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「そんなわけないだろう?フランソワは僕の可愛い妹なんだから嫉妬するわけがない」
「でもこの人の目つき普通じゃありませんよ?」
「イブリン!どうしてそんなに冷たい視線を向けるんだ?気分が悪い!」

彼はイブリンがやきもちを焼くなんて、あり得ない事と半笑いをして呆れた表情で言う。

ところが妹はイブリンの目が間違いなく怒っていると即座に切り返します。

それにようやく気がついた彼は態度を豹変させて、彼女を怖がらせるように怒鳴り声を上げる。

婚約者から自分と妹のことをゴミを見るような鋭い瞳を向けられて、反発心を抱いた彼は迷惑げな表情で不愉快だと追及した。

「もういい加減にしてよ!ホークもフランソワも異常者!」
「イブリン突然叫んでどうしたんだよ……まずは冷静になってほしい」

言いようのない憤りを覚えたイブリンは、蓄積されたストレスでどうにも我慢できなくなり怒りを爆発させる。

手加減抜きで彼と妹に罵声を浴びせる。今まで彼女がヒステリーを起こしたところを見たことがない彼は思わず力負けして弱腰になります。

顔面を青くしてオドオドした動きになり頼りない声で彼女の興奮を抑えようとする。

「お兄様この人は精神の病を抱えているのでは?婚約も考え直したほうがよろしいかと……」
「そうだね。彼女がこんなにキチガイだとは思わなかったよ」
「本性を隠してお兄様に近づいたのでしょう……恐ろしいほどの食わせ者ですわ」
「イブリンは猫かぶりをしていたのか……このまま結婚したら騙されるところだった」

自分達のことを棚に上げて妹が奇想天外な意見を言うと、彼も同意するように頷くのです。

そして彼と妹は呼吸を合わせて彼女に向かってとうとう本性を現したと、心ない言葉でけなしてくる。

婚約者の化けの皮が剥がれてこのまま結ばれてたら、罠にかかるところだったと彼女に毒舌を吐き続けました。

「お兄様はとんでもなく性格の歪んだ人と婚約したのですね」
「僕は彼女のことを心から信じていたのに腹黒い女だと分かって怖くなったよ。僕の見る目がなかったんだね」

事もあろうに彼は自分の目はふし穴だったとまで言います。

お前達は公衆の面前でがっついて熱いキスを交わす恥知らずなくせに……イブリンは腹の虫がおさまりません。

本心を打ち明けてその事を言ってやろうかと思いましたが、感情を押さえつけて友人達がいる時に暴露しようと切り札を残しておいた。

「お兄様には私がいますからご安心ください」
「フランソワありがとう……かわいい笑顔に癒されるよ」
「お兄様ったら……恥ずかしいです」

見つめあっていつまでも甘い言葉をささやき愛を注ぎ合う不純な二人。

この場に自分の友人がいたら助けてくれるのに……健気な彼女はあきれて口をつぐんで歯を食いしばり一生懸命に悔しさをこらえる。
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