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16. お泊まり

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 お父様の部屋を出ると、廊下にマリアンが待っていました。

「シンシア様、お手紙が届いたそうです。キャロリーナ様からだそうですよ。部屋でお読みになりますか?」

「ええ。ありがとう。何かしら。そうするわ。」


 部屋に入り、窓際の椅子に座って手紙を開けると、達筆な麗しい彼女の直筆で書いてありました。
内容は、『ソグラン領地に侍女や侍従も一緒に泊まりで何日か遊びに来て欲しい。馬車を夕方に向かわせるから、手ぶらで来て欲しい。あまり大荷物だと、ダリアに怪しまれるでしょ?』と。
手ぶらと言っても、泊まるのだし…と思ってマリアンに言って小さめのバックにワンピースを二着と下着を入れてもらった。

 それにしても、キャロリーナ様はどうしたのかしら。夕方にってずいぶん急だわ。そう思ったが、時間が無いのでマリアンとバムズにも自分の準備をしてもらい、お父様にもこの事を伝えてもらった。



「シンシア様、馬車が到着されました。」

 他の侍女が教えてくれ、私達はすぐさま玄関ホールへ向かうとお姉様がいました。

「あらシンシア。もうすぐ日が暮れるわよ。今から出かけるの?どこへ?…あ!ごめんなさい!アドルフ様が来た時に、会うのが気まずいのでしょう?そうよねぇ、分かるわ!だってアドルフ様は私を選んでしまったのですもの。実際に会ったら、シンシアよりも私の方が良く思えてしまったのは仕方ないわよね!いってらっしゃいな!アドルフ様にはよろしく言っておいてあげるから。フフフフフ。シンシアにはきっといい人が訪れるわよ!まぁでも、アドルフ様よりもステキな人がいるのかは疑問ですけれどね。」

 ご機嫌にそう言って、高笑いしながら二階へ上がっていきました。詮索されなくて良かったわ。

「行きましょうか。」

 後ろにいるマリアンと荷物を持ってくれているバムズに声を掛けて進みました。



 ここから王都を背に馬車を走らせて半日ほどかかります。だからといって夜じゅう走らせるのは視界も良くないし、野盗なども恐ろしい為、二時間ほど走らせると隣の領地の街に着くためそこで一泊泊まって行くそうです。なんとその宿まで準備して下さっていて、驚きました。



 翌朝出発し、太陽が高くなった頃、キャロリーナ様のお屋敷が見えてきました。こちらも、うちのお屋敷よりも横に幅広くレンガ作りの素晴らしいお屋敷でした。

「シンシア!ごめんなさいね、急に。さぁとりあえずは昼ご飯をいただきましょう。そのあとで話すわ!」



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