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第35話 皇太子アンドレ殿下の心が浮き立ち歓喜に酔いしれる
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「ふははははは」
高らかな笑い声のアンドレ殿下は気分が良く胸は嬉しさではち切れそうで、別人と見間違えるくらいの素敵な笑顔を浮かべている。
その理由は憎き男のレオナルド令息が人生の舞台から降りてあの世に逝ったという伝達をされたのです。
ジュエリー店主の老婆に変装していた女性暗殺者のルイーズは、レオナルド令息の首を絞めて気絶させて殺したと思い早急にその場を離れた。
そして自分に依頼をしたある男に報告を済ませ、仕事が完了した時に渡すと約束していた多額の報酬を受け取る。
レオナルド令息を始末したという報告を聞いた男は自分より上の立場の者に素早く連絡した。伝言ゲームのように同じ話の伝達を何度も繰り返してドミニク辺境伯の耳に届く。
「やったか…良かった…ふぅ」
今度しくじればお前に罰を与える。アンドレ殿下に厳しい声で告げられた。
ミスを犯したら罰が待ち構えていたドミニク辺境伯はひと仕事終わったような安堵感で大きく息をつく。
そしてレオナルド令息の息の根を止めたことをアンドレ殿下に疾風のように報告するために馬車を走らせる。
知らせを聞いたアンドレ殿下の気持ちがいっぺんに明るくなる。両手を打って子供のように喜んで素直な人だ。自分の足で報告したドミニク辺境伯は胸の内で思う。
「ドミニク実に心が爽やかだ。よくやったぞ。これでヴィオラが僕と今一度婚約してくれる」
「殿下ありがとうございます。勿体ないお言葉です」
「いやあ、気分がいいな」
「殿下それではあの事をお願いいたします」
「わかっている。僕は約束は守る男だからな」
「では」
「ちょっと待て」
それなりに賢い冴えた頭脳を持っているドミニク辺境伯は、こいつは何を言っているのかと理解できなかった。
天地がひっくり返るような出来事があっても、どんな手段を使ってもヴィオラ令嬢の心は皇太子殿下のあなたには神に誓って振り向きませんと伝えたかった。
だが気持ちの良くなっている主人に手ごまの自分が水を差すわけにはいかないと言葉を飲み込む。
ドミニク辺境伯が部屋から退出しようとした時に呼び止めるアンドレ殿下に、不思議な顔をして脳裏に疑問の花が咲く。
「殿下なにか?」
「僕は大変嬉しくて心が躍っている」
「それは私も殿下と同じ気持ちです」
「雲の上に持ち上げられたような心地良さだ。それでな…食事でも行かないか?」
「食事でございますか」
「そうだ。いい店があるから一緒にいくぞ。僕がご馳走してやる」
「それは今日ですか?」
「今日の夕食だ」
「ご同行いたします。ありがたき幸せ」
正直に言うと、ドミニク辺境伯はそんな気分ではなかった。
何故なら愛人と会う予定だったのです。久しぶりに体の芯から喜びの海に溺れてぼんやりとしたかった。
でもここは大人しく従うべきだと判断する。
自分の主と呼べるアンドレ殿下が盛り上がりを見せているのに横槍を入れるのは、取り巻きの立場としては良くないだろう。気持ちよくなってもらっていたほうがいい。
そのように目の前にある事を健全な思考で判断して食事に行きご相伴にあずかるのを決めたのです。
高らかな笑い声のアンドレ殿下は気分が良く胸は嬉しさではち切れそうで、別人と見間違えるくらいの素敵な笑顔を浮かべている。
その理由は憎き男のレオナルド令息が人生の舞台から降りてあの世に逝ったという伝達をされたのです。
ジュエリー店主の老婆に変装していた女性暗殺者のルイーズは、レオナルド令息の首を絞めて気絶させて殺したと思い早急にその場を離れた。
そして自分に依頼をしたある男に報告を済ませ、仕事が完了した時に渡すと約束していた多額の報酬を受け取る。
レオナルド令息を始末したという報告を聞いた男は自分より上の立場の者に素早く連絡した。伝言ゲームのように同じ話の伝達を何度も繰り返してドミニク辺境伯の耳に届く。
「やったか…良かった…ふぅ」
今度しくじればお前に罰を与える。アンドレ殿下に厳しい声で告げられた。
ミスを犯したら罰が待ち構えていたドミニク辺境伯はひと仕事終わったような安堵感で大きく息をつく。
そしてレオナルド令息の息の根を止めたことをアンドレ殿下に疾風のように報告するために馬車を走らせる。
知らせを聞いたアンドレ殿下の気持ちがいっぺんに明るくなる。両手を打って子供のように喜んで素直な人だ。自分の足で報告したドミニク辺境伯は胸の内で思う。
「ドミニク実に心が爽やかだ。よくやったぞ。これでヴィオラが僕と今一度婚約してくれる」
「殿下ありがとうございます。勿体ないお言葉です」
「いやあ、気分がいいな」
「殿下それではあの事をお願いいたします」
「わかっている。僕は約束は守る男だからな」
「では」
「ちょっと待て」
それなりに賢い冴えた頭脳を持っているドミニク辺境伯は、こいつは何を言っているのかと理解できなかった。
天地がひっくり返るような出来事があっても、どんな手段を使ってもヴィオラ令嬢の心は皇太子殿下のあなたには神に誓って振り向きませんと伝えたかった。
だが気持ちの良くなっている主人に手ごまの自分が水を差すわけにはいかないと言葉を飲み込む。
ドミニク辺境伯が部屋から退出しようとした時に呼び止めるアンドレ殿下に、不思議な顔をして脳裏に疑問の花が咲く。
「殿下なにか?」
「僕は大変嬉しくて心が躍っている」
「それは私も殿下と同じ気持ちです」
「雲の上に持ち上げられたような心地良さだ。それでな…食事でも行かないか?」
「食事でございますか」
「そうだ。いい店があるから一緒にいくぞ。僕がご馳走してやる」
「それは今日ですか?」
「今日の夕食だ」
「ご同行いたします。ありがたき幸せ」
正直に言うと、ドミニク辺境伯はそんな気分ではなかった。
何故なら愛人と会う予定だったのです。久しぶりに体の芯から喜びの海に溺れてぼんやりとしたかった。
でもここは大人しく従うべきだと判断する。
自分の主と呼べるアンドレ殿下が盛り上がりを見せているのに横槍を入れるのは、取り巻きの立場としては良くないだろう。気持ちよくなってもらっていたほうがいい。
そのように目の前にある事を健全な思考で判断して食事に行きご相伴にあずかるのを決めたのです。
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