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王子の憂鬱Ⅲ
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「殿下、今日お会いになる方は隣国オルムド王国の方ですが、オルムド王国の簡単な言語や文化については頭に入っていますか?」
いつものように口うるさいアルベルトが僕にあれこれ言ってくる。彼は五十ほどの老人で、僕の傅役であるせいか事あるごとにこうして口うるさく小言を言ってくる。
正直のところ僕はそれを聞いてかなり苛ついた。
昨日も昼間は剣術の鍛錬、夕方は座学の勉強、そして夜はアシュリーに復習をさせられ自由の時間なんてほとんどなかった。
それはアルベルトも知っているはずだし、何ならスケジュールを組んだのはアルベルトのはずだ。
それなのにそれを知ってそんなことを確認してくるなんて嫌がらせではないか。
「僕が昨日何していたか知っているよな? それならそんな時間がないことくらい分かっているだろう?」
僕の言葉にアルベルトは悲しそうな顔をする。
何だその顔は。
「確かに昨日はそうでしたが、おとといはお休みであったはずです」
「何を言ってるんだ。休みというのは休むためにある日だろう」
こいつは僕の休日を何だと思っているのだろうか。
「それはそうですが……ああ、アシュリー様ですら殿下のためにオルムド王国のことを自主的に調べていたというのに。まして陛下の若いころであれば……」
そう言ってアルベルトはため息をつく。
それを聞いて僕は苛々が爆発した。
二言目にはアシュリー、三言目には陛下の若いころは。いつもいつもそうやって他人と比較しやがって。
ついこの間まではこれも全て僕のいたらなさが原因だと思っていたが、言われた通りこんな言い方をしてくるこいつらに問題がある。
「そうやっていつもいつもアシュリーのことばかり言いやがって! 確かに横からそうやって指摘するだけなら簡単だろう。だが、実際全部やらされる方の身になってみろ!」
「で、殿下!?」
これまでここまではっきりと苛立ちを表に出したことはなかったのでアルベルトは驚く。
当然だ、これまで好き勝手言っても僕が言い返さないと思っていたのだろうが、もう黙ってはいられない。好き勝手に言われたら僕だって好き勝手言わせてもらう。
「大体いつもいつもそうやってアシュリーと僕を比較してくるが、王子である僕の方が色々なことをしなければならない以上手が回らないことがあるのも仕方ないだろ? それをフォローするのがお前たちの仕事じゃないのか!?」
「で、殿下、落ち着いてください!」
慌てた様子でアルベルトが僕をなだめようとする。
だが、その手には乗らない。そうやって今まで僕に対して好き放題言っておいて僕が苛ついた時は何でもなだめようとしてきたんだ。
「僕をなだめる前に謝るのが先じゃないのか!? もういい!」
そう言って僕は部屋を出る。
そして歩きながら考えた。
こんな時、カミラならどうするだろうか。恐らく事前に調べておいてくれたことをさりげなくメモにして渡してくれるとか、そういう風にさりげなく助けてくれるだろう。
そう思うと急にカミラに会いたくなってきた。今僕のことを大切にしてくれるのは彼女だけだ。彼女なら今のアルベルトに一体何と言うだろうか。
「た、助けてくださいアシュリー様」
ふと後ろからアルベルトがアシュリーに助けを求めているのが聞こえてくる。
結局、またアシュリーか。どうせ皆アシュリーの方がいいんだろう。
「そんなにアシュリーがいいならアシュリーに会談をさせればいいだろう!」
僕はそう叫ぶと僕は王宮を駆けだした。
そうだ、どうせアシュリーの方が僕より優秀だと言うなら会談もアシュリーにさせればいい。もしそれで困ると言うならば今後はもう少し僕の扱いを考えてくれればいいのだ。
それよりも僕は先ほどカミラのことを思いだしたせいか彼女に会いたくなってきた。
そう考えて僕はヒューム伯爵の屋敷に向かうことにしたのだった。
いつものように口うるさいアルベルトが僕にあれこれ言ってくる。彼は五十ほどの老人で、僕の傅役であるせいか事あるごとにこうして口うるさく小言を言ってくる。
正直のところ僕はそれを聞いてかなり苛ついた。
昨日も昼間は剣術の鍛錬、夕方は座学の勉強、そして夜はアシュリーに復習をさせられ自由の時間なんてほとんどなかった。
それはアルベルトも知っているはずだし、何ならスケジュールを組んだのはアルベルトのはずだ。
それなのにそれを知ってそんなことを確認してくるなんて嫌がらせではないか。
「僕が昨日何していたか知っているよな? それならそんな時間がないことくらい分かっているだろう?」
僕の言葉にアルベルトは悲しそうな顔をする。
何だその顔は。
「確かに昨日はそうでしたが、おとといはお休みであったはずです」
「何を言ってるんだ。休みというのは休むためにある日だろう」
こいつは僕の休日を何だと思っているのだろうか。
「それはそうですが……ああ、アシュリー様ですら殿下のためにオルムド王国のことを自主的に調べていたというのに。まして陛下の若いころであれば……」
そう言ってアルベルトはため息をつく。
それを聞いて僕は苛々が爆発した。
二言目にはアシュリー、三言目には陛下の若いころは。いつもいつもそうやって他人と比較しやがって。
ついこの間まではこれも全て僕のいたらなさが原因だと思っていたが、言われた通りこんな言い方をしてくるこいつらに問題がある。
「そうやっていつもいつもアシュリーのことばかり言いやがって! 確かに横からそうやって指摘するだけなら簡単だろう。だが、実際全部やらされる方の身になってみろ!」
「で、殿下!?」
これまでここまではっきりと苛立ちを表に出したことはなかったのでアルベルトは驚く。
当然だ、これまで好き勝手言っても僕が言い返さないと思っていたのだろうが、もう黙ってはいられない。好き勝手に言われたら僕だって好き勝手言わせてもらう。
「大体いつもいつもそうやってアシュリーと僕を比較してくるが、王子である僕の方が色々なことをしなければならない以上手が回らないことがあるのも仕方ないだろ? それをフォローするのがお前たちの仕事じゃないのか!?」
「で、殿下、落ち着いてください!」
慌てた様子でアルベルトが僕をなだめようとする。
だが、その手には乗らない。そうやって今まで僕に対して好き放題言っておいて僕が苛ついた時は何でもなだめようとしてきたんだ。
「僕をなだめる前に謝るのが先じゃないのか!? もういい!」
そう言って僕は部屋を出る。
そして歩きながら考えた。
こんな時、カミラならどうするだろうか。恐らく事前に調べておいてくれたことをさりげなくメモにして渡してくれるとか、そういう風にさりげなく助けてくれるだろう。
そう思うと急にカミラに会いたくなってきた。今僕のことを大切にしてくれるのは彼女だけだ。彼女なら今のアルベルトに一体何と言うだろうか。
「た、助けてくださいアシュリー様」
ふと後ろからアルベルトがアシュリーに助けを求めているのが聞こえてくる。
結局、またアシュリーか。どうせ皆アシュリーの方がいいんだろう。
「そんなにアシュリーがいいならアシュリーに会談をさせればいいだろう!」
僕はそう叫ぶと僕は王宮を駆けだした。
そうだ、どうせアシュリーの方が僕より優秀だと言うなら会談もアシュリーにさせればいい。もしそれで困ると言うならば今後はもう少し僕の扱いを考えてくれればいいのだ。
それよりも僕は先ほどカミラのことを思いだしたせいか彼女に会いたくなってきた。
そう考えて僕はヒューム伯爵の屋敷に向かうことにしたのだった。
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