誕生日パーティーで婚約破棄を発表された「幼馴染が妊娠したから結婚する!」王子が体を壊して地獄の苦しみを経験する。

佐藤 美奈

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第53話

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「何か寒気がする」
「私も……」

アリーナが急にぞっと寒気の様なものを感じたと言うと、ミレーユも同じように感じているようでした。

「何でこんなに寒くなったの?」
「どうしてかしらね?」
「そうだな」

カトリーヌも背筋に冷たいものが走る。王妃も刺すように寒さが迫ってきたのを感じていた。陛下も寒気を感じて、やはり同じような表情を浮かべていた。

暖炉だんろの火を前に食事をとっているのにどうして寒気を感じるのか?全員が不思議そうな顔をしていると……

「きゃああああああああああああああああああああーっ!!」

誰かが叫んだ。声を発したのはカトリーヌだった。彼女はレオナルドの姿を最初に目撃して、思わず甲高かんだかい悲鳴をあげてしまったのだ。

「カトリーヌさん?」
「一体どうしたのですか?」

何か強烈な衝撃を受けたようなカトリーヌに、アリーナとミレーユが不安そうに声をかけた。ところがカトリーヌは驚いた顔のまま固まってしまっている。

「お、お前はレオナルドなのか……!?」
「いやあああああああああああああああああーっ!!」

次の瞬間、陛下がいきなり大声を出して息子の名前を呼んだ。そして王妃が本能的な恐怖に襲われ悲鳴を上げた。これほど戸惑ったことは、いままでないと思うほど二人はびっくり仰天ぎょうてんしている。

アリーナとミレーユは、驚いている人たちの視線の方向をちらりと見た。何とそこにはレオナルドが立っているのだ。青白い顔にかすかな笑みをうかべていた。

高所とホラー系が苦手なアリーナは、一種の恐怖心に支配されて声が出なかった。ミレーユも顔に怯えの影が走って、何か言おうと口をパクパクさせているがうまく言葉を発せられないようである。

「……アリーナ、キスをしてくれええええ……」

レオナルドは世にもうらめしそうな顔でアリーナを見つめて、そう言いながらゾンビみたいな様子でふらふらと近づいてくる。こいつは生きてる人間なのか?それほどキスがしたかったのか?アリーナは様々な思いが頭をよぎっていく。

「来ないで!」

アリーナは静止するよう呼び掛けますが、彼はいう事を聞く気配はありません。近くに寄ってくると思っただけで、を感じてアリーナは能力を発動すると、彼は金縛り状態になったようにピタリと動きが止まった。
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