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〈20. ヘルミの正体を聞いて驚きました〉
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エステルとレーヴィが話していると、不意に扉が不規則に叩かれる。
レーヴィは扉へと視線をやり、近づいて外を確認していた。
「あぁ、来た。時間だ。」
どうやら、扉の隙間から外を確認していたようだ。
レーヴィが入ってと言うと、扉が開いてヘルミと、三人の男の人が入って来た。
「全く。今まではナヨナヨとしていたのにね。守るべき人が出来たら、人って変わるのかしら?」
ヘルミが、レーヴィへとそう言葉を掛けた。
「え?何言ってるのさ!でも、作戦は僕が言っていたやつだからね?ベーネルスタードに行くよ。でも、その前に挨拶してからね。」
「そう…それでいいの?別に、レーヴィなら充分、奪還出来るわよ?私達も協力するって言っているんだし。」
「それはもう何度も話し合ったでしょ?」
「はいはい…。ラッセは外で待ってるわ。あと、他の人達は何かあった時の為に各々の配置についているはずよ。」
「分かった。ありがとう。…エステルさん、それでさっきの話…」
「もう!まだ終わってなかったの!?あとは私が話すから、さっさと行って終わらせてきなさい!帰ってきたら、返事を聞けばいいでしょ?」
「うーん…エステルさん。…いや、エステル。あとで、話の続きをさせてくれる?慌ただしくてごめんね。今から半年前に言えなかった事をお世話になった人に伝えてくるから。行ってくるね。」
「?うん。いってらっしゃい。レーヴィ、なんだか良く分からないけれど、気をつけてね。待ってるわ。」
「くー…!それだけで頑張れる気がする!うん、待ってて!すぐ片付けてくる!」
そう言ってレーヴィは果実ジュースを一気に飲み干し、出て行った。
「はぁ。ごめんね、エステル。どこまでレーヴィが話したのか分からないけれど、まずは私の話、聞いてくれる?」
「うん。ヘルミって、レーヴィのいとこなの?」
「あぁ、そうやって言ったの?まぁ確かにそうね。私のお母様は、セラフィーナと言うの。名前、聞いた事あるかしら?アードルフと亡きガブリエル王の姉よ。」
「え!?」
「あぁ、だからって今までと態度を変えたりしないでね?
…続けるわよ?
お母様が、公爵家の嫡男だった父のヨーセッピに嫁いで、ベーネルスタードを治めていたの。でも…私が三歳の頃にアードルフがいきなり私兵を使って領地に攻め入って来たらしいのよ。きっかけは些細な事だったのですって。姉であるお母様が、国王となったガブリエルおじさまがいるのに王宮に居座り続けるなって叱ったとか何とか…。」
(そんな…!それだけで攻め入る!?)
「それで、ベーネルスタード領は朽ちてしまったのよ。私のお母様もエステルのお母様も、その時に……私が言うのもおかしな話かもしれないけれど、エステルには本当に申し訳無かったと思うわ。」
「そ、そうだったの…え?ヘルミ、私の事知っていたの!?」
エステルは、王都に来てからは家を追い出されたのだからと自分の姓を名乗っていなかった。最後まで貴族の面子を優先した父親に反発をしていたとも言える。
「ごめんなさい。ラッセが、どうしても調べるって聞かなくて…。あ、レーヴィには話すと反対されると思って言ってないの。」
(まぁ、今さら知られたところで、どう変わりもしないわよね。)
「お母様、その時に亡くなったの?」
「そうよ。私の母に会いに来たのよ。お茶会を開いたそうなの。…って、私も小さくてあまり覚えてなくて。侍女やお父様に聞いた話なのだけれどね。」
「私も、覚えていないわ…お父様に聞いても機嫌が悪くなるばかりで教えてもらえないから知らなかったの。」
「そう。ま、シストネン伯爵はそれ以来領地に引き篭もっているらしいから、さぞかしエステルのお母様を愛していらしたのでしょうね。うちのお父様も、それ以来タウンハウスに住んでいたけど、お母様を思い出して夜中に声を殺して泣いていたわよ。狭いから聞こえて来たの。ま、半年前に重鎮共は解雇されちゃって、私みたいに隠れ住んでいるしかないのだけどね。」
「そうなのかな…。ん?待って!ヘルミのいとこなの?レーヴィって!」
「さっきからそう言ってるじゃない!…あぁ、そう言う事ね?まぁ、もう言っていいでしょ。レーヴィはガブリエルおじさまの子供、王太子よ。」
「お、王太子!?」
(さっきから驚く事ばっかりだわ!)
「ふふふ。でも、甘ちゃんのひよっ子なのよ。だから、半年前にアードルフが勝手に国王と宣言した時、さっさと王宮を去ったの。レーヴィには味方がたくさんいた。だから、奪還しようと思えば、皆レーヴィの為自分達の為に戦う心づもりはあった。でも、レーヴィはそれをしなかった。」
「どうして…」
「あの子、優しいから。誰も怪我をして傷ついて欲しくないのですって。全く、王太子なら多少の犠牲も厭わない、くらいの覚悟でやって欲しいわよね。けれど、この半年私達はどうとでも動けるようにこの王都で仲間を集めていたのよ。王都の外れの孤児院の子供達も、大切な人材よ。ベーネルスタードへと向かうわ。」
「レーヴィ…」
「でも、そんなレーヴィがエステルが迷ってるならって、決めたのよ。この国にいたら、ダメになる。自分達の正義は、貫かないとダメだって。今は、レーヴィはアードルフに最後の言葉を言いに行ってる。だから…」
ヘルミはエステルをじっと見つめたあと、
「私が生まれ育った領地へ一緒に行きましょう。今は廃れてしまったけれど、みんなでまた一から作り直すの。エステル、あの子にはあなたが必要だわ。きっとエステルは、レーヴィの原動力なのね。」
と片目を瞑って言った。
「は!?」
エステルは、今日何度も体験した、顔に熱が集まっていくのをまたも感じたのだった。
レーヴィは扉へと視線をやり、近づいて外を確認していた。
「あぁ、来た。時間だ。」
どうやら、扉の隙間から外を確認していたようだ。
レーヴィが入ってと言うと、扉が開いてヘルミと、三人の男の人が入って来た。
「全く。今まではナヨナヨとしていたのにね。守るべき人が出来たら、人って変わるのかしら?」
ヘルミが、レーヴィへとそう言葉を掛けた。
「え?何言ってるのさ!でも、作戦は僕が言っていたやつだからね?ベーネルスタードに行くよ。でも、その前に挨拶してからね。」
「そう…それでいいの?別に、レーヴィなら充分、奪還出来るわよ?私達も協力するって言っているんだし。」
「それはもう何度も話し合ったでしょ?」
「はいはい…。ラッセは外で待ってるわ。あと、他の人達は何かあった時の為に各々の配置についているはずよ。」
「分かった。ありがとう。…エステルさん、それでさっきの話…」
「もう!まだ終わってなかったの!?あとは私が話すから、さっさと行って終わらせてきなさい!帰ってきたら、返事を聞けばいいでしょ?」
「うーん…エステルさん。…いや、エステル。あとで、話の続きをさせてくれる?慌ただしくてごめんね。今から半年前に言えなかった事をお世話になった人に伝えてくるから。行ってくるね。」
「?うん。いってらっしゃい。レーヴィ、なんだか良く分からないけれど、気をつけてね。待ってるわ。」
「くー…!それだけで頑張れる気がする!うん、待ってて!すぐ片付けてくる!」
そう言ってレーヴィは果実ジュースを一気に飲み干し、出て行った。
「はぁ。ごめんね、エステル。どこまでレーヴィが話したのか分からないけれど、まずは私の話、聞いてくれる?」
「うん。ヘルミって、レーヴィのいとこなの?」
「あぁ、そうやって言ったの?まぁ確かにそうね。私のお母様は、セラフィーナと言うの。名前、聞いた事あるかしら?アードルフと亡きガブリエル王の姉よ。」
「え!?」
「あぁ、だからって今までと態度を変えたりしないでね?
…続けるわよ?
お母様が、公爵家の嫡男だった父のヨーセッピに嫁いで、ベーネルスタードを治めていたの。でも…私が三歳の頃にアードルフがいきなり私兵を使って領地に攻め入って来たらしいのよ。きっかけは些細な事だったのですって。姉であるお母様が、国王となったガブリエルおじさまがいるのに王宮に居座り続けるなって叱ったとか何とか…。」
(そんな…!それだけで攻め入る!?)
「それで、ベーネルスタード領は朽ちてしまったのよ。私のお母様もエステルのお母様も、その時に……私が言うのもおかしな話かもしれないけれど、エステルには本当に申し訳無かったと思うわ。」
「そ、そうだったの…え?ヘルミ、私の事知っていたの!?」
エステルは、王都に来てからは家を追い出されたのだからと自分の姓を名乗っていなかった。最後まで貴族の面子を優先した父親に反発をしていたとも言える。
「ごめんなさい。ラッセが、どうしても調べるって聞かなくて…。あ、レーヴィには話すと反対されると思って言ってないの。」
(まぁ、今さら知られたところで、どう変わりもしないわよね。)
「お母様、その時に亡くなったの?」
「そうよ。私の母に会いに来たのよ。お茶会を開いたそうなの。…って、私も小さくてあまり覚えてなくて。侍女やお父様に聞いた話なのだけれどね。」
「私も、覚えていないわ…お父様に聞いても機嫌が悪くなるばかりで教えてもらえないから知らなかったの。」
「そう。ま、シストネン伯爵はそれ以来領地に引き篭もっているらしいから、さぞかしエステルのお母様を愛していらしたのでしょうね。うちのお父様も、それ以来タウンハウスに住んでいたけど、お母様を思い出して夜中に声を殺して泣いていたわよ。狭いから聞こえて来たの。ま、半年前に重鎮共は解雇されちゃって、私みたいに隠れ住んでいるしかないのだけどね。」
「そうなのかな…。ん?待って!ヘルミのいとこなの?レーヴィって!」
「さっきからそう言ってるじゃない!…あぁ、そう言う事ね?まぁ、もう言っていいでしょ。レーヴィはガブリエルおじさまの子供、王太子よ。」
「お、王太子!?」
(さっきから驚く事ばっかりだわ!)
「ふふふ。でも、甘ちゃんのひよっ子なのよ。だから、半年前にアードルフが勝手に国王と宣言した時、さっさと王宮を去ったの。レーヴィには味方がたくさんいた。だから、奪還しようと思えば、皆レーヴィの為自分達の為に戦う心づもりはあった。でも、レーヴィはそれをしなかった。」
「どうして…」
「あの子、優しいから。誰も怪我をして傷ついて欲しくないのですって。全く、王太子なら多少の犠牲も厭わない、くらいの覚悟でやって欲しいわよね。けれど、この半年私達はどうとでも動けるようにこの王都で仲間を集めていたのよ。王都の外れの孤児院の子供達も、大切な人材よ。ベーネルスタードへと向かうわ。」
「レーヴィ…」
「でも、そんなレーヴィがエステルが迷ってるならって、決めたのよ。この国にいたら、ダメになる。自分達の正義は、貫かないとダメだって。今は、レーヴィはアードルフに最後の言葉を言いに行ってる。だから…」
ヘルミはエステルをじっと見つめたあと、
「私が生まれ育った領地へ一緒に行きましょう。今は廃れてしまったけれど、みんなでまた一から作り直すの。エステル、あの子にはあなたが必要だわ。きっとエステルは、レーヴィの原動力なのね。」
と片目を瞑って言った。
「は!?」
エステルは、今日何度も体験した、顔に熱が集まっていくのをまたも感じたのだった。
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