聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日

第24話

（私たちが……アメリアを追い詰めてしまった……？それが原因でアメリアの精神が壊れた……？アメリアの弱気な性格がリセットされて白紙に戻った……？）

怯えた目のフローラは頭の中で弱々しい声で過去を振り返っていた。アメリアを追い詰めすぎて結果的に自分の首をしめることになった。その事をひどく後悔して唇をかみしめた。目には薄っすらと悔し涙を光らせていた。

アメリアは洗脳が解けて自分を取り戻しているので、家で二人と顔をあわせるたびに何とも腹の立って歯がゆい思いだった。最近のフローラとエリザベスはアメリアに会うのが怖くなって、顔をあわすのを避けるようにして不安そうな目で警戒しながら生活している。

学園でも家の中でもアメリアを見つけると恐怖に満ちて顔が青くなって、小鳥のようにぶるぶると震えて逃げまわっている毎日。二人はアメリアに絡まれた時の対応について相談していた。もし仮に思いがけずアメリアと対面しても大人しくやり過ごして、何を言われても従順に応じようと二人で決めていた。

「今思うと、あなた達のような非力で小さな虫みたいな人間に、ご機嫌を取るのに卑屈な笑いを頑張って浮かべていたことが不思議に思うわ」

アメリアは意地悪な姉と妹からの束縛から解放された。フローラとエリザベスとは正反対でアメリアは生まれ変わったように、自信にあふれた余裕な雰囲気に満ちていた。

三姉妹の中で最も美しい顔の女性はアメリア。その事実をフローラとエリザベスは、まだ幼い頃から正しくはっきり認識していた。両親やメイドたちに公爵家の使用人たち全員が、アメリアを特別に可愛がっていることを子供ながらに気づいてしまった。

悲しい真実を知ったフローラとエリザベスはアメリアに八つ当たりするような様子を見せた。それが原因でアメリアに冷たく接するようになった。小さな子供の軽い嫉妬心が全ての始まりだった。

「――何か言ったらどうなの？」
「……」
「……」
「無言？一切言葉をしゃべらないならクロフォードとハリーと同じ目に合わせるけどいいの？」

アメリアは不愉快そうに顔色を変えている。と言うのもフローラとエリザベスは石のような固い表情をして黙っていた。アメリアはその二人の態度がとても癪しゃくにさわった。

少し前まではアメリアのことを明らかに軽んじる振る舞いをしていた。あざ笑った顔でアメリアを自分より劣ったものと見なして誹謗ひぼう中傷されて誇りを踏みにじられた。いつもの日課でルーティン化した日常的な決定みたいで、アメリアと顔を合わせれば軽いノリで悪口を言ってきた。

フローラとエリザベスは目を伏せて返事をしなかったら、アメリアの口から予想していなかった言葉が発せられた。次の瞬間、二人は突然スイッチが入ったみたいに声を出し始めた。

「アメリアお姉様ぁああああ!!しゃべるのでどうかお許しください！」
「話しますからあぁっ!!アメリアお願いだから私たちの事をあんなひどい目にあわせないで！」

この場は黙ってやり過ごすつもりだったが、アメリアからクロフォードとハリーと同じように罰を受けることになると言われた。すると貝のように押し黙っていた二人は慌てふためいて混乱した。元婚約者のクロフォード王子と幼馴染のハリーはすでにアメリアに制裁されていた。

本当に鳥肌が立つほど恐ろしく桁けた違いのかなり重い罰を与えられていた。フローラとエリザベスは当然ながら知っているので、どうぞお助けくださいと救いを求める声で叫んだ。二人は命がけで抵抗しているように見えた。

クロフォードとハリーは生きてはいるけど、衝撃の罰を受けてガチで閲覧注意のとんでもない姿になる。