「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。

ぱんだ

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第6話 彼女の話は弟の話と全く違った!

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「うわっ……本当なの!?」
「はい。だからハリーには耐えられません」

弟の婚約者フローラの話を聞いてアリスはびっくりして思わずうわーっと声を上げる。なんと弟の言ってる話と違っていた。

まずフローラは旅行に行かないでほしいって止めた。理由は弟以外の参加者が全員女性だと分かっていたからだ。その言葉にアリスは容易に信じられない。弟の話と少し違うどころか反対の意見を述べた。

「弟から聞いた話では友達と行くとしか伝えてなかったみたいだけど?」
「そんな事ありません!旅行に行く人が彼以外みんな異性だと私はハリー本人から聞いていました」
「えぇ!?どういう事?」

この前ハリーは旅行には友達と行くとフローラに伝えたと話していたのにどういう事か?二人の意見が真逆なのでどちらかが嘘をついている事になる。おそらく弟が嘘をついているだろうと姉は思っていた。

その理由は弟は過去に何度もおかしな事を家族に言って困らせていた。を生まれながらに持っておりアリスも苦労させられた。この子は虚言癖があるんじゃないかしら?と母親のリディアも弟を心配していたことを急に思い出した。

アリスはフローラとは親しい関係で姉妹のように仲が良い。彼女がどういう性格なのかもアリスは分かっているつもりだ。裏のない素直な明るい性格で誰とでも気さくに仲良くなることができる。そう考えると性格的に問題があるのは弟のほうに感じる。

「証拠もあります!」
「……え?本当なの?」

でもいくら弟でもこんな嘘をつくのか?不安要素だらけのハリーですが、姉はまだ信じたい気持ちがほんのわずかだけれど残っている。

じっと考え込んでいるとフローラがやる気のある顔で不思議に元気な声を出した。アリスは目を閉じて考えていたので、思いもよらないフローラの声に不意をつかれて夢から覚めた顔になる。

「これです」
「……魔道具」
「そうです」

フローラはテーブルの上に証拠となるものを置いた。手のひらサイズ程の金属製の四角い箱で、神秘的な色合いを持つ光を放って宝石みたいに輝いている。

アリスは魔道具と口にした。この世界には魔法が存在し魔道具とは魔法を原動力とする機械。魔道具は基本的に高級品で貴族の持ち物とされている。

優れた技能を持つ魔導具師が注文に応じて手作りで製作しているので、そのゆえに非常に高い値段で取引されている。そのため裕福な商人でもない限り庶民が簡単に手に入れられるものではない。

「これは何の魔道具なの?」
「音声を録音する魔道具でこの中にハリーと私のが入っています」

アリスもいくつか魔道具は持っているが世界には無数の魔道具が存在するので、一目見ただけではどのような機能があるのかは持ち主しか知らない。

極めて強力な物なので他人に悪用されないように買った人しか使えないように特殊なロックをかけられている。フローラは愛嬌のいい唇にかすかな微笑を浮かべて言う。
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