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第52話
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「アリーナ令嬢!」
アリーナの名前を呼びながら、慌ただしい足音とともにドアを開けて部屋の中に入って来たのは陛下でした。ミレーユとカトリーヌは、何よおじさんうるさいわね……という険しい表情になった。
「陛下も話を聞いたのですね?」
「うむ、息子の行方がわからなくなったらしいな……」
アリーナは口を開いて穏やかな声で言うと、陛下は頷いてレオナルドが姿を消してしまったことを明らかに動揺して話す。
「先ほどメイドに聞いて信じられませんでした」
さっきメイドに近況報告をされたばかりのアリーナも、あり得ないだろうという気がしている。あれだけの病気が体に発症して何でレオナルドは生きていられるの?という思いで彼は謎の生命体なのかと疑っているほどであった。
「息子は生きているようだな?」
「そうみたいですね」
「本当なのかと私はまだ疑っておるが……」
「私たちもですよ」
陛下もその考えはアリーナと同じで、息子は死んでるだろう?どれだけ持ちこたえられるんだよと相当なドン引きをしている。生まれつき虚弱な体質で心も弱かった息子なのに、にわかには信じがたい話なのだ。
「あなた、とりあえず座ったらどうかしら?」
「……ああ、そうだな」
突っ立ったままでいる陛下に、王妃が隣の席に座るように声をかけた。陛下は頭の中がパニック状態になっていて腰を下ろすことも忘れていた。
「ふぅ……ところで、お前たちは随分と落ち着いているようだな」
陛下は椅子に腰かけて一息ついてから、ふと令嬢たちの様子を眺めはじめた。かなりくつろいでお菓子を食べてお茶を飲んでいるのです。隣にいる王妃を見ると静かに本を読んでいる。のんびりムードそのものであり、陛下は不思議そうな顔つきで言葉を発した。
「だって慌てても仕方ありませんから」
「確かにそうだが、少しリラックスし過ぎではないか?」
チーズケーキを口にしてからミレーユが声を出した。彼女のいう事に、それもそうだなと陛下も納得しながらも、やはり少々だらけ過ぎではないか?と意見を返した。
「陛下お言葉ですが彼女の言う通りですよ。こんな時だからこそ冷静になるべきだと思いますわ。陛下もお茶を飲んで気持ちを安らげましょう」
「……そうだな。私も小腹がすいたところであった」
するとマカロンを口いっぱいに頬張っていたカトリーヌが、お茶で流し込んでミレーユに同意するように喋りだした。起きた直後で陛下は空腹感を感じて焼きたてのパンに向かって手を伸ばすのだった。
アリーナの名前を呼びながら、慌ただしい足音とともにドアを開けて部屋の中に入って来たのは陛下でした。ミレーユとカトリーヌは、何よおじさんうるさいわね……という険しい表情になった。
「陛下も話を聞いたのですね?」
「うむ、息子の行方がわからなくなったらしいな……」
アリーナは口を開いて穏やかな声で言うと、陛下は頷いてレオナルドが姿を消してしまったことを明らかに動揺して話す。
「先ほどメイドに聞いて信じられませんでした」
さっきメイドに近況報告をされたばかりのアリーナも、あり得ないだろうという気がしている。あれだけの病気が体に発症して何でレオナルドは生きていられるの?という思いで彼は謎の生命体なのかと疑っているほどであった。
「息子は生きているようだな?」
「そうみたいですね」
「本当なのかと私はまだ疑っておるが……」
「私たちもですよ」
陛下もその考えはアリーナと同じで、息子は死んでるだろう?どれだけ持ちこたえられるんだよと相当なドン引きをしている。生まれつき虚弱な体質で心も弱かった息子なのに、にわかには信じがたい話なのだ。
「あなた、とりあえず座ったらどうかしら?」
「……ああ、そうだな」
突っ立ったままでいる陛下に、王妃が隣の席に座るように声をかけた。陛下は頭の中がパニック状態になっていて腰を下ろすことも忘れていた。
「ふぅ……ところで、お前たちは随分と落ち着いているようだな」
陛下は椅子に腰かけて一息ついてから、ふと令嬢たちの様子を眺めはじめた。かなりくつろいでお菓子を食べてお茶を飲んでいるのです。隣にいる王妃を見ると静かに本を読んでいる。のんびりムードそのものであり、陛下は不思議そうな顔つきで言葉を発した。
「だって慌てても仕方ありませんから」
「確かにそうだが、少しリラックスし過ぎではないか?」
チーズケーキを口にしてからミレーユが声を出した。彼女のいう事に、それもそうだなと陛下も納得しながらも、やはり少々だらけ過ぎではないか?と意見を返した。
「陛下お言葉ですが彼女の言う通りですよ。こんな時だからこそ冷静になるべきだと思いますわ。陛下もお茶を飲んで気持ちを安らげましょう」
「……そうだな。私も小腹がすいたところであった」
するとマカロンを口いっぱいに頬張っていたカトリーヌが、お茶で流し込んでミレーユに同意するように喋りだした。起きた直後で陛下は空腹感を感じて焼きたてのパンに向かって手を伸ばすのだった。
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