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レクラス視点 7 父上と義兄上
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「それと…最近物資が滞ってるみたいなんですが…」
「みたいだな。」
「どうされるおつもりですか?」
「バルグェン国が買い占める金があるとも思えん。止めておるんじゃろ。向こうが仕掛けてきたら応戦するまで。こちら側からは仕掛けんよ。周辺諸国の目もあるからな。」
「国民の生活、それまでもちますか?」
「あと少しでマナクルの即位式じゃ。その辺りで仕掛けてくるじゃろ。それまではもってもらわんとな。」
「国民に配給するとかは…?」
「あと少し我慢を強いるが、配給はしない。戦争が始まれば、すぐ決着が付くかはわからんからな。」
「…。」
うーん、決着がつかないままだったら、国民の食料などは底をついてしまってもいいという事か?確かに、優先順位というものがあるがしかし…。
「とにかく、晩餐にまずメフィスに仕掛け、部屋に軟禁。その後ジリジリと追い詰めてやるわ。男と逃げるか…まぁそれはダメだな。サルビアを苦しめたとあらば、同じ目に遭わせんと…。」
父上はブツブツと呟いていた。
父上と話してから、部屋に戻る途中、義兄上に久々に会った。
「義兄上、お久しぶりです。もし時間があれば、少し話したいのですがどうでしょうか。」
と、話しかけると執務室に誘ってくれた。
「義兄上、お時間頂きありがとうございます。あと数日で即位式ですね。おめでとうございます。」
「ああ。ありがとう。しかし…正直私よりレクラスが国王となる未来もあると思うのだが。」
と、義兄上に言われ、驚いてしまった。
「義兄上。どうされたのですか。あと数日で国王陛下になられるから、不安になったのですか?」
と、聞いてみる。本音は話してくれないかもしれないが。
「そうかもしれない。この際だから正直に言おう。私は弱い人間だ。今まで母のあの生活を見て、注意も出来なかった。母が、最近なにかこそこそとやっているみたいなんだ。以前から、朝は弱い人だったんだがここ最近酷くて。夜、出歩く日もあるみたいだ。」
俺は、情報として義母が王都に夜な夜な出歩いているのを知っている。同じ宿屋に通っているのだ。その宿屋によると、毎回泊まっているのはバルグェン国の宝石商。義兄上は知らなかったということか。
「義兄上…。」
「不貞を働いているんだろう。それだけならいいが…。言いにくいんだが、母はサルビア正妃様を手にかけたかもしれないんだ。」
「義兄上、それはどうして?」
どこからか話が漏れたか…?
「昔から、正妃様を忌み嫌っていたのは小さいながらに感じていた。だけど、正妃様がお亡くなりになってから母が、喜々として何十枚もドレスを新調していたんだ。それはもう湯水のように。国庫を圧迫するのは目に見えていたんだが、父上も特に注意もしない。自分がやりたい事の為に、母の愚行に注意をしていた正妃様を殺めたのではないかと…。」
憶測か。話が漏れたわけではないのか。まぁ、当たらずとも遠からずだろうが。
「義兄上。万が一そうであったとしても、側妃様と義兄上は違う人です。だから、気にされなくていいのです。俺は、あなたが治める治世を楽しみにしていますよ。そして、早く妃を迎えられると心のすき間も埋まりますよ。一人では抱えきれないものも、二人でなら背負えるというものです。」
「レクラス…言うようになったな。そうだな…妃はまだ先かな。母がいるうちは、難しいかと思う。」
「そうですか?ギュルセーフィスト侯爵令嬢なんていいと思いますけど。」
「ん?あいつか…確かにあいつは好ましい。いつも私に声を掛けてくれたり気遣ってくれたり。だがな、まだ母上が…。」
義兄上は逡巡してブツブツと呟いている。
「まぁ、前向きに考えて下さいよ。義兄上とお似合いだと思いますけどね。」
義兄上は、優しい故気が弱い所があるから、彼女みたいな行動派で、義兄上の事をよく分かっている人のが良いと思う。侯爵令嬢、一応、薦めといたから!
「みたいだな。」
「どうされるおつもりですか?」
「バルグェン国が買い占める金があるとも思えん。止めておるんじゃろ。向こうが仕掛けてきたら応戦するまで。こちら側からは仕掛けんよ。周辺諸国の目もあるからな。」
「国民の生活、それまでもちますか?」
「あと少しでマナクルの即位式じゃ。その辺りで仕掛けてくるじゃろ。それまではもってもらわんとな。」
「国民に配給するとかは…?」
「あと少し我慢を強いるが、配給はしない。戦争が始まれば、すぐ決着が付くかはわからんからな。」
「…。」
うーん、決着がつかないままだったら、国民の食料などは底をついてしまってもいいという事か?確かに、優先順位というものがあるがしかし…。
「とにかく、晩餐にまずメフィスに仕掛け、部屋に軟禁。その後ジリジリと追い詰めてやるわ。男と逃げるか…まぁそれはダメだな。サルビアを苦しめたとあらば、同じ目に遭わせんと…。」
父上はブツブツと呟いていた。
父上と話してから、部屋に戻る途中、義兄上に久々に会った。
「義兄上、お久しぶりです。もし時間があれば、少し話したいのですがどうでしょうか。」
と、話しかけると執務室に誘ってくれた。
「義兄上、お時間頂きありがとうございます。あと数日で即位式ですね。おめでとうございます。」
「ああ。ありがとう。しかし…正直私よりレクラスが国王となる未来もあると思うのだが。」
と、義兄上に言われ、驚いてしまった。
「義兄上。どうされたのですか。あと数日で国王陛下になられるから、不安になったのですか?」
と、聞いてみる。本音は話してくれないかもしれないが。
「そうかもしれない。この際だから正直に言おう。私は弱い人間だ。今まで母のあの生活を見て、注意も出来なかった。母が、最近なにかこそこそとやっているみたいなんだ。以前から、朝は弱い人だったんだがここ最近酷くて。夜、出歩く日もあるみたいだ。」
俺は、情報として義母が王都に夜な夜な出歩いているのを知っている。同じ宿屋に通っているのだ。その宿屋によると、毎回泊まっているのはバルグェン国の宝石商。義兄上は知らなかったということか。
「義兄上…。」
「不貞を働いているんだろう。それだけならいいが…。言いにくいんだが、母はサルビア正妃様を手にかけたかもしれないんだ。」
「義兄上、それはどうして?」
どこからか話が漏れたか…?
「昔から、正妃様を忌み嫌っていたのは小さいながらに感じていた。だけど、正妃様がお亡くなりになってから母が、喜々として何十枚もドレスを新調していたんだ。それはもう湯水のように。国庫を圧迫するのは目に見えていたんだが、父上も特に注意もしない。自分がやりたい事の為に、母の愚行に注意をしていた正妃様を殺めたのではないかと…。」
憶測か。話が漏れたわけではないのか。まぁ、当たらずとも遠からずだろうが。
「義兄上。万が一そうであったとしても、側妃様と義兄上は違う人です。だから、気にされなくていいのです。俺は、あなたが治める治世を楽しみにしていますよ。そして、早く妃を迎えられると心のすき間も埋まりますよ。一人では抱えきれないものも、二人でなら背負えるというものです。」
「レクラス…言うようになったな。そうだな…妃はまだ先かな。母がいるうちは、難しいかと思う。」
「そうですか?ギュルセーフィスト侯爵令嬢なんていいと思いますけど。」
「ん?あいつか…確かにあいつは好ましい。いつも私に声を掛けてくれたり気遣ってくれたり。だがな、まだ母上が…。」
義兄上は逡巡してブツブツと呟いている。
「まぁ、前向きに考えて下さいよ。義兄上とお似合いだと思いますけどね。」
義兄上は、優しい故気が弱い所があるから、彼女みたいな行動派で、義兄上の事をよく分かっている人のが良いと思う。侯爵令嬢、一応、薦めといたから!
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