君がいなくなればいい

桜 舞華

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掻き消された告白

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 たたんたたん、たたんたたん。

 ミシリ、と携帯が小さな悲鳴をあげるほどに握りしめた。電車が走る音が、そんな音はすぐに掻き消したけれど。

「すき、だよ……」

 あなたには絶対に言わないけれど。掠れた声で、電車に掻き消されているとういことに安堵して、囁く。
 全部全部、掻き消されてしまえ。
 あなたが好きな、この気持ちも。くるりと掻き回して、そのまま溶けてなくなればいい。

 ああ___電車が通り過ぎてしまう。私の、小さな嗚咽が、静かにひっそりと飲み込まれていく。電話は、電波のせいにして切った。
 つぅっと、一粒の水滴が?茲を流れた。けれども、すぐに雨が降り出して、私が流した水滴がどれか判断がつかなくなった。
 だから、涙、なんて明確な名前は付けずに私は泣いたことを忘れた。

 
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