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〈6. 王都へ胸を弾ませ、出発〉
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あれから少しして席に戻ってきたレーヴィは、席を立ったついでにエステルへと果実ジュースを注文していたようで、レーヴィが戻る頃にジュースもテーブルへと提供された。
「え?ありがとう!レーヴィ!」
「どういたしまして!それより、勝手に頼んだけれど良かった?」
「ええ。でも、これは何かしら?」
「それはベリージュースだよ。色も、ブドウ酒みたいでしょう?」
「本当に。きれいだわ!」
「そう言ってくれたなら良かった!では、ささやかながら…今日のこの出会いに乾杯!」
「フフフ。乾杯!」
エステルは、この言葉を御者に言われた先ほどは少し警戒したのだ。だが、自分より三歳年下のかわいらしい男の子に言われ、微笑ましく思いながらグラスを上げた。
☆★
翌日。
あれから小一時間ほどレーヴィと食事を楽しんだエステルは、共に宿屋へ戻る。
その際にレーヴィから夜が明ける前に宿屋の玄関に集合と言われたのでエステルは、部屋へ戻ると身支度を整え、早々に寝る事とした。
いろいろとあった一日ではあったが、夕食にはレーヴィと楽しい会話をしていたし、慣れない馬車に揺られた為かすぐに寝付いていた。
翌朝。
エステルが荷物を持って玄関へと行くと、すでにレーヴィは連れと一緒に立っていた。
「おはよう!エステルさん。さぁ行こう!」
「あ、待って!支払いをするわ。」
「お客さん、もうそちらの方が払ってくれたよ。」
エステルが、カウンターへと行こうとすると、カウンターにいた店主がそう言った。
「え!あ、えと…ありがとうございました!」
エステルは焦りながらもまず宿屋の店主へとお礼を言い、次にレーヴィに駆け寄る。するといつの間にか連れはいなくなっており、レーヴィだけだった。
「レーヴィ、おはよう。えっと、支払うわ!幾らだったの?」
「いいえここは持たせてよ!エステルさんはきっとこれから大変だろうからね。」
「え、でもそんな事言って、昨日の食事代だっていつの間にか支払ってくれていだでしょう?」
「さぁさぁ、そんな事よりも早く出発するから馬車に乗るよ!」
そう話を逸らされ、促されたエステルは、レーヴィが伸ばした手にドキリと心臓がはねる。荷物カバンをスッと自分の左手に持ち替えると、エステルの左手を優しく握ってエスコートする。馬車が置かれた場所までの距離は短く、すぐに手は離された。
「さぁ、とりあえず乗って?」
「ええ。お願いしま…す?あら?」
「はい、どうぞ。私はラッセと言います。」
御者席にいた人物は、昨日の人物とは違い、レーヴィの連れだと言った人だった。
「えっと…?」
「あぁ、昨日の御者をされてた方は、急遽予定が出来たとかで、行けなくなったと言われましてね。それでも、あなた様の事を気にされてましたよ。王都へとお連れ出来ないと。それを聞き、ちょうど私共も王都へ予定がありますからこの馬車をお借りしたのです。あ、お金もお返しいただきましたよ。」
そう言ったラッセと名乗った四十代前後の恰幅のいい男性が、お金をエステルへと渡した。
「あ…そうなのです…?え?でも、こんなに!」
返ってきた金額は、エステルが渡したのと同じ額の金貨三枚だった。
「あぁ、金貨三枚なんて間違えてちょっと貰い過ぎたと言われてましたよ。」
「でも、この村まで連れてきてくれた分は…」
「まぁ、気にされなくて大丈夫ですよ。乗り合い馬車は本来そんなに高くないのです。そうですね…王都までならせいぜい銀貨一枚ほどです。」
「ラッセ!もういいだろう!…さぁ、乗りましょう。」
「はいはい…では、お乗り下さい。」
「ええ…。」
「あ、ほら。お手をどうぞ。」
「ありがとう、レーヴィ!」
(間違えて、かぁ…。本来なら銀貨一枚だったなんて。でも、レーヴィもラッセさんもありがたいわ。お金は大事だもの!それに、一緒に乗る相手がいるなんて楽しいわね!あぁ、王都はどんな所なのかしら!)
エステルは、戸惑いながらもそう思い、レーヴィにエスコートされながら馬車へと乗り込んだ。
「え?ありがとう!レーヴィ!」
「どういたしまして!それより、勝手に頼んだけれど良かった?」
「ええ。でも、これは何かしら?」
「それはベリージュースだよ。色も、ブドウ酒みたいでしょう?」
「本当に。きれいだわ!」
「そう言ってくれたなら良かった!では、ささやかながら…今日のこの出会いに乾杯!」
「フフフ。乾杯!」
エステルは、この言葉を御者に言われた先ほどは少し警戒したのだ。だが、自分より三歳年下のかわいらしい男の子に言われ、微笑ましく思いながらグラスを上げた。
☆★
翌日。
あれから小一時間ほどレーヴィと食事を楽しんだエステルは、共に宿屋へ戻る。
その際にレーヴィから夜が明ける前に宿屋の玄関に集合と言われたのでエステルは、部屋へ戻ると身支度を整え、早々に寝る事とした。
いろいろとあった一日ではあったが、夕食にはレーヴィと楽しい会話をしていたし、慣れない馬車に揺られた為かすぐに寝付いていた。
翌朝。
エステルが荷物を持って玄関へと行くと、すでにレーヴィは連れと一緒に立っていた。
「おはよう!エステルさん。さぁ行こう!」
「あ、待って!支払いをするわ。」
「お客さん、もうそちらの方が払ってくれたよ。」
エステルが、カウンターへと行こうとすると、カウンターにいた店主がそう言った。
「え!あ、えと…ありがとうございました!」
エステルは焦りながらもまず宿屋の店主へとお礼を言い、次にレーヴィに駆け寄る。するといつの間にか連れはいなくなっており、レーヴィだけだった。
「レーヴィ、おはよう。えっと、支払うわ!幾らだったの?」
「いいえここは持たせてよ!エステルさんはきっとこれから大変だろうからね。」
「え、でもそんな事言って、昨日の食事代だっていつの間にか支払ってくれていだでしょう?」
「さぁさぁ、そんな事よりも早く出発するから馬車に乗るよ!」
そう話を逸らされ、促されたエステルは、レーヴィが伸ばした手にドキリと心臓がはねる。荷物カバンをスッと自分の左手に持ち替えると、エステルの左手を優しく握ってエスコートする。馬車が置かれた場所までの距離は短く、すぐに手は離された。
「さぁ、とりあえず乗って?」
「ええ。お願いしま…す?あら?」
「はい、どうぞ。私はラッセと言います。」
御者席にいた人物は、昨日の人物とは違い、レーヴィの連れだと言った人だった。
「えっと…?」
「あぁ、昨日の御者をされてた方は、急遽予定が出来たとかで、行けなくなったと言われましてね。それでも、あなた様の事を気にされてましたよ。王都へとお連れ出来ないと。それを聞き、ちょうど私共も王都へ予定がありますからこの馬車をお借りしたのです。あ、お金もお返しいただきましたよ。」
そう言ったラッセと名乗った四十代前後の恰幅のいい男性が、お金をエステルへと渡した。
「あ…そうなのです…?え?でも、こんなに!」
返ってきた金額は、エステルが渡したのと同じ額の金貨三枚だった。
「あぁ、金貨三枚なんて間違えてちょっと貰い過ぎたと言われてましたよ。」
「でも、この村まで連れてきてくれた分は…」
「まぁ、気にされなくて大丈夫ですよ。乗り合い馬車は本来そんなに高くないのです。そうですね…王都までならせいぜい銀貨一枚ほどです。」
「ラッセ!もういいだろう!…さぁ、乗りましょう。」
「はいはい…では、お乗り下さい。」
「ええ…。」
「あ、ほら。お手をどうぞ。」
「ありがとう、レーヴィ!」
(間違えて、かぁ…。本来なら銀貨一枚だったなんて。でも、レーヴィもラッセさんもありがたいわ。お金は大事だもの!それに、一緒に乗る相手がいるなんて楽しいわね!あぁ、王都はどんな所なのかしら!)
エステルは、戸惑いながらもそう思い、レーヴィにエスコートされながら馬車へと乗り込んだ。
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