家が没落した時私を見放した幼馴染が今更すり寄ってきた

今川幸乃

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クラウスとクレフトⅡ

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 それから数日後、兄やクラウスと会うために私はダンフォード家の屋敷に向かった。
 ダンフォード家の屋敷と聞くと少し怖くなってしまうが、ダンフォード家はいくつもの屋敷を所持しており、当主のダンフォード公爵は別荘に滞在しているため今は不在らしい。それを聞いて私は少しほっとした。
 もっともダンフォード公は別荘で静養しつつも片手間でバーンズ家潰しを画策しているようだが。

 屋敷に入ると、私は驚愕した。
 幼いころ過ごしていたターナー家も今過ごしているスコット家も国内有数の有力な家ではあるが、それらの屋敷と比べてもダンフォード家の屋敷は豪華だった。廊下には高価な絵画や美術品が飾られ、家具や絨毯に至るまでふんだんに金をかけられているのを感じる。
 そして屋敷の中にいる使用人の数も多かった。

 私はその中の一人に案内されて応接室へと向かう。
 部屋に入ると、すでにクラウスと兄が待っていた。
 クラウスとは初対面だが、兄のクレフトとも久しぶりである。最近はダンフォード家とのやりとりなど様々な活動をしているせいか、ぐっと大人びて見えた。

 一方、ダンフォード公のガタイが良く人を威圧するようなイメージとは逆に、クラウスは温和な好青年といったイメージで少しほっとする。

「本日は無理を言って参加させていただき申し訳ありません。ベティ・スコットです」
「いや、スコット家の方と親交を結べるのは歓迎だ」

 クラウスはそう言って笑みを浮かべる。

「久しぶりだな、ベティ。随分成長したな」
「兄上も、もうすっかり一人前ですね」

 そんな挨拶をかわして私はクラウスと向き合うように、兄の隣に座る。
 最初に口を開いたのはクラウスだった。

「それではまず本日の話だが、僕としては父上が行っているバーンズ家に対する攻撃は止められないが、今後は他の家と協調して国政に臨みたいと思っている。そしてその時にターナー家の復興も認めるつもりだ」
「それはありがたい。しかし本当にそんなことは可能なのか? 一度潰した家を復興するのに反対する者もダンフォード家には多いのではないか?」
「それはそうだろう。そのため、今後しばらくはクレフト殿には我らの味方をしてもらわなければならない」
「味方?」

 クレフトの表情が一瞬変わる。
 いくら自分の家を復興するためとはいえ、仇敵の味方をするとは心穏やかではいられないだろう。それに、味方と言っても今の力関係ではこちらが一方的に利用されるようなものだ。

「ああ、例えばバーンズ家を倒す際に我らに協力してもらいたい」
「……つまり、我らにその片棒を担げと」

 クレフトの表情が曇る。

「そうだ。そうすればターナー家を復興しても反対する者はいないだろう」
「具体的には何を?」
「バーンズ家に不利な証拠を見つけてくれるのが一番ありがたいが、我らを支持することを表明してもらえるだけで助かる。我らと敵対していたターナー家でさえ我らの味方をするとなればバーンズ家の味方をする者も減るだろう」
「……考えさせてくれ」

 恐らくそれまではふわっとした話しか出ていなかったのだろう、具体的な話が出て兄は悩んでいる。
 しかし家を復興させるなら返事は早い方がいい。
 私は意を決して口を開く。

「兄上、ここは同意した方がよろしいかと」
「ベティ!?」

 これまで黙っていた私が急に口を開いたせいか兄上は驚いたようにいった。
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