覚めた私は明るい陽射しに目を擦った。

ふかふかの布団があまりにも気持ちよく、寝返りを打つように体を傾けた。


「んー・・・。」

「お目覚めですか?ステラ様。」

「!?」


聞きなれない声に驚いた私は、思わず飛び起きた。


「痛っ・・・!」


起きた拍子に頭痛が走り、手で頭を押さえる。

そして痛みに目を細めながら辺りを見回すと、そこは私の知らない部屋だった。


「え・・?」

「調子はいかがですか?すぐにお水とお食事、ご用意いたしますね。」


だだっ広い部屋の隅でカチャカチャと音を立てて水の用意を始めてるのは・・・ピストニアのお城にいた侍女さんだ。


(え・・どうして侍女さんが・・・?)


そう思いながら部屋の中をぐるっと見回した。

大きな窓が三つあるこの部屋は、私が寝ていたベッドの他、テーブルが一つに椅子が四つある。

椅子に施されてる細工は細かく、テーブルはガラスでできているようだ。

大きな窓には分厚いカーテンが両端で止められていて、刺繍も細かい。

見覚えのある制服を身にまとった侍女さんが何人かいることから、ここは・・・ピストニアのお城のようだ。


「!!・・・あのっ・・私、帰ります・・!」


連れ戻されたことで間違いないと思った私は布団をめくり、ベッドから降りた。

足元が少しふらつくものの、出口である扉を目指して歩いていく。


「ステラ様・・!?お待ちください・・!」

「やっ・・!気にしないでください・・!忘れてください・・!」

「まだ完全に回復されませんよ・・!?」

「大丈夫です・・!帰りますから・・!」


そう言って扉まで行き、私は取っ手に手をかけた。

ガチャっと音を立てて扉を開け、そのまま出ようと足を踏みだす。

その時、扉の向こうにいた人に私はぶつかってしまったのだ。


「わっ・・!?」

「おっと・・・!ステラ?どこいくんだ?」

「!?」


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