家が没落した時私を見放した幼馴染が今更すり寄ってきた

今川幸乃

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失意のアレク

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「アレク、縁談の話はどうだ?」

 縁談の話を行い、屋敷に戻ってくるなり焦燥した父上に声をかけられる。
 僕はそんな父上に向かって無理に笑顔を作って答える。

「ああ、じきいい返事が来るだろう」

 実際、ターナー家の復興に手を貸すと告げた瞬間のベティの反応が変わったような気がした。スコット公爵にしてもダンフォード家と対抗するために我が家と手を結んでおいて損はないだろう。だからこの縁談は成立するに違いない。
 僕はそう自分に言い聞かせた。




「どういうことだ、アレク!」

 それから数日後、僕の元に血相を変えた父上が怒鳴り込んでくる。
 急にどういうことだ、と言われてもこちらが知りたいぐらいだ。

「ど、どういうこととは?」

 僕は恐る恐る尋ね返す。すると父上は一通の手紙を僕に向かって差し出した。

「これを見ろ!」
「こ、これは……?」

 手紙を開いてみると、それはスコット公爵からのものだった。
 差出人の名前と父上の形相だけで僕は何となく用件が分かってしまう。

 実際、中身を読んでみるとその通りだった。
 公爵は簡潔に僕との縁談を断る旨を告げていた。
 そこには理由すら書かれていない。

「お前はベティの反応は悪くないと言っていたし、縁談もうまくいくと言っていたではないか!」
「そ、それは……」
「それは、ではない! もはや我らはスコット家を頼る以外にダンフォード公爵に対抗する術はないのだぞ!?」
「そんな……」

 僕は何も言い返すことが出来ない。

「それでもお前がうまくいかないならそう正直に告げていれば、早めにダンフォード家に頭を下げて許しを請うという選択肢もあったが、お前がうまくいきそうだ、などと言うからそれも時期を逃してしまったではないか!」
「も、申し訳ありません」

 あの時自分が父親に対して変な見栄を張ってしまったばかりに……と後悔するが、父親の言う通りもはや遅い。
 僕はひたすら頭を下げるしかない。

 が、ひとしきり怒鳴ると公爵は疲れたようにため息をつく。

「ふん、お前がこれ以上反省しようと何かがどうなる訳でもない。この家はもうおしまいだ。今後はどうするかを考えておくがよい」
「そ、それは……」

 現在の状況ではバーンズ家は何かしらの咎めを受けることはあるだろうが、潰れるまではいかないだろう。
 それなのに、今後のことを考えておけというのはどういうことだろうか。

 そこで僕はふと思い至る。
 もしや父上は僕を廃嫡するつもりではないか?

「そんな、お許しください、父上!」
「うるさい! 頭を下げる暇があればこの状況をどうにかする方法を考えろ!」

 そう言って父はすたすたと立ち去っていくのだった。

「そんな、お待ちください……」

 僕は後ろからそう言って追いすがったが、もはやその声は届かないのだった。
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