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強いのね!

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「ごめんな、痛い所あるか?」
そう、レクラスさんに聞かれたけれど、私は顔に両手を置いて隠し…込み上げてくる笑いを隠せず、返事をした。

「クスクス。アハハ!もー残念だったわ!やっぱり男の人って力が強いのね。おじさまの言うとおりだったわ。負けたのが悔しいけれど、仕方ないわね。戦い方を変えないといけないかしら!」
そして、私は両手を顔から外して、体を起こしてレクラスさんに言った。

「手合わせしてくれてありがとう!勉強になったわ!とっても楽しかった!」

そう言うと、レクラスさんはポカンとした。そして、
「は!?なんだよそれ!」
と言った。
そして、ニックさんと何か話している。ボソボソと小さな声なので聞こえないけど、何を言っているのかしら。


コンコン、ガチャ。
「おい、入るぞ。大丈夫か!?」
と、誰かが返答を待たずに入ってきた。

「あら、おじさま?」
私は、扉の方を見て、言った。
おじさまは、私が物心ついた頃から定期的にこの教会と隣の孤児院にやってきてはいろいろと教えてくれたり、遊んでくれたりしていた。

「おおーフィリアァー!倒れたと聞いたぞ!大丈夫だったかー?もう心臓が止まるかと思ったぞー!!」
と、私の元へ来て、手や腕を触って確かめている。

「ええ。大丈夫よ!おじさま、心配かけてごめんなさい。けれど、おじさまの言った通りね!男の人の力って、強いのね。久々に負けてしまったわ。もうびっくりしたのと悔しくて…おじさま、また教えてね!」
私が、おじさまの手を両手で握って言うと、
「いや、私がフィリアに教えれる事はもう無いよ…。フィリアもずいぶん強くなったもんな。言ったでしょう、私は本来体を使うのは苦手なんだよ。」
と、頭を掻きながらいった。

「えーだって、教えてくれなきゃレクラスさんに勝てないじゃない?」
私は口を尖らせながらおじさまにお願いする。

「ん?レクラスさん?」
そこで初めて、座っているレクラスさんと、その隣で立っているニックさんに気づいたように顔を向けた。

「お二人は、どちら様ですかな?」
あら?おじさまはなんだか、低い声になったわ。

「あ、俺とこいつは騎士団に所属している。今日は見習いになれる奴がいるか見に来たのだ。俺はレクラス、こいつはニック。あなたは?」
と、レクラスさんが挨拶した。

「私?私は…しがない老人さ。」
「やだぁ、おじさま。老人なんて言わないでよ-!」
と、私が言った。


コンコンコン、
「メルサです。入ります。」
カチャ。
と、14歳のメルサが入ってきた。

「あ、メルサごめんなさい!昼ご飯作らないと!」
「フィリア姉さまごめんなさい…私だけじゃ数が多くて…もし動けるのなら…」
と申し訳なさそうに言った。

「いいのよ!ちょっと休んだら元気になったもの。えっと、おじさま。ご飯食べていく?あと、ニックさんとレクラスさんは?」
「いや。フィリアの顔を見に来ただけだから、私は帰るよ。」
「もしよければ、手伝いましょう。フィリアちゃんは頭を打ったかもしれませんから、もう少し休んでいて下さい。」
「そうだよ!フィリア、何かあってもいけないから、もう少し休んでなよ。俺も手伝うから!」

「二人共ありがとうございます、でもお客様にそんな事させられないわ!もし、お暇ならさっきの3人に剣裁きを指導してもらえないかしら?」

「フィリア!さすがに現役の騎士団の方々に指導をさせてはいけません!」
おじさまは慌ててそう言ってきた。

「どうして?3人共見習いになるかもしれないのよ?ちょっと早まっただけでしょ?」
私は、おじさまに不平を言った。

「それでもです!教える人は給与をもらってるんですよ。」
「えーじゃあおじさまは?私たちにいろいろと教えてくれてるじゃない。けれど私たち給与払ってないわよ。」
「私はいいのですよ。」
「えー良くないわよ!おじさまにはいつもお世話になってるんだから!」
「その気持ちだけで私は十分ですよ。」
「もう!いつもおじさまはそうなんだから…。」
おじさまったら…。

「フィリア姉さま、そろそろ…」
メルサが再び、遠慮がちに口を挟んだ。

「あ!そうね。おじさま、また来てね!」
「フィリア、大事にしなさいよ。」
「はーい!」

みんなお腹がすいてるから、早く作らないと!急げ-!

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